カルチャー
2015年3月17日
航空戦力は開く一方!? 「爆買い」パワーがもたらす中国の軍事力強化
文・青木謙知
著しい成長を遂げた中国の経済力
近年における、中国の軍用装備品の拡充と近代化には目を見張るものがある。日本周辺には新しい情報収集機がひんぱんに姿を見せ、空母も保有するようになり、完全な独自建造にも着手した。
戦闘機でも、旧世代機は急速に機数を減らして新型機に置き換えられている。さらには、能力の程度はまったくわからないが、ステルス性をもつとされる、殲-20と殲-31の開発も行われていて、軍事力だけでなく航空産業力も高いレベルにあることを誇示している。
これを支えているのは現在の中国の大きな経済力にあり、それは日本に観光に来た中国人の「爆買い」にのみ使われているのではない。
中国では3月5日から北京で、全国人民代表大会(全人代)が開催されて、2015年の経済成長目標を7%前後にするとした。
過去3年間の7.5%程度に比べると若干低下しているが、日本の2015年度のGDP実質成長率の1.5%(政府予測。名目は2.7%)に比べるとかなり高い伸び率であり、これは、中国が世界第2位の経済大国であることを維持し続け、また世界経済を牽引していくことも示している。
経済の成長は、その国のあらゆる分野に発展をもたらす。もちろん防衛・軍事も例外ではない。実際に中国は、国防予算を過去5年連続で2桁増としており、1989年を除けば2桁増は10年間続いている。また2015年の国防費の伸び率は12.2%で、2014年の対前年比10.7%増を上回るとともに、経済成長をも大きく凌いでいる。
こうした予算を背景に中国は、さらに軍の規模の拡大と近代化を続けていくことになる。またそれは、日本をはじめとする周辺諸国に対して、大きなプレッシャーとなっていくことは確かだ。
軍用航空機の分野、なかでも戦闘機だけにかぎって日本と見比べていくことにするが、まず中国でこれから主力となっていくのは、スホーイSu-27"フランカー"ファミリーで、戦闘機型"フランカーB"を輸入するとともに、それを殲-11としてライセンス生産した。また、戦闘爆撃型のSu-30MKK"フランカーG"も購入し、ライセンス生産と、おそらくは購入機からのリバース・エンジニアリングにより、いくつもの派生型を開発している。殲-11A/Bや殲-16がそれで、また空母「遼寧」に配備する艦上戦闘機も同じファミリーの殲15/-15Sである。
この双発戦闘機に対抗する航空自衛隊の機種がF-15Jで、導入開始から時間が経過してはいるが、現在、能力向上改修を行っていて、新しい脅威に対抗し続けられるようにされる。もともとSu-27は、アメリカのF-14やF-15に対抗できる大型の制空戦闘機として開発された機種で、特にその運動性の高さは多くの航空ショーで披露され、また認知されている。そしてF-15とSu-27はいまも好敵手であり続けている
青木謙知(あおき よしとも)
1954年12月、北海道札幌市生まれ。1977年3月、立教大学社会学部卒業。1984年1月、月刊『航空ジャーナル』編集長。1988年6月、フリーの航空・軍事ジャーナリストとなる。航空専門誌などへの寄稿だけでなく新聞、週刊誌、通信社などにも航空・軍事問題に関するコメントを寄せている。著書は『F-2の科学』『徹底検証! V-22オスプレイ』『第5世代戦闘機F-35の凄さに迫る!』『F-22はなぜ最強といわれるのか』『ユーロファイター タイフーンの実力に迫る』『自衛隊戦闘機はどれだけ強いのか?』『世界最強! アメリカ空軍のすべて』『ジェット戦闘機 最強50』(サイエンス・アイ新書)など多数。日本テレビ客員解説員。
1954年12月、北海道札幌市生まれ。1977年3月、立教大学社会学部卒業。1984年1月、月刊『航空ジャーナル』編集長。1988年6月、フリーの航空・軍事ジャーナリストとなる。航空専門誌などへの寄稿だけでなく新聞、週刊誌、通信社などにも航空・軍事問題に関するコメントを寄せている。著書は『F-2の科学』『徹底検証! V-22オスプレイ』『第5世代戦闘機F-35の凄さに迫る!』『F-22はなぜ最強といわれるのか』『ユーロファイター タイフーンの実力に迫る』『自衛隊戦闘機はどれだけ強いのか?』『世界最強! アメリカ空軍のすべて』『ジェット戦闘機 最強50』(サイエンス・アイ新書)など多数。日本テレビ客員解説員。