カルチャー
2015年4月23日
21時以降の食事は命を縮める"毒"となる
[連載] 病気を防ぐ「腸」の時間割【5】
文・藤田紘一郎
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どうしても21時以降に食事をする場合は

 
 21時以降に食事をせざるを得ない場合は、どのような食事をするとよいでしょうか。やむを得ず21時以降に食事をする場合の、体内時計の狂いをできるだけ抑えるためのポイントを紹介します。

 まずは、脂肪に変わりやすい食品の摂取を控えることです。 脂肪に変換されやすい食品は第一に、白米や麺類など、白く精製された炭水化物です。炭水化物にはブドウ糖がたくさん含まれます。また、砂糖や小麦粉をたっぷり使ったお菓子やパン、糖度の高い果物にも糖質がたっぷりです。

 脂質の多い食品も脂肪になりやすいものです。脂身の多い肉、揚げ物、卵黄、ナッツ類、スナック菓子、生クリームやバターを使ったグラタンやスイーツなどです。魚も、マグロのトロや魚の肝、しめサバ、サンマ、うなぎなどは脂が多くなります。

 タンパク質もとり過ぎれば脂肪になります。ただし、タンパク質はメラトニンや成長ホルモンなどの材料になりますし、時計遺伝子をつくるのもタンパク質です。タンパク質は体内時計のリズムづくりにも不可欠な栄養素です。21時以降に食事をする際には、脂質の少ない部位の肉や魚、納豆や豆腐などの大豆食品を選ぶとよいでしょう。

 21時以降にする食事は、一人暮らしの人はとくに、手軽なものですませがちです。コンビニ弁当やカップラーメン、レトルト食品などは、脂肪になりやすく、体内時計を狂わせやすい栄養素でできていることを忘れないでください。

 次に、食べ過ぎないこと。「腹八分目に医者いらず」とお話ししましたが、21時以降に食べる際には、腹六分目くらいにしておきましょう。いつもの食事の6割くらいでごちそうさまをすることです。食事によって脳が満たされれば十分と考えてください。

 21時以降にする食事は、「飢餓スイッチ」を脳に入れさせないことが大きな目的です。ですから、「食事をした」という信号が脳へ送られればよいのです。

「三角食べ」は太る。夕食は「ばっかり食べ」がよい


 夕食を食べ過ぎると、それだけで体内時計に狂いが生じることがわかっています。時計の針が後ろにずれてしまうのです。これにより、体が時差ボケの状態になります。日ごろ感じることの多い不調は、夕食の食べ過ぎにも一因があるのかもしれません。

 しかも、夕食を食べ過ぎると、肥満になります。肥満を防ぐには、食べ方にも注目しましょう。大事なのは食べる順番です。

 和食には、ご飯、おかず、汁物の順番で食べる「三角食べ」という食べ方があり、学校給食などでも推奨されています。ただし、この食べ順は太ります。三角食べは、一汁一菜の粗食にて、栄養を効率よく吸収するための食べ方です。成長期の子どもたちが学校給食で行うのはよいのですが、基礎代謝が落ちてくる40歳以上の人には適さない食べ方なのです。

 太らない食べ方は、三角食べと対極にある「ばっかり食べ」です。何か一つの料理ばかりを食べてから、次の料理を食べるという食べ方です。「栄養バランスがかたよるのでよくない」といわれますが、飽食の現代にはこの食べ方がよいのです。

 「ばっかり食べ」の場合、何から食べていくのか、順番が大事です。
 まずは野菜から食べます。だいたい10口くらい野菜料理を食べてください。次に、肉や魚などのタンパク質をとります。主食は最後に食べます。和食でもコース料理では前菜、主菜、ご飯の順番で出てきます。つまり、コース料理を食べる要領です。ただし、繰り返しますが、50歳を過ぎたら、夕食には糖質の豊富な主食はとらないことが大事です。

 「ばっかり食べ」の第一の目的は、エネルギー量の少ない野菜で空腹をまず落ち着かせることです。こうすると、主菜やご飯などのエネルギー量の多いものの食べ過ぎを防げます。また、野菜の食物繊維が先に入ることで、糖質の吸収がゆるやかになり、血糖値の急上昇を防げるのです。
 (健康を左右する夜の食事については、4月16日発売の『病気を防ぐ「腸」の時間割』(SB新書)で解説していますので、ぜひご一読ください)

(了)
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病気を防ぐ「腸」の時間割
老化は夜つくられる
藤田紘一郎 著



藤田紘一郎(ふじたこういちろう)
東京医科歯科大学名誉教授。昭和14年中国旧満州生まれ。三重県育ち。東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学大学院にて寄生虫学を専攻。テキサス大学で研究後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授を経て、昭和62年より東京医科歯科大学教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。日米医学協力会議のメンバーとして、マラリア、フィラリアなどの免疫研究の傍ら、「寄生虫体内のアレルゲンの発見」「ATLウイルスの伝染経路の発見」など多くの業績をあげる。日本寄生虫学会賞、講談社出版文化賞、日本文化振興会社会文化功労賞および国際文化栄誉賞受賞。著書に『笑うカイチュウ』(講談社)、『清潔はビョーキだ』(朝日新聞社)、『脳はバカ、腸はかしこい』(三五館)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(以上、ワニブックス)、『体がよみがえる「長寿食」』(三笠書房)など多数。