スキルアップ
2014年4月14日
ズルい世の中では視点を変えて儲ける
――水平思考のススメ【前編】
[連載] ずるさで勝る水平思考トレーニング【1】
文・木村尚義
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儲けている人とは、視点を変えられた人のこと


 ところで、大きなショッピングモールに行くと、ペット写真や子供の記念写真をリーズナブルに撮ってくれる写真館を見かけませんか?
 そうした写真館では実は、写真に興味がある人をアルバイトで募集しています。

 もともと写真に興味があるアルバイトだから、自分で撮影もするし、いろいろと工夫をします。しかも人件費はプロより安い...。

 店内も工夫されていて、中に入らずとも写真を撮っているシーンをよく見かけます。
 これだとお客様はどうやって撮影しているのかがわかり、安価だから気軽に写真を撮ろう、という気になります。
 なにしろプロの写真館だと店内は外から見えないし、扉が閉められていて敷居が高そうですから...。

 アルバイトが写真を撮るというと、撮影の技術を心配する人もいるかもしれません。でもそんな心配は無用です。
 なにしろ、デジカメは何度でも撮り直せますから、数打ちゃ当たるという方式で、撮りまくります。
 多少失敗したとしても、レタッチソフトで修正してしまうのです。

 プロが、どんなに高価な機材をそろえて腕を磨いたとしても、できあがった写真は、アルバイトがデジカメで撮影したものと見分けがつけられなくなっています。

 この勝負、どちらが勝つでしょうか?
 答えはいうまでもないでしょう。

相手をくやしがらせる逆転の発想「水平思考」


 大企業には優秀な人材がたくさんそろっているはずです。
 MBAをはじめとして、さまざまな資格を取得して、欧米の成功事例に学んだ人材をそろえているからです。
 それなのに、なぜか業績の低迷で苦しんでいます。

 優秀な人は、論理思考(ロジカルシンキング)が得意です。
 論理思考とは、確立された分析手法を使って問題解決を図る考え方です。
 つまり、「いかに効率よく生産するか」「いかにコストを削減するか」「いかに高性能化を図るか」にフォーカスして、最も効果を上げていくための思考法です。

 論理思考をマスターした人が大企業に増えれば増えるほど、ビジネスは有利に展開できる...ハズでした。

 前提が変化しない場合であれば、論理思考は威力を発揮しやすいのです。
 でも、いまのように、前提がコロコロと変わる時代には、論理思考ばかり重視していては、とうてい乗り越えることはできません。

 そんな時代に打ってつけなのが、「水平思考」(ラテラルシンキング)です。

 水平思考は、学歴や経歴など全く関係ありません。
 むしろ、周りから変わっているといわれる人や、本流から外れている人ほど、有利に使いこなせる柔軟な考え方なのです。

 簡単にいえば、水平思考とは、思わず、「あぁ、なるほど!」と相手をくやしがらせる逆転の発想なのです。

(第1回・了)





ずるさで勝る水平思考トレーニング
木村尚義 著



【著者】木村 尚義(きむら なおよし)
株式会社創客営業研究所代表取締役。アカデミーヒルズ六本木ライブラリー個人事業研究会会長。ヒットビジネスジャーナリスト。流通経済大学卒業後、汎用機SEを経て、OA機器販売会社へ。売上げ不振パソコンショップの運営を命じられ、たった一人で秋田に赴任。ラテラルシンキング(水平思考)を駆使した逆転の発想で5倍の売上を達成。その後、外資系IT教育会社にて、これまでの経験を生かした研修・セミナーを展開し、3万人超の受講者から好評を得る。従来の発想の枠を超え、常識にとらわれないビジネススタイルを「創客営業」と名づけ、全国にて逆転の発想セミナーを実施中。費用対効果を追求しすぎて閉塞感ただよう現状を打開したい一心で執筆しベストセラーとなった『ずるい考え方――ゼロから始めるラテラルシンキング入門』(あさ出版)をはじめ、『ずるい思考術練習帳』(小学館)など著書多数。



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