ビジネス
2013年11月6日
プレミアリーグの監督に学ぶプロフェッショナル・サラリーマンへの道
文・タカ大丸 (ポリグロット)
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サー・アレックス・ファーガソンはなぜ選手たちに慕われ続けたのか


 昨シーズン末をもってついに監督業を引退したサー・アレックス・ファーガソン。これだけ長い期間監督で居続けたということは、多くの選手たちに慕われ続けたという証にほかならない。

 では、なぜ彼は慕われ続けたのか?そのカギは、「叱り方」にあった。本人の言葉をそのまま紹介しよう。

 「こういうのは、きちんと白黒をつけないとダメなんだ。選手の動きが悪ければ、きちんとそれを伝える。そこで黙って見逃すことはしない。そして一度言い終わったら、二度と蒸し返すことはない。土曜日の試合後に私が言うべきことを言ったら、もう振り返らない。すぐに次の週が来るのだから、そんな無駄な時間はない。」

 「振り返ることに何の意味があるのか。試合が土曜日にあり、日曜を休養日にしたとする。月曜の練習に戻ったら、水曜日にはもう次の試合だ。二日しかない。古い話にかかずりあう暇はないのだ。もう一つ大切なことは、常に真実を伝えるということだ。そこにあるのは白黒だけで、灰色がはいりこむ余地はない。一人の選手に特別に甘くすることはありえないし、選手全員が白と黒の意味と私の人間性を知らなければならない。それさえわかってくれれば、あとは何の問題もないのだよ。」

 もはや、余計な説明は不要であろう。

モウリーニョを支え続けるプラス思考


 現チェルシー監督のジョゼ・モウリーニョはあらゆる国で勝ち続けてきた。一体、なぜモウリーニョはあらゆるじゃじゃ馬たちを相手にして束ねることができたのか?

 そこには、彼のプラス思考が大きく作用しているようだ。

 「一番辛いのは、必要な才能がないことだろう!私は今まで特別な才能がある人間を束ねることを問題と思ったことは一度もない。何が問題なのか、さっぱりわからない。できるなら、私には11人の才能が揃ってほしいんだ!私がラッキーだったのかどうかはわからないが、問題は一切なかったよ。」

 そして、彼のチームに加わった選手たちは、ほとんどが「友人」となり、彼を慕い続ける。

 「確かに、指導者たるもの選手と友達になってはいけないという人は多い。私は正反対だ。選手と友達になれないのであれば、集団のポテンシャルを最大限に引き出すことはできない。指導者は選手と友人でなければならない。その上で、時として選手が聞きたくない答えをださねばならないこともある。それを踏まえたうえで、監督は選手と友人でなければいけないと思う。私には、なぜ選手と友達になることを恐れる人がいるのかよくわからないね。」

 会社でも、まず相手と「友達」になることを目指してはどうだろうか。

(了)


ザ・マネージャー
名将が明かす成功の極意
マイク・カーソン 著  タカ大丸 訳



【著者】マイク・カーソン(MIKE CARSON)
5年間にわたりマッキンゼー&カンパニーに勤務し、現在はアバーキン社の共同経営者として自身のコンサルティング事業を手掛ける。リーダーシップの専門家でもあり、マンチェスター・シティのファン。ウィンチェスター在住で、妻と四人の子供がいる。

【訳者】タカ大丸(たかだいまる)
有限会社オフィス・スカイハイ代表。英語同時通訳・スペイン語翻訳者のポリグロット。ほかに、韓国ドラマの字幕制作も手掛ける。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。現在もテレビ局での通訳、レポーターなどをしながらスペイン語の翻訳書『モウリーニョのリーダー論』『モウリーニョ成功の秘密』(ともに実業之日本社)、英語から 『クリスティアーノ・ロナウド』、『ソロ?希望の物語』を手掛ける。
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