カルチャー
2014年5月20日
寝つきをよくしたければ、帰りの電車でゼッタイ眠るな!
[連載] 9割の不眠は「夕方」の習慣で治る【2】
文・白濱龍太郎
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夕方以降はブルーライトを遠ざける


 機能の高度化により、今や手放せない存在となったスマートフォン(携帯電話)やタブレットといった小型のIT機器。ただ、これらのディスプレイから発せられる光はブルーライトと呼ばれ、睡眠の質を低下させる可能性があります。

 その主な理由として、ブルーライトが目や脳を覚醒させてしまうことが考えられます。ブルーライトは波長が紫外線に近く、目の角膜や水晶体を通り抜けて網膜まで到達し、交感神経を刺激する働きがあるとされています。

 そうすると結果的に入眠の妨げとなってしまったり、睡眠の質に悪影響を及ぼしたりといった弊害を起こす可能性につながります。またこれらのIT機器が発する電磁波も、深い睡眠の妨げとなる可能性があります。

 しっかり睡眠時間を確保しているはずなのに、どうも疲労感が取れないという人は、睡眠直前まで長時間スマートフォンを操作しているようなことはないか、振り返ってみてください。

 目安として、睡眠の1~2時間前はブルーライトをなるべく見ないようにするのが理想です。思い切って寝室ではスマートフォンを操作しない、というのもひとつの方法です。

スマホ画面にブルーライト用フィルムを貼る


 とはいえ、現実的には仕事関係の着信がないか定期的に確認しなければならない人や、帰宅後は趣味のゲームを楽しみたい人など、どうしてもスマートフォンを手放せないというケースもあるかと思います。
 そんな人におすすめしているのが、ブルーライトをカットする液晶保護フィルムです。

 市販商品のなかには20~25%前後もブルーライトをカットするものもあり、貼るだけで目の負担は大きく変わってきます。価格も1000~2000円程度なので、それほど高価なものではありません。スマートフォン本体を遠ざけて使用するよりは、気軽に実践できるかと思います。

 画面輝度全体を機器設定で下げるのもひとつの手ですが、「文字が読みづらくなるのは避けたい」という人は、効率的にブルーライトを遮断する専用フィルムを貼るのがおすすめです。

 もし可能であれば、会社の個人用パソコンもブルーライトカットの対策フィルムを貼りましょう。睡眠への影響もさることながら、ブルーライト対策は眼精疲労の軽減にもつながるでしょう。業務は長時間のデスクワークが中心という人は、ぜひ試してください。

 最初はちょっと暗いかな、というくらいがちょうどよい按配です。早ければ30分後にはすっかり慣れているはずなので、しばらく使い続けてみるのがコツです。

会社を出たらパソコン用メガネをかける


 ブルーライトをカットするアイテムで、もうひとつ紹介しておきたいのがパソコン用メガネです。
 これは、メガネのレンズがブルーライトの吸収や反射をしてくれるという商品です。メガネ量販店などで気軽に購入でき、度つきの商品も販売されています。

 このアイテムのよいところは、帰宅途中の様々なブルーライトをカットしてくれるということ。

 ブルーライトは何もスマートフォンやタブレットの画面に限った話ではなく、LED照明や昼白色の蛍光灯にも含まれています。
 つまり駅のプラットホームや電車の中、あるいは飲食店の照明など、街中のいたるところでブルーライトが溢れているのが現状です。

 そこで役立つのが、パソコン用メガネ。これを装着することで、夜間のブルーライトによる悪影響をさらに軽減することができるというわけです。

 個人差はありますが、夕方以降にパソコン用メガネをかけるだけでも、不思議と心がリラックスでき、自然と眠たくなるような心地よい感覚が得られます。逆にいうと、いかに日頃大量のブルーライトを目に浴びているのかがわかります。

 ただ、注意しておきたいのはアイテムに頼りすぎることです。パソコン用メガネも液晶保護フィルムも、ブルーライトを100%カットするわけではなく、あくまで習慣改善の補助として使うツールです。

 就寝の1~2時間前はなるべくブルーライトを遠ざけるというルールを忘れず、上手にこれらのアイテムを睡眠習慣に取り入れることを心がけましょう。





9割の不眠は「夕方」の習慣で治る
白濱龍太郎 著



【著者】白濱龍太郎(しらはま りゅうたろう)
睡眠専門医・RESM(リズム)新横浜睡眠呼吸メディカルケアクリニック院長。関東初の睡眠時無呼吸症候群の病院長を務め、現在は新横浜に、寝具メーカー丸綿本社内に、睡眠障害、呼吸器内科疾患専門のクリニック「RESM(リズム)新横浜」を開設。いま多くのビジネスパーソンを悩ます、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、むずむず脚症候群、REM睡眠行動障害等の保険診療が可能な専門施設として注目される。治療にとどまらず、栄養指導や生活習慣指導を実施。自身も体調管理や健康への意識は高く、休日にはサーフィンやトライアスロンの大会に出るなどアクティブに活動。最近はワールドビジネスサテライト出演、日経新聞掲載をはじめマスコミ露出が多く、休診日には全国にて講演を行うなど、「睡眠」の分野でいま最も注目されるドクターである。著書に『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』(アスコム)、『9割の不眠は「夕方」の習慣で治る』(SB新書)などがある。
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