カルチャー
2014年4月4日
あなたの肥満遺伝子は「りんご型」?「洋なし型」?「バナナ型」?
[連載]
最短で効く!遺伝子タイプ別ダイエット【2】
文・白澤卓二・DHC
「りんご型」「洋なし型」「バナナ型」――3タイプの太り方
自分が受け継いでいる遺伝子を知ることで、基礎代謝量の過不足が計算できる、ということは分かったと思います。これに加えて、変異が認められる遺伝子により、「太り方」の傾向も変わってくるということを知っておきましょう。
β3AR遺伝子は脳の指令でアドレナリン、ノルアドレナリンが分泌されると、白色脂肪細胞に働きかけ、中性脂肪の分解を促進、エネルギー消費を促進する役割を持っています。これに変異が認められると、脂肪の分解が進まず、脂肪を蓄えてしまうことになるのです。このタイプはお腹周りに脂肪がつく、いわゆる「りんご型」肥満、つまり内臓脂肪型に多く見られます。
一方、UCP1遺伝子は遊離脂肪酸を燃焼させ、熱を産生する働きを持っています。そのため、ここに遺伝子変異が見られると、効率よく燃焼することができません。このタイプは下半身に脂肪がつく、いわゆる「洋なし型」の肥満に多いと言われているのです。
最後に、「バナナ型」は、β2ARという遺伝子に変異があることで、代謝が活性化され脂肪は蓄積されにくいのですが、筋肉の材料であるたんぱく質もすみやかに代謝されてしまい、筋肉がつきにくい傾向にあります。よって、いったん太ってしまうと痩せにくいことが知られています。
また、ダイエットを考える上では、食事療法や運動により交感神経を活性化することで燃焼しやすい内臓脂肪と比較して、代謝の低下が原因となることが多い皮下脂肪は落としにくい、ということも知っておきたいところです。
DHCの遺伝子検査では、「3種類の遺伝子(β3AR・UCP1・β2AR)×3つの変異型(ワイルド・ヘテロ・ホモ)×各遺伝子の変異型の組み合わせ×男女」で、全54パターンに分類しています。
例えば、同じ「りんご型」でも、各遺伝子の変異型の組み合わせによって効率的なダイエット法や摂取したい栄養素は変わってきます。また、3つの遺伝子の結果が同じでも男女で「りんご型」だったり「洋なし型」だったりするのは、性別によって優先的に体質に反映される肥満関連遺伝子が異なるためです。
「りんご型」「洋なし型」「バナナ型」の3タイプ別に一番効くダイエット方法がある!
大きく3つに分けた「りんご型」「洋なし型」「バナナ型」について、効率的なダイエットのポイントがそれぞれ別メニューで存在します。
詳しくは『最短で効く!遺伝子タイプ別ダイエット』(SB新書)で解説していますが、たとえば、糖質代謝が苦手なりんご型は、糖質を摂りすぎないようにする必要がるため、りんご型にぴったりなのは「低糖質ダイエット」という結論が導き出せます。
もちろん、タイプに関係なく無理な食事制限やハードな運動を行えば体重は減りますが、それでは継続性がなく、逆に健康を損なってしまう可能性が高くなります。また一時的にダイエットに成功しても「リバウンド」してしまえば、かえって太りやすい体質になってしまうこともご存じのとおりです。
大切なのは、遺伝子別のダイエットタイプに合わせて日頃から食事の内容をアレンジし、より効果的なエクササイズを取り入れることです。生涯付き合っていく「遺伝子」と、「食生活/運動」の関係をしっかり知識としても押さえておけば、無理せずに、日常のなかで健康的な体型を手に入れ、維持することができるでしょう。
(了)
【著者】白澤卓二(しらさわたくじ)
順天堂大学大学院医学研究科、加齢制御医学講座教授。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より現職。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。著書に『100歳までボケない101の方法』『老いに克つ』『免疫力をアップする、塩麹のおかず』『100歳までボケない手指体操』『100歳までサビない生き方』『「砂糖」をやめれば10才若返る!』など。
DHC(でぃーえいちしー)
ライフサイエンス事業部は、化粧品・健康食品を展開する株式会社DHCの事業部門のひとつ。「自分の体質をよく知ることで上手に健康管理をし、いつまでも元気に過ごしていただく」をテーマに、遺伝子検査キットおよび検査結果に対応したサプリメントや化粧品などを開発・販売。最新科学に基づいた検査で遺伝的リスクを調べ、体質に合ったライフスタイルを提案している。また、「ダイエット対策キット」の検査者を対象に、「3カ月ダイエット」や「体質別ダイエット合宿」を実施するなど、遺伝子検査を中心に科学的根拠に基づいた商品・サービスの開発を行い、遺伝子レベルから健康と美容をサポート。「ダイエット対策キット」のほか、「美肌対策キット」がある。
順天堂大学大学院医学研究科、加齢制御医学講座教授。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より現職。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。著書に『100歳までボケない101の方法』『老いに克つ』『免疫力をアップする、塩麹のおかず』『100歳までボケない手指体操』『100歳までサビない生き方』『「砂糖」をやめれば10才若返る!』など。
DHC(でぃーえいちしー)
ライフサイエンス事業部は、化粧品・健康食品を展開する株式会社DHCの事業部門のひとつ。「自分の体質をよく知ることで上手に健康管理をし、いつまでも元気に過ごしていただく」をテーマに、遺伝子検査キットおよび検査結果に対応したサプリメントや化粧品などを開発・販売。最新科学に基づいた検査で遺伝的リスクを調べ、体質に合ったライフスタイルを提案している。また、「ダイエット対策キット」の検査者を対象に、「3カ月ダイエット」や「体質別ダイエット合宿」を実施するなど、遺伝子検査を中心に科学的根拠に基づいた商品・サービスの開発を行い、遺伝子レベルから健康と美容をサポート。「ダイエット対策キット」のほか、「美肌対策キット」がある。