スキルアップ
2014年12月15日
ドル円相場急騰でFXを始める好機がやってきた!
[連載]
黄金の扉を開く賢者の海外FX投資術【1】
文・榊原卓丸
世界最大の年金基金、GPIFの運用比率に注目!
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とは、年金積立金の管理・運用を行う独立行政法人で運用総額130兆円の世界最大の年金基金です。
このGPIFが、10月末にポートフォリオの資産配分見直しを発表しました。具体的には国内債券比率を下げ、国内株式、海外株式、海外債券の比率を上昇させるというものです。
これにより新規の国内株式、海外債券・海外株式への資金移動が発生します。
では、9月末時点のGPIFのポートフォリオと中期計画の差異から、どの程度の円売り需要が発生するかを検証してみましょう。
表1はGPIFの2014年9月末時点の実際の資金配分比率と金額そして10月末に発表された比率変更後の中期計画と両者の差異(新規増減予想金額)を示したものです。
背景色赤の枠が差異であり、今後徐々に海外債券、海外株式投資として円売り要因となる金額です。海外債券3兆7400億、海外株式9兆9300億円の新規購入が見込まれ合計で13兆6800億円の円売り要因となります。
さらに来年2015年10月には、共済年金制度が厚生年金に統合されるため地方公務員共済組合連合会、国家公務員共済組合連合会(KKR)や私学共済もGPIFとの運用一元化が決まっています。
表2は各共済の配分がGPIFの中期計画と同配分になった場合の資金増減を表したものです。3共済合計で5兆7000億円の海外投資増加が見込まれます。
(データが平成25年度のものなので、現在の海外投資は増加していることが予想される)
GPIFと3共済の今後の海外投資分を合計すると概算で19兆3900億となります。大まかに1兆円の海外投資で60銭の円安ドル高が進むと仮定すると、《11円60銭》の円安要因となります。
ドル円相場が10月末の発表後に10円程急騰していることから、市場に短期・中期の買いポジションもたまっているだけにGPIFだけでは今後の急騰は見込めませんが、「押し目」での買い主体として、じわじわとした上昇相場の牽引役となるでしょう。
日本政府としても「円安歓迎」のスタンスをとらざるをえない
直接的な円売り要因以外にも、GPIFによる資金配分変更が円安効果をもたらす可能性があります。
実際に中期目標の配分比率に到達し130兆円の年金の40%の52兆円が海外投資されたとしましょう。仮に1ドル120円で海外投資された後で100円まで円高が進むと、8兆6000億もの損失になります。
GPIFでは、年金支払いのために今後10年程度は積立金を取り崩すことを想定しています。年金支払い原資を、わざわざ比率変更して海外で運用し、結果大きな損失がでるようでは大問題になります。逆に10円の円安になれば4兆3000億の運用益となります。
円安にマイナスの面があることは重々承知ですが、年金は国家の根幹にかかわる問題なだけに、日本政府としても円安歓迎スタンスを取らざるをえないでしょう。
日本に住んでいると実感はわきにくいですが、円安が進むとドルベースでの資産は目減りしていくことになります。
個人も資産の一部を外貨建てにすることで、円安に備えることができます。またFXで円売りポジションを保有することで、逆に資産を増やせる可能性もあるのです。
《他の円安ドル高のポイントは 次回へ続く》
※本連載は情報提供を目的としており、投資などの最終判断はご自身でなさるようお願いいたします。本連載の情報により生じたいかなる損害については、情報提供元および執筆者は一切の責任を負いかねます。
【著者】榊原卓丸(さかきばらたくまる)
1977年生まれ。大分県出身。関西学院大学卒業後、新光証券(現みずほ証券)を経て、株式会社ディーネット代表取締役として著名投資家の資産運用業務を担当。ファンド関係者など様々な業界人脈を築く。同社代表取締役を辞任後、三京証券株式会社にて日経225先物、日本株のディーリングを行う。現在はTrade Tools株式会社代表取締役。FX、日経225先物、株式等で国内・海外の大口投資家へ助言を行うほか、自動売買システムの企画・開発を行う。著書に、『卓丸の1日5分から始める日経225mini』『ほったらかしでも月100万儲かるFX自動売買』(かんき出版)、『株で儲けるためのNISA徹底活用術』(自由国民社)、『黄金の扉を開く 賢者の海外FX投資術』(SBクリエイティブ)がある。
1977年生まれ。大分県出身。関西学院大学卒業後、新光証券(現みずほ証券)を経て、株式会社ディーネット代表取締役として著名投資家の資産運用業務を担当。ファンド関係者など様々な業界人脈を築く。同社代表取締役を辞任後、三京証券株式会社にて日経225先物、日本株のディーリングを行う。現在はTrade Tools株式会社代表取締役。FX、日経225先物、株式等で国内・海外の大口投資家へ助言を行うほか、自動売買システムの企画・開発を行う。著書に、『卓丸の1日5分から始める日経225mini』『ほったらかしでも月100万儲かるFX自動売買』(かんき出版)、『株で儲けるためのNISA徹底活用術』(自由国民社)、『黄金の扉を開く 賢者の海外FX投資術』(SBクリエイティブ)がある。