カルチャー
2014年7月1日
認知症は意外な食材で予防できる!!
文・雨野 柊
「65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は推計15%で、2012年時点で約462万人に上ることが2014年6月1日、厚生労働省研究班(代表者・朝田隆筑波大教授)の調査で分かった。認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計。65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる計算で、政府は早急な対策を迫られそうだ」(日本経済新聞より)。
このように日々メディアで取り上げられることの多い認知症ですが、その約7割がアルツハイマー型認知症、いわゆる"アルツハイマー病"です。アルツハイマー型認知症は、現在処方される薬では、回復はおろか、病気の進行を止めることすらできません。"不治の病"とされてきたこの病気ですが、米国の、ある女性医師の発見により、今、一筋の光明が見いだされようとしています。
「認知症なんて、まだ若いから関係ない」。そんなふうに思っていませんか? 実は認知症は、何年、ときには何十年もかけて、脳の中でひそかに進行していく病気なのです。
自分の娘を忘れる?
アメリカの女性医師、メアリー・T・ニューポート氏の夫スティーブに若年性アルツハイマー病の兆候が見られるようになったのは2001年のことでした。
医師として多忙な毎日を送るメアリーを支えながら、専業主夫として二人の娘を育て、あらゆる家事を完璧にこなしていたスティーブが、子供の送迎を忘れ、運転しなれた近所の道を間違えるようになり、地図の見方すらわからなくなったのです。
最初はうつ病が疑われ、薬が処方されましたが、その後もゆっくりと症状は進行していきました。やがて、ひと月に3度も財布をなくしたり、帰宅してみると家のなかにプロパンガスが充満していたりと、一人にしておくのが難しい状況になっていきました。
2008年には、スティーブが「ジュリー(メアリーとスティーブの娘)の父親は誰だっけ?」と尋ねるようになり、メアリーは、愛する夫が自分のことをわからなくなる日がもう目前に迫っていること、そして近い将来、夫を失うことになるのだということに衝撃を受けます。
劇的な症状改善
愛する夫をなんとかして救いたいと願うメアリー。でも、この病気には症状の改善を期待できる薬はありません。そこで、新薬の治験を探すことにしました。しかし、残念なことにスティーブの病状は進行しすぎていたため、治験の参加資格を得ることができませんでした。
失意の中でも、決してあきらめることなく可能性を探っていたメアリーは、偶然、アクセラという小さなバイオテクノロジー企業が行った、ある治験の結果を見つけます。驚くべきことに、その治験では、多くのアルツハイマー病患者に改善が見られたのです。
その治験で使用されたのは、「MCTオイル」という物質でした。この物質が「ココナツオイル」から抽出されることを知ったメアリーは、早速、近所の自然食品店でココナツオイルを買い求めました。そして、「だめでもともと」という思いでココナツオイルを朝食のオートミールに混ぜ、スティーブに食べさせてみたのです。
驚いたことに、効果はその日のうちにあらわれました。
その日、正午過ぎに行われた新たな治験の審査で、前日の検査よりも大幅に数値を上げることができました。
ココナツオイルを始めて3日目には、うつろだった顔の表情が豊かになり、冗談すら口にし始め、5日目になる頃には、ふたりで顔を見合わせて、人生が一変したねと話し合うまでになりました。
【著者】メアリー・T・ニューポート
医学博士。オハイオ州シンシナティで育ち、シンシナティ大学医学部を1978年に卒業。同地の小児病院で小児科の研修を受け、サウスカロライナ州チャールストンの大学付属病院で特別研究員として新生児学を修める。1983年にフロリダへ移住。タンパベイ地区の2か所の新生児集中治療室の医長として診療を続けている。夫スティーブ・ニューポートとは1972年に結婚し、娘ふたり、孫ひとりがいる。2008年に「アルツハイマー病の治療法があるのに、誰もそれを知らないとしたら?」と題するレポートを執筆。それが世界中に広まり、ギリシャで開かれた2010年アルツハイマー病国際会議での講演のテーマとなっただけでなく、この本のテーマともなった。
【監修】白澤卓二
順天堂大学大学院医学研究科 加齢制御医学講座 教授。神奈川県生まれ。1990年千葉大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所を経て2007年より現職。専門は、寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。日本抗加齢医学会理事ほか所属学会多数。著書は『100歳までボケない101の方法』『「砂糖」をやめれば10才若返る!』等ベストセラー多数。NTV「世界一受けたい授業」、TBS「はなまるマーケット」、NHK「いっと6けん」、テレビ東京「L4 YOU!」ほか、新聞、雑誌などでも活躍中。
【訳者】日向やよい
会津若松市出身。東北大学医学部薬学科卒業。おもな訳書に「新型殺人感染症」(NHK出版)、「異常気象は家庭から始まる」(日本教文社)、「プリンセス願望には危険がいっぱい」(東洋経済新報社)などがある。
医学博士。オハイオ州シンシナティで育ち、シンシナティ大学医学部を1978年に卒業。同地の小児病院で小児科の研修を受け、サウスカロライナ州チャールストンの大学付属病院で特別研究員として新生児学を修める。1983年にフロリダへ移住。タンパベイ地区の2か所の新生児集中治療室の医長として診療を続けている。夫スティーブ・ニューポートとは1972年に結婚し、娘ふたり、孫ひとりがいる。2008年に「アルツハイマー病の治療法があるのに、誰もそれを知らないとしたら?」と題するレポートを執筆。それが世界中に広まり、ギリシャで開かれた2010年アルツハイマー病国際会議での講演のテーマとなっただけでなく、この本のテーマともなった。
【監修】白澤卓二
順天堂大学大学院医学研究科 加齢制御医学講座 教授。神奈川県生まれ。1990年千葉大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所を経て2007年より現職。専門は、寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。日本抗加齢医学会理事ほか所属学会多数。著書は『100歳までボケない101の方法』『「砂糖」をやめれば10才若返る!』等ベストセラー多数。NTV「世界一受けたい授業」、TBS「はなまるマーケット」、NHK「いっと6けん」、テレビ東京「L4 YOU!」ほか、新聞、雑誌などでも活躍中。
【訳者】日向やよい
会津若松市出身。東北大学医学部薬学科卒業。おもな訳書に「新型殺人感染症」(NHK出版)、「異常気象は家庭から始まる」(日本教文社)、「プリンセス願望には危険がいっぱい」(東洋経済新報社)などがある。