カルチャー
2015年10月16日
若くても「腸年齢」が高ければ認知症予備軍
[連載] 認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい【2】
文・新谷弘実
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患者さんの顔を見れば、腸の状態はわかる


 腸年齢が高くなりすぎないよう注意したくとも、何を基準に気をつければいいのかわからない人は多いでしょう。たしかに腸の中の様子は自分では確認できない、腸の加齢は見えないところで進むといいましたが、じつは外から見て、腸が若いか老化しているかを判断できるポイントがひとつあります。それは肌の状態です。

 いろいろな方のいろいろな腸を何十万例も見てきたことで、私は初診で患者さんの顔を見ただけで、その方の腸の状態がわかるようになりました。なぜなら肌の張り、色、つやは、腸内環境の状態をてきめんに反映するからです。

 実際に、肌の状態がよく、実年齢よりも若く見える人は、大体が腸も若く健康であったものです。反対に、肌が荒れていたり、くすんでいたり、張りがなくて血色が悪い人は、腸の老化も進んでいることが少なくありませんでした。

 もちろん60代の方が、10代と同じような肌の状態でいることはできません。重ねてきた年月の片鱗は、それなりに顔に刻まれるものでしょう。とはいえ実年齢よりもかなり老けて見えるような人は、やはり腸の老化も進んでいると考えて差し支えはないのです。

 老化とは、ひと言で説明すれば「細胞の老化」です。細胞が老化する一因は、十分な栄養素や水分が届かないこと、細胞を傷めつける活性酸素などの悪者を取り除けないことにあります。

 これはつまり、腸が食べ物からの栄養素を十分吸収できなくなっている状態にあり、なおかつ免疫力を発揮できない状態に陥っていることを示します。それだけ腸が老化して、働きを弱めてしまっているということなのです。ですから腸の老化を防ぐこと、老化のスピードを速めないことがアンチエイジングの根本といえるのです。

 腸の老化を早める要因は、食べ物、食べ方、生活習慣の質、そして心のもちようにあります。この4つのうち、どれかひとつでも突出して崩れていれば、その影響はたちまち腸に及び、腸内の状態を悪化させます。

 肌の状態だけでなく、表情に生気が感じられない、瞳がいきいきとしていないような人も、脳に送られるべき栄養素や神経伝達物質の素が届いていないことを示唆しています。これも腸がしっかり働けていない証拠といってよいのです。

急に老け込む人は腸の老化に危険信号


 ある程度年齢を重ねれば、否応なく肉体は衰えていきます。生理的な老化は、私たちが生き物である以上は避けられません。その老化のスピードには個人差もあります。
 年齢とともに徐々に老化が進んでいく人もいれば、いくつになってもあまり老けない人、あるいはある年齢を境に一気に老けていく人もいて千差万別です。これはみなさんの周りの人たちを見ていても、頷けることかと思います。

 とはいえ、老け込むスピードがあまりにも速い方は、たとえ病気や不調を自覚していなくても気をつけてください。腸の老化が猛スピードで進んでいる可能性が高いからです。

 腸が老化することの最大の弊害は、腸内細菌たちが生命活動に不可欠な体内酵素を十分つくり出せなくなり、細胞の代謝が悪くなってしまう点にあります。
 細胞の健康を損なう最大の敵が活性酸素(フリーラジカル)です。

 私たちは大気中の酸素がなければ生きてはいけません。体内に取り込まれた酸素は、細胞内に届けられると細胞の中の糖分や脂肪を燃やしてエネルギーをつくり出します。私たちが生きて動くためのエンジンを起動させるうえで大切な存在です。

 しかし酸素には、物質と結合することで酸化を起こすという性質もあります。酸化とは、わかりやすくいえば「サビる」ということです。
 そのサビさせる力が、普通の酸素よりも数十倍と強力なのが活性酸素なのです。

 そのため、活性酸素が生じにくい食生活や生活習慣、免疫の要である腸を疲れさせない食生活や生活習慣を大事にすることが何よりも不可欠といえるのです。






認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい
新谷弘実 著



新谷 弘実(しんや・ひろみ)
1935年福岡県出身。医学博士。ベス・イスラエル病院名誉外科部長。米国アルバート・アインシュタイン医科大学外科元教授。1960年順天堂大学医学部卒業後、1963年に渡米。1968年に「新谷式」と呼ばれる大腸内視鏡の挿入技術を考案し、世界で初めて開腹手術をすることなく内視鏡による大腸ポリープ切除に成功。その技術によりガン発症リスクを大きく減少させ、医学界に大きく貢献する。日米で35万例以上の胃腸内視鏡検査と10万例以上のポリープ除去手術を行ったこの分野の世界的権威。著書にミリオンセラーになった『病気にならない生き方』シリーズ(サンマーク出版)、『胃腸は語る』(弘文堂)、監修に『免疫力が上がる!「腸」健康法』(三笠書房)など多数ある。
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