スキルアップ
2016年11月30日
ちょいちょい席を外すアイツの成績が抜群なワケ──仕事や勉強の効率を上げる5つのノウハウ
文・児玉 光雄
あなたの周りに、あまり努力をしているように見えないのに、仕事でも勉強でも成績が抜群によい人はいませんか? プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーも務め、ビジネスの能力開発推進にも力を注いでいる児玉 光雄さんは、著書『勉強の技術』の中で、「脳科学や心理学の法則にのっとったスマートな方法で勉強することにより、勉強の効率は2倍にも3倍にもなる」と述べています。その児玉 光雄さんに、勉強の効率を上げるノウハウを語っていただきました。
「初頭効果」と「終末効果」をうまく使う
与えられた勉強時間の中で、いかに集中力を高めて効率よく勉強するかは、勉強の成果を左右する重要なテーマです。学生時代、学校の図書館や塾・予備校の自習室などで、ちょいちょい席を外すにもかかわらず、成績が良かった人はいませんでしたか? 実はこれ、ちゃんと理由があるのです。
集中力については、「初頭効果」と「終末効果」という「心理学の法則」にのっとった勉強法を確立することが重要です。これは「何をするにしても、最初と最後に集中レベルが高まる」という心理法則です。言い換えれば、長時間勉強し続けると、さっぱり集中力が高まらない中だるみの時間が生まれてしまうということです。この中だるみの時間を、できるだけ減らすことが勉強を効率化する秘訣なのです。
たとえば、勉強を2時間するとして、合間に15分の休憩時間を設定するとしましょう。このとき、以下の(1)と(2)ではどちらがベターでしょうか?
(1)1時間勉強した後に15分の休憩をとる
(2)30分勉強するたびに5分間の休憩を3回とる
そう、(2)です。なぜなら、初頭効果と終末効果が2回から6回に増加するからです。
もちろん、休憩中はお茶を飲んだり、机から離れて軽いストレッチをするなどして気分転換しましょう。ただし、気分転換しようと思って休憩中、スマホゲームに興じたりすると、かえって逆効果になることもありますから慎みましょう。
休憩は短時間でいいので、できるだけたくさん設定することが、初頭効果と終末効果が働くので、あなたの勉強効率を着実に高めてくれるのです。
とはいえ、それでも集中力は時間とともに落ちてきますから(誰でも疲れてくるので)、たとえば英語の勉強をするときは、最初の30分間に難易度の高い勉強する、あるいは、まったく学習していなかった新しい学習をする時間にあてましょう。そして、最後の30分間は、その日勉強した内容を復習することに努めましょう。
なお、これと同じ事は仕事でも言えます。頻繁に席を外すわりには成績がいい同僚が周りにいないでしょうか? 席を外すことが多いと「あいつは集中力がない」などと思われることがあるかもしれませんが、実は「集中力を切らさないために、あえて席を外している」のかもしれませんね。
児玉 光雄(こだま・みつお)
1947年、兵庫県生まれ。追手門学院大学客員教授。前鹿屋体育大学教授。京都大学工学部を卒業後、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院にて工学修士号取得。米国オリンピック委員会スポーツ科学部門の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事。専門は臨床スポーツ心理学、体育方法学。プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーも務めている。スポーツ界各分野のチャンピオンやビジネス界の成功者をさまざまな分野から分析し、ビジネスの能力開発推進にも力を注ぐ。右脳と記憶の関連性について研究を積み重ね、みずからも落語のもちネタ50以上を誇る。『上達の技術』『マンガでわかるメンタルトレーニング』『マンガでわかる記憶力の鍛え方』(サイエンス・アイ新書)、『Kのロジック 錦織圭と本田圭佑』(PHP研究所)、『サッカー日本代表を鍛えた監督力』(イースト・プレス)、『なぜ大谷翔平は二刀流で闘えるのか』(双葉社)、『イチロー思考』『イチロー頭脳』(東邦出版)など、著書は130冊以上。
1947年、兵庫県生まれ。追手門学院大学客員教授。前鹿屋体育大学教授。京都大学工学部を卒業後、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院にて工学修士号取得。米国オリンピック委員会スポーツ科学部門の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事。専門は臨床スポーツ心理学、体育方法学。プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーも務めている。スポーツ界各分野のチャンピオンやビジネス界の成功者をさまざまな分野から分析し、ビジネスの能力開発推進にも力を注ぐ。右脳と記憶の関連性について研究を積み重ね、みずからも落語のもちネタ50以上を誇る。『上達の技術』『マンガでわかるメンタルトレーニング』『マンガでわかる記憶力の鍛え方』(サイエンス・アイ新書)、『Kのロジック 錦織圭と本田圭佑』(PHP研究所)、『サッカー日本代表を鍛えた監督力』(イースト・プレス)、『なぜ大谷翔平は二刀流で闘えるのか』(双葉社)、『イチロー思考』『イチロー頭脳』(東邦出版)など、著書は130冊以上。