ビジネス
2014年3月10日
失敗しない「習慣付け」のメソッド
[連載] ワン・シング ~一点集中がもたらす驚きの効果【3】
『ワン・シング』より
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規律を習慣づけるには平均66日必要


ひとたび新しい行動が習慣になれば、維持するための規律は必要でなくなる。 ※クリックすると拡大

 規律と習慣。この言葉のイメージは厳しく不快なものだ。読むだけでもきつい。しかし良い面もある。正しい規律は役に立つし、習慣づけるのも大変なのは最初だけだ。時とともにしだいに簡単に維持できるようになる。習慣はつらいことを楽にしてくれる(図参照)。

 では、どれくらいのあいだ規律を守ればいいのか? ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、2009年、「新しい習慣を身につけるためにはどのくらいの日時を要するか」という調査を行った。その内容は、学生たちに一定期間、運動とダイエットに取り組んでもらうというもので、結果は、新しい習慣を身につけるには平均66日が必要だった。

また別の研究によると、好ましい習慣を一つ身につけることができた人々はストレスが少なく、衝動的に買い物をすることはまれで、より良い食習慣が身につき、アルコールやタバコ、カフェイン含有物の摂取は減り、テレビを観る時間も短くなった。

 何かを習慣づけようと自制することで、より簡単にそれができるようになるだけでなく、他のこともたやすくできるようになる。正しい習慣を身につけた人が他の人よりうまくいっているように見えるのはそのためだ。彼らはいつも最も重要なことを行い、その結果、他のすべてがより楽にできるようになっているのだ。

★重要な考え
1.すべてに規律正しい人を目指さなくていい──効果的な習慣を持つようにしよう。自分にとって有用な規律を選び、それを身につけよう。
2.一度に一つの習慣を身につける──成功は結果として生じるのであって、一朝一夕には生じない。一度に二つ以上の新しい習慣を身につけることはできない。大成功を収めた人々も超人ではない。有用な規律を選び、少数の有意義な習慣を身につけただけだ。一度に一つ。時間をかけてやろう。
3.それぞれの習慣に十分な時間をかける──選んだ規律を守りつづけて、それを日課にしよう。習慣を身につけるには平均六六日が必要だ。ひとたび習慣となれれば、その習慣を足場にして他の習慣をつくりあげることができる。

(了)





ワン・シング
一点集中がもたらす驚きの効果
ゲアリー・ケラー/ジェイ・パパザン 著  門田美鈴 訳



【著者】ゲアリー・ケラー
ケラー・ウィリアムズ不動産共同設立者・会長。テキサス州オースティンの一部屋で立ち上げた同社を一代で全米最大の不動産会社にまで育て上げる。現在はビジネス・コーチとしても活躍。権威あるアーンスト・アンド・ヤングの「アントレプレナー・オブ・ザ・ イヤー」にも選ばれている。「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラーを獲得した著書「The Millionair Real Estate」シリーズは、累計で130万部超を売り上げている。

【著者】ジェイ・パパザン
米大手出版社ハーパーコリンズを経て、ケラー・ウィリアムズ社出版部門の統括責任者として、ケラーの多くの著書に共同執筆者として関わっている。

【訳者】門田美鈴(かどた みすず)
翻訳家。フリーライター。 訳書に『チーズはどこへ消えた?』(扶桑社)、『カエルを食べてしまえ! 』『1分間顧客サービス』(ダイヤモンド社)など、多数。



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