「やらないこと」を決めるのも決断だ

　「決断の軸を決めましょう」
　と言われると、「何をやるか」を決めるものだと考えがちです。

　「何をしないか」
　と考えるのも、重要な決断なのです。

　私はゴルフをしないと決めています。
　時間の無駄だからです。
　もしゴルフを始めてしまったら、練習もしなければいけないし、ゴルフクラブを買いに行く時間も、必要になります。
　そんな時間があったら、ほかの仕事をします。

　「ゴルフは一生しない」

　これは「決断」です。
　しないことをどんどん決めていくことで、あなたには自由な時間が生まれます。
　事前に決めておけば、ぶれません。

　「絶対ゴルフは楽しいよ～」
　「ゴルフに行けば、人脈もできるよ」
　「海外にゴルフをしに行きませんか？」
　と、いまだに友人から誘いが来ます。
　父も弟もゴルフが好きなので、「家族のコミュニケーションだと思って、ゴルフを始める気はないのか！」と今でも文句を言われます。

　絶対にやりません。

　やらないというルールを決めたからです。

　ゴルフか？
　自由な時間か？

　で、自由な時間を選択しているのです。

誘われたときの答えは「ＮＯ」と決めておく

　私は、誘われたときの答えは「ＮＯ」と決めています。

　「石井さん、すごいビジネスがあるんですけど、やりませんか？」

　と言われたら、ゼロ秒で「やりません」と答えます。
　どんなビジネスかを聞く前に、即答でＮＯです。

　ほとんどの人は、「楽して儲かる話だったらやるけれども、儲からない話ならやらない」という基準を持っています。
　聞く耳を持ってしまっている時点で、決断ではなく、判断をしようとしています。
　私は「人から誘われたら、その時点でどんなビジネスであれやらない」と決めています。
　もし、いい話であれば、私のところに持ってこずに、その人がやればいいだけだからです。
　自分から誰かにビジネスを持ちかけるのはＯＫだが、誰かから誘われるのは、絶対にＮＯなのです。

　どんなビジネスなのかを聞いていたら、聞いている２時間が無駄になります。
　そんな時間があったら、自分が本当にやりたいことをする時間に費やしたほうが、有意義です。

ルールには必ず例外を設ける

　ルールを作ることは重要です。
　ですが、ルールに縛られてしまったら、自由はなくなります。

　あくまでも自分が自由になるためのルール作りです。
　そう考えると、ルールに例外を設けたほうが、自由に動けます。

　「どんな誘いでも断る」

　というのは、私のルールです。

　もちろん、例外はあります。

　執筆の依頼、講演の依頼、取材の依頼は、もちろん受けます。
　自分がやると決めている仕事だからです。

　ただし、担当者とやり取りは、石井貴士の秘書室が対応するというのがルールです。

　講演の依頼でも、
　「石井さんと直接、講演の内容を考えたいんです」
　と言う方はお断りしています。
　「秘書室と一緒に講演の内容を考えていただき、石井貴士は当日会場に行くだけ」
　という状態の講演のみ、受け付けるというルールにしています。

　そうすれば、石井は時間を奪われずに、執筆に集中できるからです。

　俳優の仕事をしている人が、
　「今度のドラマに出ませんか？」
　と言われて、断れということではありません。

　自分のやりたいことを思いきりするために、やりたいこと以外はすべて断るのです。

（了）