カルチャー
2015年7月17日
楽しみながら理科の知識を深めよう! 親子でハマる科学マジック
文・渡辺 儀輝
  • はてなブックマークに追加

『宙に浮くコップの水』──表面張力を利用した科学マジックの王道


 大気圧で支える実験はいろいろあります。それにちょっと工夫を加えるだけで、目から鱗が落ちるマジックショーに早変わり。ぜひ成功させてほしいマジックです。

宙に浮くコップの水 ※クリックすると拡大

「用意するもの」
ハガキ、コップ、水、目の細かい金網

1)コップに満タンの水を入れ、ハガキでふたをしてゆっくりひっくり返してから手を離すと、ハイ! 水は落ちません。大気の圧力で支えている、という有名な科学マジックです。

2)では、コップに満タンの水を入れ、目の細かい金網を置いて、その上にハガキを載せましょう。ひっくり返して手を離し、ハガキを取るとどうなるでしょう? 金網だけでも水がみごとに支えられますよ。

「どうして?」
 金網の部分をよく見ると、細かな曲面状の水滴がびっしりついています。これらの水滴の曲面に働く表面張力が、上に載っかっている水を支えているのです。

『名刺ブーメラン』──指ではじけばくるくる回って戻ってくる


 これは科学マジックの定番中の定番です。サイエンスショーでは、直径2mもあるブーメランを飛ばす人もいるようですね。ここでは、ホームパーティーで楽しめるミニミニタイプを紹介しましょう。

名刺ブーメラン ※クリックすると拡大

「用意するもの」
名刺、はさみ、ホチキス

1)名刺の長い辺のほうを使います。名刺を3分割して、はさみで切り取りましょう。真っすぐに切りだしたら、120 度ずつずらして重ね、中心をホチキスでとめます。羽根を少しだけ上に反り気味にして...

2)左の人差し指の上にブーメランの中心部分を載せ、右手の指で羽根をピンとはじいてください。きれいな軌跡を描いて、手元に戻ってくるでしょう。

「どうして?」
 羽根が回ると上側へ引き上げようとする揚力が発生します。羽根の回転方向と風が当たる方向で速度差や圧力差が生まれ、ブーメランはやがて傾きます。回転する物体が傾くと、元の状態に戻ろうとする力が働くことをジャイロ効果といいますが、まさにブーメランはこの効果によって自分の手元に戻ってきます。

(了)


親子でハマる科学マジック86
渡辺 儀輝 著



渡辺儀輝(わたなべ よしてる)
1966年、北海道生まれ。北海道大学大学院地球物理学専攻修了。理学修士( 地球物理学専攻)。北海道当別高等学校、同南茅部高等学校、同函館東高等学校、市立函館高等学校(公立はこだて未来大学非常勤講師兼務)を経て、現在は立命館宇治中学校・高等学校専任教諭。京都市在住。函館新聞に執筆している「レッツトライ理科実験」(毎週土曜日掲載)は連載16年を超えるロングコラム。京都市内はもとより日本国中でサイエンスショーを開催し、日々、科学の魅力を伝えている。「青少年のための科学の祭典」函館大会事務局長を務め、日本物理教育学会より、学会賞である大塚賞( 実践部門)を平成17年度に受賞。著書に『おもしろ実験と科学史で知る物理のキホン』(サイエンス・アイ新書)、『なぜ救急車が通り過ぎるとサイレンの音が変わるのか』(宝島社)がある。
  • はてなブックマークに追加