スキルアップ
2015年9月18日
「真夏日はアイスが売れない!」って本当?──2軸で見るとデータ分析はさらに深まる!
[連載] できる人のデータ・統計術【2】
文・柏木 吉基
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 次に思いついたのは「猛暑日には好んでアイスクリームが食べられるのではないか」という仮説です。
 そこで、同じデータに、「最高気温が30度以上の日数(2014年6-8月)(出典:気象庁)」を2軸目として加えてみました。

図4

 このデータに限ると、右肩下がりの傾向が確認できます。「最高気温が30度以上になると、皆アイスに飛びつく」という仮説と真逆の結果が得られました。暑さは主要な要因でないのか、30度を超えてしまうと、かえってアイス以外のもの(飲み物など)のほうが欲しくなるのかもしれません。(縦軸は3年間を通した平均、横軸は夏の3か月だけのデータのため期間は一致していません)

「飲み物」という発想が出てきたので、アイスと炭酸飲料の消費量の関係も見てみます。「アイスで満足すると炭酸は飲まないのか」「アイス好きは、炭酸もたくさん飲むのか」など、仮説はたくさん立てられます。「炭酸飲料消費量」を2軸に加えました(政令都市別データ、出典:総務省)。

図5

 どうも顕著な関係性は見られません。アイスと炭酸飲料との間には、あまり意味のある繋がりはないのでしょう。確かに一度に両方を頂こうという気にはならないですね。
 そこで、気になったので炭酸飲料と最高気温30度以上の日数との関係も見てみました。

図6

 先のアイスクリームほどの明確さはないものの、やはり気温が高い都市での消費量は少なそうです。飲料市場では、28度を超えると炭酸飲料よりもお茶や水などの非炭酸飲料が売れるようになると聞いたことがあり、この傾向が見られるのかもしれません。

 こう見ると、アイスも炭酸飲料も、その場所の「気温」の影響があることが推測できます。でもこの場合「暑すぎると売れない」という図式です。






それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術
柏木吉基 著



【著者】柏木吉基(かしわぎよしき)
データ&ストーリー代表。多摩大学大学院 ビジネススクール客員教授。 横浜国立大学・亜細亜大学 非常勤講師。 神奈川県生まれ。慶應義塾大学理工学部卒後、日立製作所入社。2003年MBAを取得後、2004年日産自動車へ。海外マーケティング&セールス部門、組織開発部等を経て2014年独立。グローバル組織の中で、社内変革プロジェクトのパイロットを務め、経営課題の解決、新規事業の提案等、データやロジックを組織の意思決定に活かした数多くの実績と経験を持ち、これらを強みに活動している。現在、大手百貨店やメーカー、地方自治体などへの企業研修や実務で成果を出せるデータリテラシー定着のためのコンサルティングやスキル育成サポートを行なう。大学や大学院での実践的なビジネス授業も英語・日本語で展開している。世界120か国、旧東海道500キロを踏破。 著書に『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』(SBクリエイティブ)など。
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