カルチャー
2014年8月5日
漢方がもっと身近になる! 漢方薬にまつわる素朴な疑問5つ
[連載] 西洋医が教える、本当は速効で治る漢方【3】
文・井齋偉矢
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これまで2回にわたって、意外と知られていない「漢方薬」についての最新事情について紹介してきました。今回は、一般の人がもっと上手に漢方薬を利用するための素朴な疑問について解説しましょう。


疑問1)漢方処方は、どこの医療機関でも扱っている?


 緊急性の低い症状に対しては、漢方の看板を掲げている医療機関へ行けばどこでも大差なく対応してくれます。東洋思想に基づいた従来の漢方理論で処方される薬剤師さんや医者であっても、処方の方法論は異なるものの、最終的に出てくる薬は同じなはずです。 自分の家の近くに漢方に詳しい医者がいるかどうかを探す場合は、パソコンやスマートホンで『漢方のお医者さん探し』(http://www.gokinjo.co.jp/kampo)というWebサイトを検索し、利用するのがおすすめです。場所だけでなく、診療科も細かく指定して検索できるのでとても便利です。

 インターネットが使えない場合は、かかりつけ医や近所の医療機関へ電話で問い合わせてみるといいでしょう。

 一方、ノロウイルスによる胃腸炎や肺炎のような重症の病気の場合は、漢方医を訪ねても、近くに救急指定病院があればそちらへ回されることが多いと思います。大学病院の漢方外来でも、重症の急病患者さんは、ほぼ100%ほかの診療科へ回されます。

 その場合は、医者の指示に従うのが原則です。指示に従った上で、漢方薬を併用してもらえないか相談してみるといいでしょう。

 ただし、漢方薬を処方してくれたとしても、「サイエンス漢方」のキモである初期に大量投与する方法はまだ一般的ではありませんので、私の主宰するサイエンス漢方処方研究会に所属している会員(登録数200人余り)以外の医者で実践している方は少ないと思います。『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方』巻末のリストを参考にしてください。

疑問2)漢方薬は処方箋なしで薬局で購入できる?


 代表的な漢方薬は、薬局・薬店で処方箋なしで購入できます。漢方にある程度精通している薬剤師さんがいるところであれば、それほど間違った指導はされないと思います。ただし、一般の人が自己判断で実践するとリスクのある病気については、初期対応を誤ると取り返しのつかない事態に陥る可能性がるので、必ず医者の指導のもとで漢方薬を利用するようにしてください。『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方』では、そうした病気については「※この漢方処方は医療機関で行なってもらってください」と但し書きを入れていますので、興味のある方は参照していただけると幸いです。

 なお、漢方薬はインターネットでも購入できますが、価格設定に問題があったり、出処のよくわからない漢方薬が出回ったりしていることも考えられます。個人で手に入れる場合は、薬剤師さんのいる薬局・薬店で購入するほうが賢明です。

 また、妊娠中や授乳中の女性、高齢者、小さなお子さんなどは、慎重を期す意味で、必ず医者の指導のもとで使用するようにしてください。それ以外の方でも、服用中に体に異変を感じたときは、すぐに近くの医療機関を受診しましょう。

 薬剤師さんのアドバイスに従うと共に、薬に添付されている注意事項もしっかり確認してから服用するようにします。本来は、薬局・薬店で購入するより、医療機関で処方してもらったほうが、保険がきくので価格的にはかなりお得です。

疑問3)本当に漢方薬に速効性があるの?


 漢方薬には速効性があると聞いても、にわかに信じられない人も多いでしょう。とくに過去に漢方薬を試した経験があって、思うような効果が得られなかった人は、「漢方なんて効くはずがない。まして速効性なんてありえない」――そんな気分にもなるでしょう。

 そうした方でも確実に速効性を実感できる漢方薬がいくつもあります。

 お酒が好きな人は飲酒前に「五苓散(ごれいさん)」を、食べるのが好きな人は「六君子湯(りっくんしとう)」を、こむら返りをよく起こす人は「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」を、飛行機の着陸前に耳が痛くなる人は「五苓散」を、それぞれ試してみるといいでしょう。

 百聞は一回の体験にしかず。おそらく、予想以上の速効性と切れ味に驚くこと請け合いです。






西洋医が教える、本当は速効で治る漢方
井齋偉矢 著



【著者】井齋偉矢(いさいひでや)
1950 年、北海道生まれ。北海道大学卒業後、同大学第一外科に入局。専門は消化器外科、肝臓移植外科で日本外科学会認定専門医。1989 年から3 年間オーストラリアで肝臓移植の臨床に携わる。帰国後独学で漢方治療を本格的に始め、現在、日本東洋医学会認定専門医・指導医。2012 年にサイエンス漢方処方研究会を設立し理事長を務める。医療法人静仁会静仁会静内病院(漢方内科・総合診療科)院長。著書に『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方』がある。
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