スキルアップ
2015年4月28日
資料をまとめるときに覚えておきたい「3の累乗の法則」
文・大嶋祥誉
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ワンチャート、ワンメッセージ


 アウトプットが何ページであっても、言いたいことは1ページに一つ。つまり「ワンチャート、ワンメッセージであれ」というのがマッキンゼーの基本。

 1ページに言いたいことがいくつもアウトプットされているものでは「言いたいことがまとまっていない」「要は何が言いたいの?」と、確実に指摘されます。

 よくありがちなのが、ページごとに、とにかくいろいろな情報が詰め込まれていて、ページをめくっていくうちに「このアウトプットはいったい何を言いたんだろう?」という疑問が頭の中に広がっていくケース。

 そういったアウトプットに限って、全体の流れや問題解決とは関係ない「飾りのイラスト」や「おまけのような参考資料」のほうに気を取られてしまいがちです。

「ワンチャート、ワンメッセージ」のブランクチャート ※クリックすると拡大

 マッキンゼー流ノート術では、アウトプットを意識したブランクチャートを書くときにも、すべてのページで「ワンチャート、ワンメッセージ」を徹底することを心がけます。

 そうすることで、アウトプット全体で見たときも「このアウトプットはこれが言いたいんだな」ということが明確になるのです。

 本質的な解決策は、本来、流れるような美しさを持っています。無駄がなく、どこにもよどみがないのです。

 コンサルタントの間ではよく「クリスタライゼーション(crystallization=結晶化)」という言葉で表現されますが、本質的なメッセージは結晶化された美しさと強さを持っています。

 つまり、言いたいことがシンプルで明確になっているということ。だからこそ、相手の心にすっと入り琴線に触れるのです。

 もちろん最初から、そのようなメッセージができあがるわけではありません。

 たとえるなら、お酒を蒸留していくように、繰り返し不純物を取り除いていく作業を経て、はじめて結晶化されたメッセージは抽出されます。まさにその作業をノートで行うのだということです。

 ただし、美しさと強さを持ったメッセージというのは「見た目」のことではありません。いくら、見た目だけ整ったアウトプットをつくることができても、それだけでは本質的にグッと人の心をつかめるものにはなりません。

 真剣な「ノート思考」の結果、本当にそうすべきだと確信を持てるメッセージこそが美しさと強さを持ったものになるのです。

(了)


マッキンゼーのエリートはノートに何を書いているのか
トップコンサルタントの考える技術・書く技術
大嶋祥誉 著



大嶋祥誉(おおしま さちよ)
センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。上智大学外国語学部卒業。米国デューク大学Fuqua School of Business MBA取得。米国シカゴ大学大学院人文科学学科修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、新規事業のフィージビリティスタディ、全社戦略立案、営業戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。その後、ウイリアム・エム・マーサー、ワトソンワイアット、グローバル・ベンチャー・キャピタル、三和総合研究所にて、経営戦略や人材マネジメントへのコンサルティングおよびベンチャー企業支援に携わる。2002年より独立し、エグゼクティブ・コーチング、組織変革コンサルティング、チームビルディングやリーダー開発に従事する。著書に『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』『マッキンゼー流 入社1年目ロジカルシンキングの教科書』(SBクリエイティブ)がある。
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