カルチャー
2014年9月18日
知らないと損する年金リテラシー
~意外と知られていない「保険料免除」と「追納」
~意外と知られていない「保険料免除」と「追納」
[連載]
知らないと損する年金リテラシー【8】
監修・浜田裕也
学生の保険料免除の注意点。免除した期間は年金が増えない
学生の保険料免除は毎月の国民年金保険料が0円になるので非常にありがたい制度だといえます。しかし、ひとつ注意点があります。学生の保険料免除をした期間は将来の国民年金に反映されない、つまり将来の国民年金は増えないのです。
(例)
平成26年4月から平成28年3月までの2年間学生の保険料免除を利用した場合
⇒毎月の保険料は0円
⇒将来の国民年金は0円(年金額には反映されない)
仮に平成26年4月から平成28年3月までの2年間国民年金保険料を満額納めた場合
⇒毎月の保険料は約1万5千円(2年間で約36万円)
⇒将来の国民年金は年額約3万8千円増える
学生の保険料免除を利用したけれど、やっぱり将来の国民年金を少しでも増やしたい、そういうときはどうすればよいのでしょうか?
その答えは「追納(ついのう)」にあります。
追納とは、国民年金の保険料を免除していた部分を後から納付することをいいます。学生の時にはお金がなくても、就職したらお金に余裕ができることもあるでしょう。そのような場合、追納すれば将来の国民年金を増やすことができます。
ただし、免除していた期間であれば必ず追納できるというわけではありません。追納は「手続きをした月から10年前までしかさかのぼってすることができない」と法律で決められているからです。
具体例として平成26年9月に追納の手続きをした場合をみてみましょう。平成26年9月の10年前は平成16年9月です。つまり平成26年9月から平成16年9月までの免除を受けた部分は追納することができますが、平成16年8月以前の部分は10年より前なので追納できません。
なお、追納する保険料は年度ごとに異なっています。例えば平成16年9月に免除していた部分を追納する場合1万4750円を納めることになり、平成19年4月に免除していた部分を追納する場合1万4880円を納めることになります。以下年度ごとの追納保険料額です。
追納は「一番古い月から順番に納付しなければならない」と法律で決まっています。したがって「保険料が安いところだけをかいつまんで追納したい」といってもそれはできないので注意してください。追納の相談や手続きは年金事務所または市区町村役場の国民年金課でできます。
[連載]知らないと損する年金リテラシー 記事一覧
[1]知らないと損する年金リテラシー~会社員からフリーランスになった際に必要な年金の切り替えとは?
[2]知らないと損する年金リテラシー~誰も教えてくれない年金の常識と保険料納付の節約術
[3]知らないと損する年金リテラシー~低年金者の実態と生活保護
[4]知らないと損する年金リテラシー~女性が気をつけるべき「離婚分割」
[5]知らないと損する年金リテラシー~女性が気をつけるべき「遺族年金」
[6]知らないと損する年金リテラシー~共働きの場合の「遺族年金」はどうなる?
[7]知らないと損する年金リテラシー~パート主婦は厚生年金に入ったほうがいい?
[8]知らないと損する年金リテラシー~意外と知られていない「保険料免除」と「追納」
[9]知らないと損する年金リテラシー~将来もらえる国民年金は生活保護より少ない?
[10]知らないと損する年金リテラシー~年金を上乗せできる「加給年金」の申請方法
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【監修】浜田裕也
学習院大学理学部数学科卒。大学卒業後、塾講師(対象の生徒は小・中学生。数学と理科を担当)を経てファイナンシャルプランナー(CFP)へ転身。ファイナンシャルプランナーとして活動を続ける中、社会保障、特に年金制度に興味を持ち始め社会保険労務士の資格も取得。その後、社会保険労務士会の業務委託で年金事務所にて年金に関する相談も受けるようになり、相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請手続きの進め方のアドバイスには定評がある。老後の生活設計や将来の年金額のシミュレーションなどの記事が「週刊東洋経済」や「プレジデン」トなどに掲載されるほか、監修として『日本でいちばん簡単な年金の本』(洋泉社 第3章監修)、『転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話』(SB新書)などがある。
学習院大学理学部数学科卒。大学卒業後、塾講師(対象の生徒は小・中学生。数学と理科を担当)を経てファイナンシャルプランナー(CFP)へ転身。ファイナンシャルプランナーとして活動を続ける中、社会保障、特に年金制度に興味を持ち始め社会保険労務士の資格も取得。その後、社会保険労務士会の業務委託で年金事務所にて年金に関する相談も受けるようになり、相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請手続きの進め方のアドバイスには定評がある。老後の生活設計や将来の年金額のシミュレーションなどの記事が「週刊東洋経済」や「プレジデン」トなどに掲載されるほか、監修として『日本でいちばん簡単な年金の本』(洋泉社 第3章監修)、『転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話』(SB新書)などがある。