スキルアップ
2016年11月30日
ちょいちょい席を外すアイツの成績が抜群なワケ──仕事や勉強の効率を上げる5つのノウハウ
文・児玉 光雄
脳の機能を理解し、それに即した勉強法を取り入れよう
このように、勉強の効率を上げて最大化するには、脳の機能をしっかりと理解して、それに即した勉強法を導入することが大切です。脳科学を無視して、ただ、がむしゃらに勉強したところで、たかが知れています。それだけでなく、そんな勉強法ではいくら時間があっても足りません。
スポーツと同じように、勉強も技術なのです。
もはや、ただ猛練習に明け暮れるだけでは一流のアスリートになれないように、勉強でも効率化や動機付けをはじめとする、さまざまなノウハウを持ち込まない限り、目標や夢をかなえることなど到底不可能なのです。
以下からは、先述の「初頭効果」と「終末効果」を利用した勉強法以外のノウハウも紹介していきます。ぜひ日々の勉強に取り入れてみてください。
勉強スポットを見つける
「ここで勉強をすると、なぜか集中できて記憶したいことがスラスラと頭に入ってくる」という場所がありませんか? もちろん、私にもあります。それが「勉強スポット」です。
実は、人は適度な騒音があるほうが集中できます。完全無音の無響室だと逆に集中できません。また、人の目があると、適度な緊張感を維持できます。場所は、カフェや、学校の図書館や塾・予備校の自習室、ファミリー・レストランなど、どこでも構いません。あなたの使い勝手が良い場所であればどこでもいいのです。
勉強スポットが決まったら、できるだけその場所で勉強する時間を確保してください。
通勤・通学時、いつもより30分早く自宅を出て朝のラッシュ・アワーを避け、比較的空いた電車に座って読書をしたり、勉強するのでも構いません。できるだけ会社に近い場所にお気に入りのカフェを見つけて、出勤前の1時間をなにかの勉強時間にあてるのもお勧めです(その日のスケジュール確認を兼ねて)。
勉強するのに快適な場所を毎日確保できれば、勉強がはかどります。自然に集中力が高まる環境で、勉強にのめり込んでしまいましょう。
画像と文字をセットで学習する
勉強は時間との戦いです。限られた時間で効率的な勉強をすることが重要です。脳はもともと、文字で学習するよりも画像で学習することのほうが自然です。私たちは、文字をそのまま認識して物事を理解するのではなく、脳内でその文字を意味する画像に変換してから、その言葉の持つ意味を理解しています。つまり、文字よりも画像で理解するほうが脳の機能として自然であり、かつ効率的なのです。
ウィスコンシン大学(米国)の調査によると、子どもたちが語彙を学ぶとき、言葉に映像を組み合わせると記憶の保持率が2倍に高ることが判明しました。
たとえば、「Automobile(自動車)」という英単語を覚えるとき、文字だけでなく自動車の画像をその言葉の上に描くことによって明らかに記憶は定着したのです。
フランシスコ・ザビエルや徳川家康は、歴史上の有名な人物ですが、あなたは、文字だけでなく、その肖像画でも記憶しているはずです。もしも肖像画がなかったとすれば、記憶に定着させるのによりエネルギーが必要になったはずです。
もちろん、試験で解答するのは画像ではなく文字なのですが、記憶するときの主役はあくまでも画像であり、言葉は脇役にすぎないということを肝に銘じてください。これこそ、脳科学に即した学習法なのです。最近は、辞書や参考書の多くが画像とともにDVD-ROM化されているので、文字と画像をセットで参照するようにしましょう。
児玉 光雄(こだま・みつお)
1947年、兵庫県生まれ。追手門学院大学客員教授。前鹿屋体育大学教授。京都大学工学部を卒業後、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院にて工学修士号取得。米国オリンピック委員会スポーツ科学部門の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事。専門は臨床スポーツ心理学、体育方法学。プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーも務めている。スポーツ界各分野のチャンピオンやビジネス界の成功者をさまざまな分野から分析し、ビジネスの能力開発推進にも力を注ぐ。右脳と記憶の関連性について研究を積み重ね、みずからも落語のもちネタ50以上を誇る。『上達の技術』『マンガでわかるメンタルトレーニング』『マンガでわかる記憶力の鍛え方』(サイエンス・アイ新書)、『Kのロジック 錦織圭と本田圭佑』(PHP研究所)、『サッカー日本代表を鍛えた監督力』(イースト・プレス)、『なぜ大谷翔平は二刀流で闘えるのか』(双葉社)、『イチロー思考』『イチロー頭脳』(東邦出版)など、著書は130冊以上。
1947年、兵庫県生まれ。追手門学院大学客員教授。前鹿屋体育大学教授。京都大学工学部を卒業後、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院にて工学修士号取得。米国オリンピック委員会スポーツ科学部門の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事。専門は臨床スポーツ心理学、体育方法学。プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーも務めている。スポーツ界各分野のチャンピオンやビジネス界の成功者をさまざまな分野から分析し、ビジネスの能力開発推進にも力を注ぐ。右脳と記憶の関連性について研究を積み重ね、みずからも落語のもちネタ50以上を誇る。『上達の技術』『マンガでわかるメンタルトレーニング』『マンガでわかる記憶力の鍛え方』(サイエンス・アイ新書)、『Kのロジック 錦織圭と本田圭佑』(PHP研究所)、『サッカー日本代表を鍛えた監督力』(イースト・プレス)、『なぜ大谷翔平は二刀流で闘えるのか』(双葉社)、『イチロー思考』『イチロー頭脳』(東邦出版)など、著書は130冊以上。