ビジネス
2015年6月2日
キレるモンスター部下とはこう付き合え!
[連載] 「いい人上司」は報われない!【1】
文・井上和幸
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キレるモンスター部下には、淡々と接しよう!


 このタイプ、会社にとっては最も怖い人です。
 本当に話が通じません。

 意外と頭がいい人にも多くて、MBAホルダーであることもあります。

 頭はいいが、人格的成熟が足りていない。
 評論家・批評家タイプで、周囲にガンガン"正論・べき論の槍"を投げまくってきます。
 これも承認欲求の1つの現われですが、「相手に勝ちたい」という気持ちが大きいようです。

「キレる、モンスター部下」からふっかけられた上司や周りの人が、一番よくない対応は、まともにその人を相手にすることです。同じ土俵に入ると、彼らのツボにはまってしまうので、あくまでも淡々と接するようにしましょう。

 彼らが振りかざす小賢しい「べき論」は、案外浅はかです。仕事の本質がわかっている上司のあなたとしては、すぐ反論したくなると思います。しかし、こういうタイプは、間違ったことを言っていたとしても、頭ごなしに言わないようにします。言うことも、必要なことだけに絞り、落ち着いた口調で、ゆっくりと話すように努めましょう。

 また、感情的にスイッチが入ると、情動に情動を重ねて、エスカレーションしてしまうので、こちらとしてはクールダウンさせ、落ち着いた口調で対応するのが肝要です。

 仕事のミスで逆ギレしやすいのもこのタイプです。「言ってくれなかったじゃないですか」などとすぐ言います。もちろん、こちらの失態があったとすれば、「伝えてなかったな、ごめん」でいいですが、こういう人は手練手管で事実をねじ曲げて話しがちです。優等生タイプが多いので、自分がミスしたことに対して過剰反応しがちなのですね。

 だから、ミスがあったときも、頭ごなしに「なんでできてないんだ」と言わずに、どういう状態なの? と事実を事実として相手から言わせ、その上で「じゃあどうしようか」と冷静に会話をすることが必要なのです。

自分の存在を認めてもらえば暴発はしない


 ともあれ、「テロリスト化する危険」をチームに内在させるのが、このタイプのなんとも悩ましいところですが、テロ化する原因は「自分の気持ちを受け止めてもらえていない」という寂しさや怒りがあります。

 自分が認められる居場所があり、みんなが前向きに自分の存在を受け止めてくれているという状況があれば、暴発はあまりしないものです。

 日頃から彼・彼女の言動や素行については注意しつつ、温かいコミュニケーションと明るい職場ムードを保つよう気をつけましょう。

(了)





ずるいマネジメント
頑張らなくてもすごい成果がついてくる!
井上和幸 著



井上和幸(いのうえかずゆき)
株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人事部門、広報室、新規事業立ち上げを経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。多くの経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。クライアント企業・個人の個々の状況を的確に捉えたスピーディなコンサルティングに定評がある。自ら8000名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験に基づき、実例・実践例から導き出された公式を、論理的にわかりやすく伝え、幅広い業種・規模のクライアントから好評を得ている。著書に『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)など。各種メディア出演多数。
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