カルチャー
2014年7月3日
流す前にチェック! ウンチこそ最良の健康診断
[連載] 『腸をダマせば身体はよくなる』より【4】
辨野義己
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腸内細菌のバランスがいいとオナラはあまり臭わない


 ウンチと同じようにオナラも臭いほど腸内細菌のバランスが悪い、といえます。これは悪玉菌がつくりだす有害物質の臭いです。逆に、善玉菌が優位で腸内細菌のバランスがよければ、ウンチもオナラもあまり臭いません。

 つまり、ウンチもオナラも同じ臭いがするのです。ですから、普段よりも臭いウンチやオナラが出たら、腸内環境が悪化している証拠なのです。

 オナラの正体は、口から飲み込んだ空気と腸内細菌が食べかすを分解するときに発生するガスです。腸内では、1日に1リットル前後のガスが発生しています。

 個人差は大きいのですが、腸内細菌のバランスがいい人のオナラは、主に窒素(50~70%)や二酸化炭素(5.1~29%)が占めており、このほか水素、酸素、メタンガスなどの不活性ガスで、あまり臭くありません。ところが、腸内細菌のバランスが悪いと、アンモニアや硫化水素、スカトール、インドール、フェノール、メチルメルカプタンなど、悪臭を放つガスが増えます。

 便秘が続くと、腸内にウンチがとどまることになりますので、有害物質だけでなく、これらのガスも発生しやすくなります。なかでもたんぱく質が腐ったような臭いや刺激臭がしたら危険信号です。

 オナラの大部分は排便時にウンチと一緒に出ます。ところが、便秘が続いてオナラが出なかったり、オナラを我慢したりすると、排泄されないガスが大腸の毛細血管から吸収され、血液とともに身体じゅうを駆け巡り、最終的には肺から口へと呼気ガスとして出されます。口からオナラ? 臭くないの? と思う人もいるでしょうが、この段階では血液で薄まっているため、オナラのような臭いがするわけではありません。

 ちなみにサツマイモを食べるとオナラが出やすくなる、といわれていますが、これはサツマイモに含まれる食物繊維が腸内細菌のエサとなってガスを発生させるからで、オナラの量のわりに臭いません。このことからもわかるように、動物性脂肪が少なく、食物繊維が多い食事を摂っていると、オナラはあまり臭わないのです。

 オナラをしたときに火を近づけると燃えることがある、というのは俗説ではありません。これはオナラの成分である水素やメタンガスが可燃性だからです。ある病院で大腸の手術をしていて電気メスを使ったら、腸内細菌が産生したメタンガスに引火して爆発、といったこともあったみたいです。

(第4回・了)





腸をダマせば身体はよくなる
辨野義己 著



【著者】辨野 義己(べんの よしみ)
1948年大阪府生まれ。独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長。 農学博士。DNA解析により腸内細菌を多数発見。腸内細菌と病気との関係を広く調べ、ビフィズス菌・乳酸菌の健康効果を広く訴えている。「うんち博士」としても、テレビ・雑誌等マスコミに登場。ヤクルト、協同乳業、ビオフェルミン、フジッコ、森永乳業、東亜薬品工業など7社出資で、理化学研究所内に辨野義己特別研究室を開設。著書に『大便通』(幻冬舎)、『見た目の若さは腸年齢で決まる』(PHP)、『腸をダマせば身体はよくなる』(SB新書)などがある。



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