ビジネス
2014年4月22日
与沢翼・成功のカラクリ【4】感情を操作して、人を意のままに動かす
[連載]
秒速で10億円稼ぐありえない成功のカラクリ【4】
文・与沢 翼
人間が成功するのに一番やっかいなのは「感情」である
人の心を思うままに動かすというのは、相手の感情をコントロールするということでもある。そのためには、人間の感情を冷静に分析できることが必要だ。
「与沢さんは、あまり感情を出さないですよね」
私の場合、よくそんなふうに言われるが、私も人間である以上は感情もある。ただ、10代のころから人間を冷静に見続けてきたことで、感情というものをより詳細に分析できているために、相手に何を言われようと、相手がどう動こうと「こういう状態なんだな」と読めてしまうから感情的にならないだけである。
おそらく、多くの人が自分で感情をコントロールできずに、他人の振る舞いによって感情が逆にコントロールされてしまうのは、人間の感情と向き合ったことがない、つまり「分からない」から、恐れや怒りを感じてしまうのだろう。
人間の感情は「喜怒哀楽」の4つだけで分けられるような単純なものではない。他にも「妬み」「虚しさ」「恥」「興奮」「落胆」「尊敬」など、じつは喜怒哀楽だけでなく10種類以上はあげられる。そういった人間の細かな感情を理解して、うまく扱うようになれることも人心掌握には重要なことだ。
人の心をつかむには「喜ばせる」ことはもちろん大切だが、シチュエーションや相手によっては「怒り」という感情も有効だ。
怒られたことで腐るタイプの人にはダメだが、怒られたことをキッカケにして考えることができるタイプの人には、そこから意味のある対話をすることでより関係が強化されることもある。
あるいは「哀しみ」という感情も、きちんとケアすることで、より相手の心をつかむこともできる。マイナスの感情から少しでもプラスにできれば、振り幅が大きい分だけ心のつかみも深くなるということだ。
「尊敬」、つまりリスペクトも喜怒哀楽に属さない感情だ。これも、人間としての気づかいをすることで相手に生じる。特に、上の立場の人間が下の立場の人間に「こんなことまで気づかってくれる」と思わせたりするのは、尊敬の感情を生みやすい。
反対に上の立場の人間が「偉そう」にしか振る舞わないのでは、尊敬ではなく「軽蔑」の感情を生んでしまう。
あるいは「嫉妬」というのも、人間なら誰にでもある感情である。これも、油断している相手に意図的に用いることで、相手の心を動かすことができる。
たとえば、付き合っている期間が長くなったカップルの片方が、パーティなどで他の異性に声をかけられているのを見たりしたときに、嫉妬心とともに「しっかりしなきゃ」「ヤバい」という感情が芽生えることがある。
そういった感情をあえて持たせることで競争心を起こさせ、現状を変える行動を促したりということもできるのだ。
これらの感情は、人間の持っている感情のごく一部だ。しかも、人間は一日の中で何十種類もの感情を行ったり来たりしている。激しく心が動かされるような出来事があれば、わずかな時間に感情がコロコロ変わることだって珍しくない。
そういった人間心理、感情の動きがあることを「知っている」だけで、無用な感情のトラブルを避けられるし、相手の感情をうまくコントロールして望んでいる結果につなげることもできる。
そういう私自身もまた自分の感情を自分でコントロールするようにしている。
これは超重要なことだが、成功することにおいて、一番やっかいなのは自分の感情であることをどれだけ肝に銘じられているだろうか。
特に「キレたら事業家は終わり」である。せっかく、それまでにどれだけ素晴らしいものを積み上げてきても、社内外を問わず自分が感情的にキレたら、それらは全部崩れ去ると覚悟しておいた方がいい。
これはサイバーエージェントの藤田晋さんも言っていることだが、他人からの発言に対して事業家には守るべき2つの鉄則がある。
1つは「絶対に反論しない」、2つ目は「上から見下ろさない」ということだ。
これをやってしまうのは、どちらも自分が傲慢であるということを宣言しているようなものだ。
ちなみに、今この文章を書いている感情というのは「できるだけいい話を、読む人にとって再現性のある形で出していきたい」という責任の感情である。
その感情が私の著書などを通して伝われば、私の言っていることが無責任な煽りではなく、読む人の人生を確実に良い方向へ動かすことにつながっていくはずだ。
(了)
【著者】与沢 翼(よざわ つばさ)
1982年11月11日生まれ。早稲田大学卒業。株式会社Free Agent Style Holdings代表取締役会長。2017年、年商1000億円のグループ企業を目標にビジネスを展開し続ける。テレビ番組「笑っていいとも」「ダウンタウンDX」「有吉ジャポン」「ありえへん∞世界」、雑誌「週刊新潮」「週刊ダイヤモンド」「AERA」「週刊ポスト」「東京ウォーカー」、ラジオ「J-WAVE」など多数出演。今、最も注目を集める若手起業家である。著書に『Super Free Agent Style』(角川フォレスタ)、『秒速で1億円稼ぐ条件』(フォレスト出版)、『秒速で10億円稼ぐありえない成功のカラクリ』(SBクリエイティブ)がある。
1982年11月11日生まれ。早稲田大学卒業。株式会社Free Agent Style Holdings代表取締役会長。2017年、年商1000億円のグループ企業を目標にビジネスを展開し続ける。テレビ番組「笑っていいとも」「ダウンタウンDX」「有吉ジャポン」「ありえへん∞世界」、雑誌「週刊新潮」「週刊ダイヤモンド」「AERA」「週刊ポスト」「東京ウォーカー」、ラジオ「J-WAVE」など多数出演。今、最も注目を集める若手起業家である。著書に『Super Free Agent Style』(角川フォレスタ)、『秒速で1億円稼ぐ条件』(フォレスト出版)、『秒速で10億円稼ぐありえない成功のカラクリ』(SBクリエイティブ)がある。