スキルアップ
2015年9月14日
データ分析とデータ整理は、根本的に違う!
[連載] できる人のデータ・統計術【1】
文・柏木 吉基
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"分析スキル"と"統計知識"は「データを活かせない」理由ではない?


『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』(柏木吉基 著)

 たくさんのデータはあるのだが、「使っていない」「毎月売上実績グラフをアップデートするだけ」といった職場は多いはずです。
 そして、その多くが「何とかこれをうまく活用したいのだけど...」と感じています。

 では、そのギャップはなぜ、なかなか埋まらないのでしょうか?

 恐らく多くの人は、「自分(や自分の職場)には、統計知識や分析スキルが無いから」と諦めているのではないでしょうか?
 同時に、世の中で騒がれている「ビッグデータ」や「データサイエンティスト」という華やかな言葉を耳にすると、「へぇ~、そういう"凄い"人や技術で"凄い"ことができるんだぁ~」と、自分とは関係のない遠い異国の話のように聞き流しているかもしれません。

 本当に「分析スキルと統計知識」や「大量のデータを処理する技術やシステム」の有無だけが課題なのでしょうか?
 もし、あなたがデータ分析を生業とする立場であれば、これらの要素は極めて重要で、無いと「お話にならない」可能性が高いでしょう。
 一方で、その他圧倒的大多数の一般的な実務を日々行う人の場合はどうでしょうか。自分の本業の中でデータをできるだけ活かして、パフォーマンスを上げられたらいいな、と考えている人にとって、実はこれらの要素はさほど大きな要因ではないのです。では、それは一体何なのでしょうか。

平面的なデータから多面的なインサイトを引き出す視点とは


「売り上げ実績をグラフ化するだけ」といったデータの"平面的な"使い方を、私は「データ分析ではなく、データ整理」と呼んでいます。「データ整理」しかできていない人が、データを多面的掘り下げて、平面的な視点では見えない情報を引き出す「データ分析」ができるようになるために必要なポイントは大きく次の2つがあると考えています。

・データを1軸だけでなく2軸で掛け合わせて見る視点
・データ分析前に必要となる、「課題設定」と「仮説思考」

 ここでは、最初の「2軸で見る視点」について、分かり易い例で見ていきましょう。

 例えば、あるレストランの来店者に7項目にわたる満足度のアンケートを取ったとします。「総合評価」を上げることによって、リピート客を増やすことが最終目的です。
 そこで多くの人は、そのデータを前に項目ごとの平均点を出して、グラフなどで可視化しようとします(図1)。

図1

 これを見て分かることは、例えば次のようなことです。

・一番点数が良かったのは「味」だ
・一番点数が悪かったのは「店の雰囲気」だ
・「価格」、「メニューの豊富さ」、「味」が「総合評価」の平均点を上回っている

 ではここから"次の効果的な一手"はロジカルに出てくるでしょうか?
 きっと、

「店の雰囲気は最低だって? まずい! 今すぐこれを改善しよう!」

なんてことになるのではないでしょうか?

 でもちょっと待ってください。このグラフからわかることは、点数という結果の高低(大小)だけです。例えば、低い点数の項目を改善することに多大なリソースを費やしたとしても、それが総合評価を上げるという保証はどこにもありません。
 にもかかわらず、このように、

「平均値のグラフ化から高低だけを評価してアクションを取る」

といったことに留まっている、その結果本当に実が取れるのかは「やっていないと分からない」というケースが後を絶ちません。これでは、まだまだ「データ整理」の域を出ていません。

 ここで着目頂きたいのは、「平均点」という一つのデータだけを見ていることです。それが縦軸に表されています。つまり、1軸だけでモノゴトを見ているわけです。

 ここで考えてみたいのが、この課題でキーとなり得る「もう1つの軸」です。

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それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術
柏木吉基 著



【著者】柏木吉基(かしわぎよしき)
データ&ストーリー代表。多摩大学大学院 ビジネススクール客員教授。 横浜国立大学・亜細亜大学 非常勤講師。 神奈川県生まれ。慶應義塾大学理工学部卒後、日立製作所入社。2003年MBAを取得後、2004年日産自動車へ。海外マーケティング&セールス部門、組織開発部等を経て2014年独立。グローバル組織の中で、社内変革プロジェクトのパイロットを務め、経営課題の解決、新規事業の提案等、データやロジックを組織の意思決定に活かした数多くの実績と経験を持ち、これらを強みに活動している。現在、大手百貨店やメーカー、地方自治体などへの企業研修や実務で成果を出せるデータリテラシー定着のためのコンサルティングやスキル育成サポートを行なう。大学や大学院での実践的なビジネス授業も英語・日本語で展開している。世界120か国、旧東海道500キロを踏破。 著書に『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』(SBクリエイティブ)など。