ビジネス
2014年11月25日
いま企業や学校が注目している「レジリエンス」ってなんだ?
[連載]
なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?【1】
文・久世浩司
ハードに働く人には、折れない心「レジリエンス」が必須
本来は、仕事への熱意があり、真摯な態度を持っていたまじめでがんばりやな人が、まるでろうそくの火が細くなって消えかけてしまうかのように、表情からも元気が失せ、心が折れてしまうことになるのは、本人にとっても不幸ですし、組織にとっても大きな損失です。
では、どうすればいいのでしょうか?
私は、ハードワークをしている人はとくに「レジリエンス」を身につけることが必要だと考えています。
レジリエンスとは、心理学の世界では「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセスである」と定義されています。レジリエンスは、いまや研究の領域だけでなく、政治経済や人材育成・組織開発の分野でも大変注目を集めているコンセプトです。
たとえば、2013年の「世界経済フォーラム」、通称「ダボス会議」では、レジリエンスが重要なテーマとして議論されました。世界的な異常気象と地震・津波などの災害に耐えうる強靭な国家や、リーマンショックにより明らかになった金融システムの脆弱さの改善が喫緊の課題とされたのです。内閣府も「レジリエンス・ジャパン構想」を掲げ、レジリエンス度の高い国家と地域の再構築に力を注いでいます。
ストレスや重圧に対処し、変化に適応できるグローバルリーダーのニーズが高まっており、世界最大のエネルギー会社ロイヤル・ダッチ・シェルや世界最強の投資銀行と言われるゴールドマン・サックスなどでは、レジリエンス研修が導入されています。
国内でも、NHKの人気番組である『クローズアップ現代』で、「折れない心の育て方~レジリエンスを知っていますか~」という特集が組まれ、幅広い層にレジリエンスが知られました。レジリエンス・トレーニングを研修として取り入れる企業や、授業に導入する学校も増えています。
レジリエンスが注目されている背景には、やはりメンタルヘルスの問題があります。日本でも海外でも、心の疲れが慢性化し、うつ病などに悩むビジネスパーソンが増加しているからです。国内でも厚生労働省が「ストレスチェックの義務化」を国会で法案化しましたが、それだけメンタルの問題が軽視できなくなっているのです。
もう一つの理由に「変化への適応力」があります。世の中の変化のスピードは加速しています。とくにIT業界やアジア新興国にビジネスを広げている会社は、その変化に適応していくことができないと生き残っていけません。
それはビジネスパーソンも同じです。組織変革やM&A、法律・行政ルールの変更やコンプライアンスへの対応など、変化を受け入れる器量が試されます。
ストレスや逆境への対処力、そして変化への適応力が望まれる現代においては、レジリエンスを鍛えることはもはや必要条件となっているのです。
◆関連リンク
動画でわかる「レジリエンス・トレーニング」
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[連載]なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか? 記事一覧
[1]いま企業や学校が注目している「レジリエンス」ってなんだ?
[2]折れない心「レジリエンス」を鍛える7つの技術【前編】
[3]折れない心「レジリエンス」を鍛える7つの技術【後編】
[1]いま企業や学校が注目している「レジリエンス」ってなんだ?
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【著者】久世 浩司(くぜ こうじ)
ポジティブ サイコロジー スクール代表。慶應義塾大学卒。P&Gにて、高級化粧品ブランドのマーケティング責任者としてブランド経営、商品・広告開発、次世代リーダー育成に携わる。その後、ポジティブ心理学、及びレジリエンスを活用した人材育成に従事。NHK「クローズアップ現代」で「折れない心の育て方・レジリエンスを知っていますか?」にてレジリエンス研修が放映された。著書に『「レジリエンス」の鍛え方』『親子で育てる折れない心 レジリエンスを鍛える20のレッスン』(実業之日本社)『なぜ一流の人はハードワークでも心が疲れないのか』(SBクリエイティブ)がある。認定レジリエンス マスタートレーナー。
ポジティブ サイコロジー スクール代表。慶應義塾大学卒。P&Gにて、高級化粧品ブランドのマーケティング責任者としてブランド経営、商品・広告開発、次世代リーダー育成に携わる。その後、ポジティブ心理学、及びレジリエンスを活用した人材育成に従事。NHK「クローズアップ現代」で「折れない心の育て方・レジリエンスを知っていますか?」にてレジリエンス研修が放映された。著書に『「レジリエンス」の鍛え方』『親子で育てる折れない心 レジリエンスを鍛える20のレッスン』(実業之日本社)『なぜ一流の人はハードワークでも心が疲れないのか』(SBクリエイティブ)がある。認定レジリエンス マスタートレーナー。