スキルアップ
2015年9月18日
「真夏日はアイスが売れない!」って本当?──2軸で見るとデータ分析はさらに深まる!
[連載] できる人のデータ・統計術【2】
文・柏木 吉基
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 さらにアイスについて調べます。
 次は、「スナック菓子消費量」との関係です。「消費者にとってアイスは"お菓子の一部"として認識されているのか、それとも"別カテゴリー"扱いなのか」が分かるかもしれないと考えました。つまり、"お菓子の一部"であれば、お菓子好きはアイスクリームの消費も多いのではないかという仮説です。

図7


 右上にダントツに飛び出た「金沢市」は、他の嗜好食品同様、他の都市を突き放して1位に君臨しているケースが多く、ここでも同じ結果です。他については「気持右肩上がり」傾向(?)があるとも言えますが、皆さんはどう解釈されるでしょうか。

 最後に、ある程度右肩上がりの傾向が読み取れそうな、他の2軸との組み合わせをご紹介します。
 「その他和生菓子消費量」と「プリン」です。

図8

図9

 みなさんは、これらの結果から、アイスクリーム消費量とのつながりストーリーをどのように解釈されるでしょうか。

 ここで紹介した事例は、ネット上の公的機関から得られるデータを活用して、半分遊び要素も含めてカジュアルに行いました。更に広い範囲での政令都市を含めると違った結果になるかもしれません。
 その意味で、分析精度やデータ収集のやり方など改善どころ、工夫どころはまだまだ考えられるでしょう。みなさんであれば、どんなデータでどうやってみるかも是非考えてみてください。

ただし、ここでお伝えしたい大事なポイントは、

(1)仮説を自分で立ててみること
(2)1軸だけで結果を整理するだけでなく、仮説に基づいたもう1軸(2軸目)を加えることで、ストーリーに繋がる結果を導き出せること

です。これらのアプローチは分析手法を知っているか否かとは別次元にあり、考え方を習得し、場数を踏むことでたくさんの情報を引き出せるようになります。

 今回紹介した「仮説の持ち方」や「1軸から2軸へ視点のシフト」といった、仕事でデータ分析を活用するときに常に必要となる考え方や視点を中心に、具体的な分析手法のテクニックまで私の近著『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』(SBクリエイティブ)に書いてありますので、是非ご覧ください。また、企業向けの研修や、一般実務や課題解決の中でデータを活かせる人材を育成するための実務サポートも行っています。詳しくは、データ&ストーリーのホームページをご覧ください(http://www.data-story.net

(了)





それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術
柏木吉基 著



【著者】柏木吉基(かしわぎよしき)
データ&ストーリー代表。多摩大学大学院 ビジネススクール客員教授。 横浜国立大学・亜細亜大学 非常勤講師。 神奈川県生まれ。慶應義塾大学理工学部卒後、日立製作所入社。2003年MBAを取得後、2004年日産自動車へ。海外マーケティング&セールス部門、組織開発部等を経て2014年独立。グローバル組織の中で、社内変革プロジェクトのパイロットを務め、経営課題の解決、新規事業の提案等、データやロジックを組織の意思決定に活かした数多くの実績と経験を持ち、これらを強みに活動している。現在、大手百貨店やメーカー、地方自治体などへの企業研修や実務で成果を出せるデータリテラシー定着のためのコンサルティングやスキル育成サポートを行なう。大学や大学院での実践的なビジネス授業も英語・日本語で展開している。世界120か国、旧東海道500キロを踏破。 著書に『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』(SBクリエイティブ)など。
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