カルチャー
2014年7月14日
生きた善玉菌を摂っても、腸内に定着しない
[連載] 『腸をダマせば身体はよくなる』より【5】
辨野義己
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テレビや雑誌などで「うんち博士」として知られる、腸や便の研究の第一人者である辨野義己 先生の著書『腸をダマせば身体はよくなる』から、腸と上手に付き合っていく方法を紹介する連載。第5回目は、腸とヨーグルト、漢方薬の関係について解説します。


実は腸内に定着しづらい善玉菌


 ビフィズス菌や乳酸菌など、生きた善玉菌入りのヨーグルトを摂ると、腸内環境がよくなります。そのことはだれもが知っているかもしれませんが、今週は3日もヨーグルトを食べたので、もう食べなくてもいい、といったようなことを思っている人は少なくありません。

 しかし、これは間違いで、毎日300グラムくらい摂らなければならないのです。ビフィズス菌や乳酸菌など、生きた善玉菌が入ったヨーグルトを摂っても、これらの菌は腸内に定着しないからです。

 では、どうして定着しないのでしょうか?

 私たちの身体には免疫機能が備わっているため、細菌やウイルスなどが侵入すると排除しようとします。これはヨーグルトに含まれているビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌も例外ではありません。

 ところが排除されず、腸をダマして共存している菌もいます。腸内細菌がまさにそうで、私たちの身体に常在する免罪符(免疫寛容)が与えられているため、腸粘膜にくっついて定着できるのです。もしヨーグルトから摂った善玉菌が腸内で常在すれば菌交代症を起こしてしまい、腸内細菌が減少してバランスが崩れてしまいます。

 生きた善玉菌入りのヨーグルトを摂ると腸内環境がよくなるのは、腸内細菌の増殖を促進したり抑制したりする働きがあるため、結果的に元々腸内に棲んでいるビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が活性化されて増えるからです。

 人間の身体に棲むビフィズス菌や乳酸菌を摂ることはできないのか、と思う人もいるでしょう。これなら腸をダマすことができ、腸内に定着しそうです。

 結論からいうと、自分の腸内に棲んでいるビフィズス菌なら定着します。方法としては、腸内細菌の構成がもっとも健全な青年期のビフィズス菌を分離・培養させたものを保存しておき、老化とともに悪玉菌が増えてきたら摂るのが理想的です。自分の菌ですから定着しますし、もっとも自分の腸に合った菌なのでリスクもありません。

 実際、私はこの方法で増やした自分のビフィズス菌を凍結乾燥させたものをカプセルに入れ、時々飲むようにしています。






腸をダマせば身体はよくなる
辨野義己 著



【著者】辨野 義己(べんの よしみ)
1948年大阪府生まれ。独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長。 農学博士。DNA解析により腸内細菌を多数発見。腸内細菌と病気との関係を広く調べ、ビフィズス菌・乳酸菌の健康効果を広く訴えている。「うんち博士」としても、テレビ・雑誌等マスコミに登場。ヤクルト、協同乳業、ビオフェルミン、フジッコ、森永乳業、東亜薬品工業など7社出資で、理化学研究所内に辨野義己特別研究室を開設。著書に『大便通』(幻冬舎)、『見た目の若さは腸年齢で決まる』(PHP)、『腸をダマせば身体はよくなる』(SB新書)などがある。



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