スキルアップ
2014年12月3日
あなたは3秒で解けますか?──ビジネスに役立つ論理思考を「中学数学」で鍛える!
監修・益子雅文
あなたは3秒で解けますか?
突然ですが図1を見てください。
この問題、解けますか?
数学のできる中学生なら3秒で解くことができる問題です。
ヒントは、2つの直角三角形に注目してください。
いかがでしょうか?
では、もうひとつヒントです。
直角であることが重要ではなく、この2つが同じ角度になっていることが重要になります。たとえば、これが直角ではなく80度だとしても、同じように解くことができます。
そろそろ3秒が過ぎたでしょうか。
答えは、
180-90-62=28
で28度になります。
なぜ、こんな簡単な式で答えが出てくるのでしょうか?
数学のできる中学生は、次のように考えます。
1)三角形ABCとDCBに注目すると、2つの三角形はBCを共通辺とした直角三角形なので、四角形ABCDは「内接する四角形の条件」を満たしている。
2)内接している四角形の対角の和は180度になるので(内接する四角形の定理)、xは180-90-62=28度となる。
また、「内接する四角形の定理」がわからなくても、
1)三角形ABCとDCBに注目すると、2つの三角形はBCを共通辺とした直角三角形なので、2つの三角形は「円周角の定理」から、同じ円に内接していることがわかる。
2)ABCの頂点CとABDの頂点Dも同じ円周上になるので、「円周角の定理」からxと∠ACBは同じ角度になる。
3)三角形の内角の和は180度なので、xは180-90-62=28度となる。
と答えを導き出すことができます。
細かな思考方法は人によって多少の違いはありますが、いずれにしても、中学生で習う「円周角の定理」や「内接する四角形の定理」を活用すれば、簡単に解くことができるのです。
このように中学の数学では、「表面に現れない(背後に潜んでいる)円」を使いこなすことによって、問題に対する美しい解答が得られたり、解答のスピードが格段に違ってきたりします。
「でも、それを知っていてもビジネスで何の役に立つの?」
という方もいるでしょう。
中学数学を学ぶ目的は、「方程式や関数といった自然科学におけるさまざまな手法」や「論理的な考え方」など、知的な生活を送る基礎を習得することにあります。
ビジネスなどでも、議論を進める際に重要となる論理的思考や、背後に潜んでいるアイデアの認識などは、幾何の証明を通して訓練することができます。
そして議論を進めるには、「少数のごく単純な性質から出発して、順を追いながら数多くのより複雑な性質を導いていく」という『ユークリッド原論』をモデルにするのが最適なのです。
【著者】益子雅文(ましこ まさふみ)
1977年3月、東京教育大学理学部数学科卒業。1977年4月、学習院中等科数学科教諭。2007年4月から2014年3月まで、学習院中等科教頭を務める。おもな著書は『中学 新Aクラス数学問題集1~3年(3訂版)』(共著、昇龍堂出版、1992年)。近著は『大人のやりなおし中学数学』(SBクリエイティブ)。
1977年3月、東京教育大学理学部数学科卒業。1977年4月、学習院中等科数学科教諭。2007年4月から2014年3月まで、学習院中等科教頭を務める。おもな著書は『中学 新Aクラス数学問題集1~3年(3訂版)』(共著、昇龍堂出版、1992年)。近著は『大人のやりなおし中学数学』(SBクリエイティブ)。