カルチャー
2014年3月13日
ドバイの「世界一」を支える日本の技術。でも謙虚だと伝わらない!
[連載] 住んでみた、わかった! イスラーム世界【2】
文・松原直美
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世界から年間1000万人を呼びこむ都市ドバイ。世界一の高さを誇るビル、街中どこでもつながるWi-Fiなど、先端的な近未来都市である一方で、そこに暮らす人々はイスラームの教えに忠実に生きていた! 古来からの習俗を尊重しつつ、超近代的な生活をしている奥深いイスラームの世界を、『住んでみた、わかった! イスラーム世界』の著者・松原直美が紹介します。


『キャプテン翼』をアラブで知らない子供はいない!?


 放映時間になると外に出ている子供がいなくなった、と言われるほど『キャプテン翼』はアラブで人気を博した番組です。『キャプテン翼』は翼というサッカー好きの少年が努力を重ねて世界的に活躍するサッカープレーヤーになるという話で、アラブでは「キャプテンマージド」に改題されています。このアニメを知らない若いUAE人はいないと言っても過言ではありません。

 「どうしてマージドはこんなに人気があるの?」とUAE人たちに聞くと、彼らは声を揃えてこう言いました。「マージドは日々こつこつと練習に励んで、大きな夢を実現する。イスラームもわれわれに忍耐強く、不断の努力をするように、と教えている。だからマージドは良きイスラーム教徒の鏡なんだ」。「アメリカのアニメヒーローは生まれながれにして超人だけれど、日本のヒーローはたいてい等身大の人物。マージドはどこにでもいる普通の少年なのがよい。自分たちがそうなりたいと奮い立たせてくれるから」。

 努力する姿はマージドだけでなく日本人全体にも向けられています。「日本は第二次世界大戦で広島と長崎に原爆を投下されて降伏したあと、焼け野原から国民が一丸となって働き復興したので、尊敬しています」。私は何人ものアラブ人にこう言われましたが、アラブ人と接したことのある日本人はたいてい同じ経験があるようです。アラブ諸国の社会科の教科書には敗戦後の日本の軌跡が記述されており、アラブ人は学校で日本の高度成長過程について学んでいます。「イスラームには『最後の日まで種を蒔け。勤労する人は称えられる』という教えがあります」。大学院生の才女マジダさんはこう教えてくれました。

摂氏50度に達する地域でも信頼を得ている日本車


 UAE人の大人は「日本人は勤勉の結果、科学技術も発展させ、便利な製品をたくさん生み出してわれわれの生活を豊かにしてくれた」とよく言います。その筆頭に挙げられるのが日本車です。UAEは、真夏には摂氏50度まで気温が上がる砂漠に開けた国です。この過酷な自然環境においても壊れない日本車や劣化しにくい日本製のタイヤにUAE人は絶大な信頼を置いています。

 ドバイの面積は東京都の2倍弱ですが、その観光客数は日本全土を訪れる観光客よりも多いためドバイではタクシーがどこにいても目に入ってきますが、タクシーはほとんど日本製です。

 国立ザーイド大学の駐車場にはいつも大衆車から高級車まで日本製の車がずらりと並んでいます。私はその情景を毎日誇らしげに見ながら通勤していました。
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住んでみた、わかった! イスラーム世界
目からウロコのドバイ暮らし6年間
松原直美 著



【著者】松原 直美(まつばら なおみ)
1968年東京生まれ。上智大学経済学部卒業。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学専攻博士後期課程退学。タイの公立高校日本語講師を経て、ドバイへ2006年に移動。UAE国立ザーイド大学にて日本語指導と空手道の初代講師として、2007年~2012年まで勤務。UAEでは茶道の振興にも携わった。現在はロンドン在住だが、UAEと日本の架け橋となるべく活動を続けている。著書に『住んでみた、わかった! イスラーム世界』がある。 ブログ「ドバイ千夜一夜」(http://blogs.yahoo.co.jp/dubai1428)は、2007年から連載をはじめ、もう少しで1000回を数える。