カルチャー
2014年6月20日
究極の0円健康法!「ふくらはぎ」をもむと、なぜ体にいいのか?
[連載] 『医者と薬を遠ざける「ふくらはぎ」習慣』より【1】
文・小池弘人
  • はてなブックマークに追加

第2の心臓・ふくらはぎのパワーとは?


 私たちは、とかく特定の健康法にこだわりがちです。でも、本当に求めているのは、健康法それ自体ではなく、あくまでも、自分の体の健康です。

 そのためには、簡単にできて続けやすい習慣でないと難しいでしょう。その点からすると、ふくらはぎは最高とも言える部位です。道具も要りませんし、いつでも気軽にできます。

 また、ふくらはぎは、自分の体の健康を真正面から考える「窓口」としても、非常に有効です。ですから、ふくらはぎを入り口として、さまざまな健康習慣についても考えてみたいと思います。

 「ふくらはぎは第2の心臓である」。健康に関する雑学が好きな人であれば、そんな言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。知っている人にとっては、「そうそう」なんて、聞き流してしまうフレーズかもしれません。

 でも、よくよく考えてみてください。ふくらはぎが「第2の心臓」だなんて、スゴイことだと思いませんか? 「足は第2の心臓である」とか、表現はいろいろありますが、いずれにせよ、下肢が心臓をサポートするという意味合いです。

 なぜ、ふくらはぎが「第2の心臓」と呼ばれるのでしょうか?

 皆さんご存じのとおり、血液は心臓から全身に向かって送り出されています。もう少し詳しく言えば、動脈を流れる血液によって、酸素や栄養分が1つひとつの細胞に届けられる。そして、全身に酸素や栄養分を供給した後の血液は、静脈を通じて再び心臓に戻ってくるのです。

 心臓→全身への原動力は、心臓のポンプ作用によるところが大きいのです。では、全身→心臓への原動力は何だと思いますか? そう、心臓の働きとともに、ポンプの役割を担っているのが、全身の筋肉の収縮なのです。

 特に、下半身に行けば行くほど、重力に逆らう必要があるので、心臓まで血液を戻すのは大変です。こうした人体の働きにおいて、大事な任務を果たしているのが、ふくらはぎをはじめとする足の筋肉というわけです。

 なかでも、ふくらはぎは身体の下部に位置し、心臓から遠く、かつ筋肉も豊富。つまり、静脈血を心臓に戻す原動力となる「大きなポンプ」。だから、非常に重要なのです。

 私たち人間は二足歩行ですから、四足歩行の動物に比べると、その重要性はさらに高まります。「第2の心臓」と呼ばれるのもうなずけるでしょう。

ふくらはぎをもむと体の下から血流が改善される


 ふくらはぎを自分の手でもむ、直接自分の足を動かす──どちらもポンプとして機能して、血流改善につながります。体の下のほうから血流改善を促すことで、全身に血が巡るわけです。

 「ふくらはぎをもむなんて、こんなささいなことでよくなるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれません。でも、こうしたシンプルなアクションが井戸の呼び水のように、体が変わるきっかけを生む──そんなイメージを持ってもらえれば、よりよい結果が得られると思います。

 それに、ふくらはぎを手でもむ場合、手指や前腕を使います。もんでいる手は少し疲れますが、結果として四肢の末端の筋肉を動かすことにもなる。つまり、心臓から最も離れた四肢の血流改善が、同時に達成できるわけです。

 下腿に比べると、手指は何かしら日頃から使っている人がほとんどなので、たいていは問題ないのですが、体から遠い所を動かすことは、末端の毛細血管の血流が促されるメリットがあります。

 また、手でもめなくても、会議中やデスクワーク中に、足を動かしたりするだけでも効果はあります。一時期、エコノミークラス症候群が話題になりましたが、長時間、足を動かさずにじっとしていると、血流不全で血栓ができることがあります。

 また、足を骨折してギプス固定しているときなども、足の指をこまめに動かすことが大切です。

 いかがでしたか? 次回はふくらはぎをもむと体にいい「本当の理由」を説明します。そして3回目では、オフィスや家庭でも気軽にできる「もむ」「さする」といった具体的な「ふくらはぎ習慣」を紹介していきます。

※「ふくらはぎイズム」を検索すると、著者・小池弘人 先生指導の動画解説が見られます

(第1回・了)





医者と薬を遠ざける「ふくらはぎ」習慣
縮退で考える健康・社会・生き方
小池弘人 著



【著者】小池弘人(こいけ ひろと)
1970年東京都生まれ。1995年群馬大学医学部医学科卒業。博士(医学)。日本統合医療学会指導医、日本内科学会認定医、日本臨床検査医学会臨床検査専門医など。2003年に統合医療の世界的権威アンドリュー・ワイル博士率いるアリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローに選出。2007年に小池統合医療クリニックを開設。現在、同クリニック院長、群馬大学医学部非常勤講師。漢方、鍼灸といった東洋医学などを通して、現代医療における代替医療の可能性を探究している。とくに監修として関わった『「ふくらはぎをもむ」と超健康になる』(マキノ出版)がベストセラーとなり、これまであまり関心を持たれてこなかった「ふくらはぎ」に医師の立場から光を当てることで、「ふくらはぎ習慣」の火付け役となった。著書に『決定版 新ふくらはぎ習慣』(扶桑社)、『ふくらはぎ「もみ押し」健康法』(静山社)などがあり、共著に『病気が逃げていくふくらはぎ力』(世界文化社)などがある。近著は『医者と薬を遠ざける「ふくらはぎ」習慣』(SBクリエイティブ)。



  • はてなブックマークに追加