スキルアップ
2016年11月30日
ちょいちょい席を外すアイツの成績が抜群なワケ──仕事や勉強の効率を上げる5つのノウハウ
文・児玉 光雄
「集中学習」と「分散学習」を理解する
勉強を同じ時間しても、その密度によって効果はまったく違ったものになります。一般的に、集中して一挙に学習するのを「集中学習」、ある程度時間を分散させてコツコツ学習する形態を「分散学習」と呼びます。たとえば、「一夜漬け」は集中学習です。
効率的なのは、もちろん分散学習です。さまざまな実験で、集中学習よりも分散学習のほうが、学んだことを忘れにくいという結論が出ています。集中学習では、一気に記憶した反動として一気に忘れてしまうのです。集中学習は短期記憶としては記憶されますが、長期記憶に移行しにくいのです。
結局のところ、コツコツと毎日勉強する人のほうが、明らかに豊富な知識を身に付けられるのです。もちろん、長期間にわたって勉強を強いられる受験や、弁護士や公認会計士に代表される資格試験においても、分散学習のほうが有効であることは言うまでもありません。
勉強ノートを作る
文字として形に残さないと、今、あなたが考えていることは、永遠に闇に葬り去られる運命にあります。受験勉強や資格試験で良い結果を残したかったら、まずは「勉強ノート」を作成して、そのときどきの思いを形に残しましょう。
勉強ノートは肌身離さず持ち歩き、時系列的に、その時々に思いついたことを書き記しましょう。なぜなら、脳は、あなたの人生に起こったどんな些細な出来事でも、エピソード記憶として、時系列的に、しかもとても正確に覚えているからです。また、時系列的にまとめていれば、とても読み返しやすくなります。
勉強ノートには、以下の5つの要素を盛り込みましょう。
(1)日々勉強のゴール(目標)
(2)勉強のご褒美
(3)体調管理について
(4)欠点や失敗した事実
(5)そのときどきに考えていること
常にこの5つの要素を意識しながら、思うまま勉強ノートに記述していきます。読んだ本の感想、その時々に勉強について思いついたことを、小まめに記入していきます。
勉強ノートが邪魔になる場所ではメモ用紙を使うとよいでしょう。運動中や就寝中にも、脳はアイデアや直観を絶え間なく出力し続けています。メモ用紙や付箋紙に記入したものは、勉強ノートに直接書き写すか、貼るか、そのどちらかを選択してください。この作業で新たな勉強のヒントが生まれたり、自分が重要視していることの確認ができるのです。
・常に作業の優先順位を確認しながら勉強しているか?
・過去問を最重要視しながら勉強を進めているか?
・勉強を阻害する作業をしていないか?
・やらなくても良い無駄な作業をしていないか?
上記のようなことを確認しながら、自分だけの勉強ノートを使って、最高の勉強ができる環境づくりに努めましょう。
(了)
児玉 光雄(こだま・みつお)
1947年、兵庫県生まれ。追手門学院大学客員教授。前鹿屋体育大学教授。京都大学工学部を卒業後、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院にて工学修士号取得。米国オリンピック委員会スポーツ科学部門の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事。専門は臨床スポーツ心理学、体育方法学。プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーも務めている。スポーツ界各分野のチャンピオンやビジネス界の成功者をさまざまな分野から分析し、ビジネスの能力開発推進にも力を注ぐ。右脳と記憶の関連性について研究を積み重ね、みずからも落語のもちネタ50以上を誇る。『上達の技術』『マンガでわかるメンタルトレーニング』『マンガでわかる記憶力の鍛え方』(サイエンス・アイ新書)、『Kのロジック 錦織圭と本田圭佑』(PHP研究所)、『サッカー日本代表を鍛えた監督力』(イースト・プレス)、『なぜ大谷翔平は二刀流で闘えるのか』(双葉社)、『イチロー思考』『イチロー頭脳』(東邦出版)など、著書は130冊以上。
1947年、兵庫県生まれ。追手門学院大学客員教授。前鹿屋体育大学教授。京都大学工学部を卒業後、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院にて工学修士号取得。米国オリンピック委員会スポーツ科学部門の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事。専門は臨床スポーツ心理学、体育方法学。プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーも務めている。スポーツ界各分野のチャンピオンやビジネス界の成功者をさまざまな分野から分析し、ビジネスの能力開発推進にも力を注ぐ。右脳と記憶の関連性について研究を積み重ね、みずからも落語のもちネタ50以上を誇る。『上達の技術』『マンガでわかるメンタルトレーニング』『マンガでわかる記憶力の鍛え方』(サイエンス・アイ新書)、『Kのロジック 錦織圭と本田圭佑』(PHP研究所)、『サッカー日本代表を鍛えた監督力』(イースト・プレス)、『なぜ大谷翔平は二刀流で闘えるのか』(双葉社)、『イチロー思考』『イチロー頭脳』(東邦出版)など、著書は130冊以上。