スキルアップ
2017年8月9日
ハーバードの学生は10冊しか本を読まない?
文・鳩山 玲人
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読書量が増えない人の悪い思い込み


 私は、ビジネス書や実用書を「完読する必要はない」と考えています。
 なぜなら、ビジネス書を読むのは、課題を解決するためだからです。

「1冊、最後まで読み切ることができなかった」

という罪悪感を持ってしまう人もいるかもしれませんが、むしろ、本は最後まで読まなくていいと私は思います。本は、課題を解決するためのヒントや答えが書いてある箇所だけを読めばいいのであって、それ以外のページは読まなくてもかまいません。

「1冊の本を1行たりとも読み飛ばさずに、絞り取るようにして読まないといけない」

と思うから、読むのが面倒になるのであって、

「得たいことさえ得られたら、それでよし」

と割り切れば、読書量は一気に増えるはずです。

 たしかに、フィクションなど、ストーリー性の高い作品は最初から読んでいかないと話の筋が追えないため、読み飛ばすのは難しいかもしれません。それでも私は、読んでいる最中に、「おもしろくない」と思ったら、最後まで読むことはありません。時間が惜しいからです。

 仮に、買った本が5章構成になっていたとしても、課題に対する答えや解決策が第1章に掲載されていたとしたら、第2章以降は読まなくてもいいと思います。私は、「課題解決に関係がないページ」「内容的に興味が持てないページ」は読みませんし、最初に目次を見て、興味を持ったところから読みはじめます。おもしろくないページに力を注ぎすぎるのは、エネルギーの無駄使いです。

 たとえば、いちばん知りたい内容が第5章に掲載されているとします。

 それなのに、第1章から順番に読み進めようとすると、途中で飽きてしまって、肝心の第5章にたどりつかないこともあるでしょう。ですから、第5章から読むことで、本自体の要旨をつかみ、そこから前に戻る読み方も、ときには必要になるのだと思っています。

(了)


世界のエリートは10冊しか本を読まない
鳩山 玲人 著



鳩山玲人(はとやま・れひと)
1974年生まれ。鳩山総合研究所 代表取締役。スタンフォード大学客員研究員。元サンリオ常務取締役。 青山学院大学を卒業後、三菱商事に入社。エイベックスやローソンでエンタテインメント事業に従事。2008年にハーバード・ビジネススクールでMBAを取得。同年、サンリオに入社。サンリオで海外事業を拡大し、サンリオ メディア&ピクチャーズ・エンターテインメントのCEOとして映画事業にも従事し、2016年6月に退任。DeNA、LINE、ピジョン、トランスコスモスの社外取締役を歴任。現在、シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるSOZO VENTURESのベンチャーパートナーや、Youtuberを束ねるUUUMのアドバイザーも務めている。米国経済誌「Business Insider」より、フェイスブックのシェリル・サンドバーグや政治家のミット・ロムニーと並んで「ハーバード・ビジネススクールの最も成功した卒業生31人」にも選出される。シリコンバレーにあるベンチャーキャピタリストの核にある先鋭組織、Kauffman Fellowsメンバー。 著書に『桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか』(幻冬舎)、 『ブロックバスター戦略』(監訳・解説/東洋経済新報社)、『世界の壁は高くない』(廣済堂出版)、『世界のエリートがやっている どこでも通用する実力がつく仕事筋トレーニング』(サンマーク出版)がある。
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