カルチャー
2014年3月11日
地球にやさしい自然エネルギーの基礎知識
『知っておきたい自然エネルギーの基礎知識』より
『鉄腕アトム』に代表される手塚マンガには、科学の発達による輝かしい未来が描かれていました。その一方で、科学技術の管理の難しさや、判断を誤ったときの危うさもまた、手塚治虫氏がマンガを通して繰り返し描いてきたことでした。
予期しなかった巨大地震や、原子力発電所の事故を経験したいま、その時代の読者だけでなく、未来にも向かって投げかけていた手塚氏の主張が、より強いインパクトをもって伝わってくる気がします。
また、一連の事件のあと、科学も技術もイメージしていたよりもずっと私たちの生活に密着していたことや、科学はかならずしも人間を幸福にするわけではないことを、あらためて実感した人も少なくなかったのではないでしょうか。
2011年に起きた出来事は、「人間は、日本人は、これからどう暮らしていくべきか」という問いを、あらためて私たちに投げかけました。それは、おもに電力のかたちで利用しているエネルギーを、これからどうやってつくりだしていけばいいのかといった問題だけでなく、生活スタイルはこのままでかまわないのかということまで問う、幅広い問いかけでした。
実は、この問いかけには、すでに1つの答えが用意されています。「自然エネルギーへのシフト」というのが、その答えです。そもそも、最初にこの問いと答えがセットで示されたのは、地球温暖化が問題になり始めたころのことでした。
温暖化を止めるための方策として、また石油や石炭などの化石燃料の残された埋蔵量や、資源確保にかかる費用の問題から、エネルギー政策の見直しが叫ばれ、その帰結としてでてきたのが、太陽光や風力などの自然エネルギーだったわけです。
いま、あらためて私たちを取り巻く状況を考えるなら、自然エネルギー、再生可能エネルギーの利用拡大に舵を切るのは自然な流れといえます。
しかし、ひと口に自然エネルギーといっても、いくつも種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。比較的簡単に解決できる問題や、法律を整備することでクリアできる問題がある一方で、構造的に解決できない問題もあります。逆に、大きなメリットがあるにもかかわらず、説明不足や聞く人間側の準備不足のために、利点がうまく伝わっていないものもあります。
先の問いに対し、自分なりの答えを見つけるためにも、身近な風や水や光や熱からエネルギーを取りだす「自然エネルギー」のことを、私たちはもっとよく知らなくてはなりません。
とはいっても、いきなりすべてを正確に理解するのは困難なこと。できれば、水先案内をするガイドがほしい――。
ここで、『知っておきたい自然エネルギーの基礎知識』の中から、最低限知っておきたい自然エネルギーのキホンについて紹介しましょう。
【著者】細川博昭
作家。サイエンス・ライター。鳥を中心に、歴史と科学の両面から人間と動物の関係をルポルタージュするほか、先端の科学・技術を紹介する記事も執筆。おもな著作に、サイエンス・アイ新書『鳥の脳力を探る』『身近な鳥のふしぎ』『科学ニュースがみるみるわかる最新キーワード800』や『江戸時代に描かれた鳥たち(ソフトバンク クリエイティブ)、『大江戸飼い鳥草紙』(吉川弘文館)、『インコの心理がわかる本』『飼い鳥:困った時に読む本』(誠文堂新光社)などがある。支倉槇人名義でも、『ペットは人間をどう見ているのか』(技術評論社)や『眠れぬ江戸の怖い話』(こう書房)などの著作をもつ。日本鳥学会、ヒトと動物の関係学会、生き物文化誌学会ほか所属。
作家。サイエンス・ライター。鳥を中心に、歴史と科学の両面から人間と動物の関係をルポルタージュするほか、先端の科学・技術を紹介する記事も執筆。おもな著作に、サイエンス・アイ新書『鳥の脳力を探る』『身近な鳥のふしぎ』『科学ニュースがみるみるわかる最新キーワード800』や『江戸時代に描かれた鳥たち(ソフトバンク クリエイティブ)、『大江戸飼い鳥草紙』(吉川弘文館)、『インコの心理がわかる本』『飼い鳥:困った時に読む本』(誠文堂新光社)などがある。支倉槇人名義でも、『ペットは人間をどう見ているのか』(技術評論社)や『眠れぬ江戸の怖い話』(こう書房)などの著作をもつ。日本鳥学会、ヒトと動物の関係学会、生き物文化誌学会ほか所属。