スキルアップ
2013年12月19日
その交渉は間違っている! 絶対に負けない交渉の5大要素
『絶対に負けない交渉術 やってはいけない35のルール』より
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絶対にやってはいけない!......「望む結果を相手に伝えない」


 交渉でよい結果を手に入れるには、まず、自分が何を望んでいるのかをはっきりと具体的にイメージしておくことだ。
 離婚問題ならば、親権が欲しいのか、慰謝料が欲しいのか。慰謝料が欲しいとすれば、具体的にいくら、いつまでに欲しいのか。自分が望む理想的な結果をできるだけ明確にしておくことだ。
 相手に自分が望む「理想的な結果」を素直に伝え、相手の望むものを聞く。そして、その差を縮めていくのが交渉だ。

〈Check!〉自分が望む「理想的な結果」を具体的にイメージすることから交渉は始まる

 では、ビジネスの世界では、何をどう具体化しておけばよいか。
 交渉の必要があるということは、何らかの利害の対立があるということだ。経済活動であるビジネスで多いのは、当然、売買に関する「経済的な利害」の問題だ。
 経済的な利害といっても、そこにはさまざまな要素がある。金銭そのものの場合もあるが、数量、支払いのタイミングの場合もあるだろう。商品が絡んでくる場合は、品質やデザインも問題になってくるかもしれない。
 企業間の売買の場合、次の観点から自分の理想的な結果を具体的に考えておこう。

【企業間の売買で具体的に考えておくべき項目】
・商品(スペックと質)
・個数
・金額
・納期と納入方法
・支払い時期と支払い方法
・アフターサービス
・そのほかの条件

「理想的な結果」のイメージは、最初の交渉の場で伝えよう。

 たとえば、部品の仕入れ交渉ならば、「単価50円で自転車の特注部品1000個を1カ月以内に欲しい」と具体的に言う。相手は、「単価50円で自転車の特注部品1000個を納品するのには3カ月かかる」と答えるかもしれない。

 この場合、納期に差がある。差が明らかになると、次のステップに進める。おそらくは、納期を短くするために、単価を上げたり、部品個数の調整をするなどの話し合いがなされるだろう。もう一度まとめておこう。

『自分の「理想的な結果」のイメージ』-『相手の「理想的な結果」のイメージ』=『交渉すべき「差」』
 この差を埋めるのが交渉だ。

 相手方に遠慮して、納期を「1~2カ月くらい」とあいまいにしてしまうと、どうなるか。相手は2カ月を前提に検討を始める。その後、あなたが1カ月と言い出すと、相手は怒る。そして、交渉が進まなくなってしまう。信用をなくす可能性もある。望む結果をあいまいにしておくと、交渉がとん挫しかねない。

 交渉の場では、お互いが自分の望む理想的な結果を相手に伝えることが必要だ。こうしてこそ、お互いの違いが明らかになり、交渉がスムーズに進んでいく。

【勝つためのルール】
望む理想的な結果を明らかにしておくと、その後の交渉がスムーズに進む


絶対に負けない交渉術 
植田 統 著



【著者】植田 統(うえだ おさむ)
弁護士、国際経営コンサルタント、名古屋商科大学教授。1957年生まれ。1981年東京大学法学部卒業。ダートマス大学経営大学院にてMBA取得。成蹊大学にて法務博士取得。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)、ブーズ・アレン・ハミルトン、野村アセットマネジメント、レクシスネクシス・ジャパン代表取締役、世界最大の企業再生コンサルティング・ファームであるアリックスパートナーズでライブドア、JALの企業再生を担当し、弁護士、国際経営コンサルタントとして独立。著書に、『45歳からの会社人生に不安を感じたら読む本』(日本経済新聞出版社)、『銀行から「金を返せ」と言われたら読む本』(光文社)など。
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