カルチャー
2015年11月13日
酵素を含まない「死んだ食品」を口にしないほうがいい理由
[連載]
認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい【6】
文・新谷弘実
いくら食生活に気をつけているつもりでも、「死んだ食品」ばかり食べていては本末転倒です。死んだ食品とは酵素が含まれていない食品で、腸相をよくするには、酵素が含まれた「生きている食品」を摂らなければなりません。連載最終回となる今回は、「死んだ食品」を避け、どのような「生きている食品」を摂ればいいのかについて解説します。
酵素が含まれていない食品は「死んだ食品」
加工品には、活性酸素をつくるケミカル物質の食品添加物がいろいろと含まれています。材料に何が使われているかに頓着しない買い方・食べ方は、将来の脳や身体によくない影響を与えることにつながります。
加工された食品を食べ続けることが健康を損ねることになるのは、化学調味料や食品添加物、人工甘味料といった、身体にとってよくない化学成分がたくさん使われているからだけではありません。工場でつくられた工場由来のものは「死んだ食品」でもあるからです。特に人体に大きな支障を与えるマーガリンやショートニングなどの「トランス脂肪酸」が含まれたものは避けるようにしてください。
私がいう「死んだ食品」とは、酵素が含まれていない食品を指します。
体内酵素は、ダムの水と同様、外からの補給がなければ減っていくばかりです。外からの補給ということは、酵素が含まれた食物を食べて、体内に取り入れるということです。
酵素が含まれた食物であるための条件は、「生命力がある」こと、「自然のままである」こと、そして「新鮮である」ことです。工場でつくられた食べ物が、このどの条件も満たしていないことは明白です。だから、酵素を補給することはできません。しかも化学成分が活性酸素を発生させて、その解毒に酵素をたくさん使うことになってしまいます。
「生命力がある」「自然のままである」「新鮮である」というのは、ひと言でいえば「生きている食品」ということです。
「生きている食品」とは、酵素が含まれた食品
「生きている食品」といわれても、ピンとこない人も多いかもしれません。生きている食品と思われるものも少なくないからです。
たとえば穀物なら、多くの家庭で食べられている白米は、米の最も大切な部分を、「精製」によって取り除いてしまった「死んだ食品」です。なぜなら果皮、種皮、糊粉層など「ぬか」と呼ばれている部分、そして「胚芽」の部分を削っているからです。生命力がない証拠に、白米を水につけて日光を当てても、決して発芽しません。
しかし玄米は違います。玄米は、外側のもみ殻だけを外したお米ですから、水につけて適当な温度を保てば発芽します。発芽できる玄米は、生命力がある「生きた食品」といえるのです。
野菜や果物、豆類、精製されていない穀類といった植物性の食品は、適した環境に置かれると、育ち続けたり、芽を出したりします。それは植物も酵素をもっており、その力が働くためです。
私たち人間だけでなく、植物も動物も魚介類も、生きているものにはすべて酵素が存在します。肉や魚にも酵素は含まれています。基本的に、私たちが食材として口にしているものにはすべて酵素が含まれているのです。
しかし時間が経つほどに、酸化という形で酵素は失われていきます。また農薬や発色剤、漂白剤などが使われたものは、食材そのものがもつ酵素を化学成分で減らされてしまった「半分死んだ食品」といってよいでしょう。ですから、食べ物から酵素を補給するには「自然のままである」「新鮮である」ことが欠かせません。
「生命力がある」「自然のままである」「新鮮である」の3つから離れた食品は、どれほど食べようとも、健康のカギを握る酵素を取り入れることはできませんし、食べ続けるほどに体内酵素を消費します。酵素のない「死んだ食品」は、なるべく口にしないほうがよいのです。
新谷 弘実(しんや・ひろみ)
1935年福岡県出身。医学博士。ベス・イスラエル病院名誉外科部長。米国アルバート・アインシュタイン医科大学外科元教授。1960年順天堂大学医学部卒業後、1963年に渡米。1968年に「新谷式」と呼ばれる大腸内視鏡の挿入技術を考案し、世界で初めて開腹手術をすることなく内視鏡による大腸ポリープ切除に成功。その技術によりガン発症リスクを大きく減少させ、医学界に大きく貢献する。日米で35万例以上の胃腸内視鏡検査と10万例以上のポリープ除去手術を行ったこの分野の世界的権威。著書にミリオンセラーになった『病気にならない生き方』シリーズ(サンマーク出版)、『胃腸は語る』(弘文堂)、監修に『免疫力が上がる!「腸」健康法』(三笠書房)など多数ある。
1935年福岡県出身。医学博士。ベス・イスラエル病院名誉外科部長。米国アルバート・アインシュタイン医科大学外科元教授。1960年順天堂大学医学部卒業後、1963年に渡米。1968年に「新谷式」と呼ばれる大腸内視鏡の挿入技術を考案し、世界で初めて開腹手術をすることなく内視鏡による大腸ポリープ切除に成功。その技術によりガン発症リスクを大きく減少させ、医学界に大きく貢献する。日米で35万例以上の胃腸内視鏡検査と10万例以上のポリープ除去手術を行ったこの分野の世界的権威。著書にミリオンセラーになった『病気にならない生き方』シリーズ(サンマーク出版)、『胃腸は語る』(弘文堂)、監修に『免疫力が上がる!「腸」健康法』(三笠書房)など多数ある。