スキルアップ
2018年2月15日
優秀な人ほど注意! 効率を高めすぎると生産性は落ちる理由
『続ける脳』より
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人生は「やりたいこと」ばかりではありません。「やりたくないけれど、やらなければならないこと」も多いものです。やりたくないことを効率よく、しかも楽しんで終わらせて、やりたいことに時間を使うには、どうすればいいのでしょうか? SB新書『続ける脳』より、今回は、何かをやり遂げるために必要な「集中」について紹介しましょう。


チクセントミハイの「フロー」という概念


 勉強や仕事で、時間を忘れて没頭した経験はありませんか?
 こういうときは、「ああ、いい仕事ができた」「いい時間だった」と充実感があるものです。

 このような時間の過ごし方を「フロー」といいます。フローとは、課題に没頭して、ときの流れを忘れた状態のことです。「あっという間だった!」わけですから、苦痛を感じずに、質のよいアウトプットができた状態といえるでしょう。フローに入れば、脳にとっても楽しい時間と感じられているはずです。

 では、どうしたらフロー状態に入れるのでしょうか?

 フローという概念を提唱したハンガリー出身の心理学者ミハイ・チクセントミハイによると、その答えはシンプルです。

「フローに入るには、スキルと課題の難易度が釣り合っていること」

 難しい課題に向かうと誰でも不安になるものです。緊張し、気が乗りません。腰が重くなってしまうのは当然です。逆に、課題があまりにも簡単すぎる場合はどうでしょう。退屈してしまい、楽しんでこなすことは困難です。

 人間にとって、もっとも集中できるのは、自分のスキルに見合った課題だけです。つまり、フローに入るには、課題のレベルを調節する必要があるのです。時間はたっぷりあるのに、なかなか手がつかない状態の時は、課題の難易度が高すぎるのかもしれません。もう少し手が届くレベルに難易度を落とし、それをクリアするところからはじめれば、集中できるようになるでしょう。

 最終的な目標が大きくても、目の前の課題を、自分にとって少しだけ挑戦的な目標に定めることで、フローに入りやすくなり、「成功体験」を得られます。成功体験があると、続ける意欲が湧いてきますし、挑戦した分だけスキルが上がりますから、次回はさらに課題の難易度を引き上げられます。

面倒な仕事を片づけるタイムプレッシャー


 こうして一歩一歩、階段を上がるように難易度を上げ、楽しみながら最終目的にたどり着けばよいのです。いきなり最終地点に行こうとすると、何から手をつければよいかわからなくなってしまうからです。

 このとき、他人と比べるのはやめましょう。
 目標は、他人に決められるものではありません。何が不安で、退屈かを感じられるのは、自分だけだからです。親や先生に、100点を目指せといわれても、今の自分にとって難しすぎるならば、無視してよいのです。

 課題が退屈で集中できない場合には、自分で課題のレベルを上げてみましょう。
 どうすればいいかわからない?
 それでは、次に述べる簡単な方法を試してみてください。

 私たちは、自分がやりたいことばかりをやっているわけではありません。
 日々の退屈なルーティンワークや、突然頼まれた雑用...。

「面倒だなぁ」

 そう思っても、やりたくない仕事をゼロにできる人はなかなかいないでしょう。面倒な仕事を楽しくこなすには、やりたい仕事と同じように、フローに入ればよいのです。やらされ仕事でフローに入るには、まず「やらされている」という感覚を消す必要があります。



続ける脳
最新科学でわかった!必ず結果を出す方法
茂木 健一郎 著



茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者
1962年10月20日東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。専門は脳科学、認知科学。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。2005年「脳と仮想」で、第四回小林秀雄賞を受賞。2009年、「今、ここからすべての場所へ」で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。著書に、『脳とクオリア』(日経サイエンス社)、『生きて死ぬ私』(徳間書店)、『意識とはなにか──<私>を生成する脳』(ちくま新書)、『脳と創造性』(PHP研究所)、『ひらめき脳』(新潮社)、『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」の つくり方』(学研プラス)、『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)など多数。
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