カルチャー
2014年12月8日
東京の地価「西高東低」は崩壊する!?
[連載]
不動産を買うなら五輪の後にしなさい【特別編】
話題の『日本の地価が3分の1になる!』を不動産鑑定士が読んでみた
東京の「西高東低」を覆す、東側の活気あるフロンティア地域とは?
つまり、現在の西高東低は、100年前の社会背景を基にした都市開発により形成されているとも言えるでしょう。しかしながら、西側地域の地価高騰、通勤ラッシュの混雑、駅からの距離や起伏、街全体の老朽化などから、こういった「田園都市」から人が流出している現象が起きています。その一方で、地価や家賃が安く、交通網が発達し、勤務地への距離が近い東京の東側地域が見直されています。例えば、建設技術の向上が可能にした湾岸地域のタワーマンション、海外移転などによる工場跡地の再開発、既存のビルを活用したリノベーションなどが挙げられます。
同書でも第4章「東京主要駅周辺の現状と将来」において東京電機大学の移転やここ数年人口増加が続いている北千住を取り上げ、「鉄道は、JR常磐線~中略~つくばエクスプレスも乗り入れ、大変便利な交通の要所となった。まさに大宿場町の復活である」と明るい将来性を記しています。
また、Open A Ltd.代表で東京R不動産ディレクターの馬場正尊氏は、神田、日本橋など東京の東側地域をCET(セントラル・イースト・トーキョー)と呼称し、「かつての東京の中心部であった地域を、デザイン、アート、建築の観点から「再発見=創造」するため」の運動を展開しています(『都市をリノベーション』NTT出版)。
このように、新しい時代のフロンティアは東京の東側にあるようです。今後、成熟してしまった西側地域から、開発の余地ある東側地域へと、ヒト・モノ・カネ、そして情報が移転していく可能性は十分にあるのではないでしょうか。
(了)
萩原 岳(はぎわら がく)
千葉県生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。株式会社アプレ不動産鑑定 代表取締役。不動産鑑定士。在学中より不動産鑑定業界に携わり、2007年不動産鑑定士論文試験合格、2010年不動産鑑定士として登録する。数社の不動産鑑定士事務所勤務を経て、2014年株式会社アプレ不動産鑑定を設立し、現職。相続税申告時の不動産評価など税務鑑定を専門とし、適正な評価額の実現を掲げ、相続人と共に「戦う不動産鑑定士」として活動する。また、実務で培った経験をもとに、「相続と不動産」について税理士、弁護士、不動産鑑定士など相続の実務家を相手とした講演活動も行っている。
千葉県生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。株式会社アプレ不動産鑑定 代表取締役。不動産鑑定士。在学中より不動産鑑定業界に携わり、2007年不動産鑑定士論文試験合格、2010年不動産鑑定士として登録する。数社の不動産鑑定士事務所勤務を経て、2014年株式会社アプレ不動産鑑定を設立し、現職。相続税申告時の不動産評価など税務鑑定を専門とし、適正な評価額の実現を掲げ、相続人と共に「戦う不動産鑑定士」として活動する。また、実務で培った経験をもとに、「相続と不動産」について税理士、弁護士、不動産鑑定士など相続の実務家を相手とした講演活動も行っている。