カルチャー
2014年11月11日
ネット生保が最安、とは限らない!
[連載] 保険選びは本当にカン違いだらけ【5】
文・鬼塚眞子
  • はてなブックマークに追加

共済の保険も安いって聞くけど、民間の保険とどう違うのか?


 ポストのDMや新聞広告の折り込みチラシで目にすることの多い共済。これは民間の保険とどう違うのでしょうか?

 まず、共済の特長は掛け金(保険料)の安さにあります。また、割戻金という配当金のようなものもあり、何かとお得感が高いことも挙げられます。

 そのほか、タイプによって違いはありますが、年齢や性別に関係なく基本的には掛け金は一律です。そのため、高齢になるほど割安感が大きくなります。医師の診査が不要という商品が多いのも特長です。

 そもそも、共済とは協同組合などの組合員が相互扶助の目的で作った保障制度のことを指します。保険料を払う人が相互扶助で支え合うという基本システムは同じですが、非営利団体で、特定の組合員と家族を対象としている点が民間の保険会社との大きな違いです。JA、全労済、COOP共済、県民共済などいろいろな共済がありますが、それぞれ基本的な運営構造は同じです。

 ここでは、県民共済を取り上げてポイントを押さえたいと思います。

 まず、保険金の上限設定が少ないことです。たとえば埼玉県民共済の場合、15~64歳までの健康な方が加入でき、掛け金が月額2000円のコースで不慮の事故での死亡保障は1000万円。月額4000円のコースでは2000万円が上限です。

 また高齢になると保障が小さくなるのも注意すべき点で、60~65歳の保障額はこの半額になります。病気で死亡した場合は別途金額が設定されていて、2000円のコースだと400万円とかなり減額します。

 さらに基本的に掛け捨てで、定期型の保険しかないことに注意が必要です。一生涯の保障を確保したい人には向いていません。

 そのほか、基本的には医療保障が強制的にセットになっているのも特徴です。そのため死亡保障だけでいいという場合は、民間の保険商品のほうが安くなるケースもあります。とくに掛け金が年齢にかかわらず一律です。

 とはいえ、共済は高齢者でできるだけ保険料を抑えて、最低限の保障だけを確保したいという人には魅力大です。
 若い30代や40代の人にとっても、短期間だけ保障を上乗せしたいという場合も、非常に活用しやすい選択肢となるのではないでしょうか。
 保障内容をぜひ一度チェックしてみることをおすすめします。

(第5回・了)





保険選びは本当にカン違いだらけ
20年後に後悔しない保険常識
鬼塚眞子 著



【著者】鬼塚眞子(おにつかしんこ)
大手生保会社の営業職、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立。保険業界と商品に精通し、保険営業とFP資格のある、日本では稀有な存在の保険ジャーナリストとして知られている。2010年、保険業界活性化を図るため、保険のすべてのチャネルを横断する「オーツードットコム 保険業界の明日を考える会」(現、トリプルA)を主宰。マスコミ出演、執筆、講演、相談で幅広く活躍中。近著は『保険選びは本当にカン違いだらけ』(SB新書)
  • はてなブックマークに追加