スキルアップ
2016年2月9日
竹中平蔵氏が若者に提言「名言で"伝える力"を磨け」
文・竹中 平蔵
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「伝える力」は仕事においても、日常においても大切なスキル。特にリーダーの立場にある人にとって、多くの人をつかむ言葉の力は欠かせないものでしょう。経済学者である竹中平蔵さんは、2001年4月、思いがけず政策を担う責任者として内閣に入ったとき、自らの考えを多くの人々に理解してもらい、賛同してもらうのに、「名言」が持つ力を感じたと言います。「名言を読んで自らの信念を確かめる…そしてそうした強い言葉を引用しながら議論を進める…。歴史の名言には、常に自らの行動を戒め、導いてくれる」。そう語る竹中さんに、次世代を担う若いリーダーに知っておいてもらいたい「名言」が持つ「伝える力」についてお聞きしました。


リーダーたるための3つの条件


「名言」が持つ「伝える力」を若いリーダーに知ってほしいと語る竹中平蔵さん

 リーダーの条件の一つに「伝える力」があると思っています。

 その答えを歴史から教えてくれるのが、梅原猛氏の『將たる所以』(光文社)という本です。
 この本では、日本の歴史上、聖徳太子以来の数々のリーダーが綴られていますが、それを読むとリーダーの三つの条件というのが浮かび上がってきます。
 その一つは、自分の目で将来を見ることができる人です。
 人に聞くのではなく、あくまで自分で見る、すなわち洞察する力を持っているということです。

 次に、説明する力を持っている人。
 今の企業で言い換えれば、株主や従業員、債権者などのステークホルダーに対して、説明責任を果たせるような人が代表としてリーダーにふさわしいということになります。
 実際、リーダーと呼ばれるような人は、みな話がうまいものです。
 私が仕えた小泉元首相はもちろん、孫正義さん、私が役員を務めているパソナの代表である南部靖之さんなど、見ていると皆、非常に話が上手な人ばかりです。
 逆に言えば、話の下手なリーダーなどありえません。時々学生に、「私は口下手ですが、リーダーになれるでしょうか」と聞かれることがありますが、そういう人には私は「絶対にリーダーになるな」と言います。説明が下手な人には多くの関係者を説得し、とりまとめることなどできません。

 最後の条件が、組織を動かす力を持つ人です。

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不安な未来を生き抜く知恵は、歴史名言が教えてくれる
「明日を変える力」を磨く55の言葉
竹中 平蔵 著



竹中平蔵(たけなか へいぞう)
慶應義塾大学教授、グローバルセキュリティ研究所所長。1951年和歌山県生まれ。73年、一橋大学経済学部卒業。同年、日本開発銀行入行。その後、大蔵省財政金融研究所、大阪大学経済学部助教授、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを歴任。98年に「経済戦略会議」メンバーとなる。2001年に経済財政政策担当大臣に就任し、金融担当大臣、経済財政政策・郵政民営化担当大臣、総務大臣などを務め、小泉純一郎内閣の「構造改革」を主導した。06年より現職。博士(経済学)。ほかに、アカデミーヒルズ理事長、一般社団法人日本経済研究センター研究顧問、株式会社パソナグループ取締役会長、オリックス株式会社社外取締役、世界経済フォーラム(ダボス会議)理事などを兼務。著書多数。