カルチャー
2015年4月7日
実は危険! 薬を飲むときに、ついやってしまう3つのこと
文・小谷寿美子
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 こんにちは。現役薬剤師の小谷寿美子と申します。

 私は、いつもドラッグストアで一般の方に直接薬の販売をしていますが、そこで仕事をしていると、かなり危険な飲み方をしている人が多くいます。

・薬を水なしで飲む
 (いつか食道に穴があきますよ!)
・ドリンク剤といっしょに飲む
 (→肝臓を破壊することもありますよ!)
・風邪が治らないときに、だらだらと薬を飲み続ける
 (→薬剤性肝障害になる可能性がありますよ!)

 こんな具合ですから、薬剤師としては気が気ではありません。

 先日『その薬があなたを殺す! 薬剤師が教える"知らないと毒"になる薬の話』を出版いたしましたが、もっと多くの方に知っていただきたいので、皆さんがついやっていそうな危険なクスリの飲み方について話をさせていただきます。

(1)薬を水なしで飲む


 薬を水なしで飲んだことはないですか?
 「水の量なんて意識したことがない」という方もいるのではないでしょうか?
 そんな飲み方では、食道に穴があく可能性があることを知っていましたか?

 決められた量の水を飲まないことで起こるのが食道潰瘍という病気です。
 この病気は、食道に穴があくというものです。

 水を飲めば、水と一緒に胃まで薬が届きます。ところが水が少ないと、食道に張りついたまま落ちてこないのです。ごはんは、食道に張りつくと詰まった感じがしますから、すぐ気づくことができます。そこで水を飲んでご飯の詰まりを取ります。

 一方、薬は小さいですから、食道に張りついたことに気づくことができません。そして、そのまま時が流れると...食道に穴があくのです。時の流れは早いですよ。食道という部分はそもそも食べ物を通す部分であって、その場に食べ物を停滞させることはしません。なので、食道は胃に比べて壁の厚みが薄いです。

 もともと壁が薄いところに、何かが停滞しているわけです。粘膜を傷つけて簡単に穴があいてしまいます。

 食道潰瘍を起こしやすい薬に次のようなものがあります。

・抗生物質
 圧倒的に報告が多いのは酸性の抗生物質である、テトラサイクリンやドキシサイク リンです。

・消炎鎮痛剤
 バファリンなど、アスピリンを含む薬です。

・カリウム製剤
 カリウム製剤は粘膜毒性がある薬です。慢性心不全に使われるジキタリス製剤や利 尿剤など、カリウム不足になりやすい薬と一緒に飲むことが多いです。

 消炎鎮痛剤なんて、それこそ市販薬です。意外と身近に使っている薬が危険なのです。



その薬があなたを殺す!
薬剤師が教える“知らないと毒になる”薬の話
小谷寿美子 著



【著者】小谷寿美子(こたにすみこ)
薬剤師。NRサプリメントアドバイザー。薬局界のセカンドオピニオン。明治薬科大学を505人いる学生のなか5位で卒業。薬剤師国家試験を240点中224点という高得点で合格した。市販薬も調剤も取り扱う、地域密着型の薬局チェーンに入社。社歴は10年以上。入社1年目にして、市販薬販売コンクールで1位。管理薬剤師として配属された店舗では半年で売り上げを2倍に上げた実績がある。市販薬、調剤のみならずサプリメントにも詳しい。薬やサプリメントの効かない飲み方、あぶない自己判断に日々、心を痛め、正しい薬の飲み方、飲み合わせを啓蒙中。
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