カルチャー
2014年9月18日
知らないと損する年金リテラシー
~意外と知られていない「保険料免除」と「追納」
[連載] 知らないと損する年金リテラシー【8】
監修・浜田裕也
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20歳以上の学生は手続きで、国民年金の保険料が全額免除される


 「今度就職することになりました。お金に余裕ができそうなので、学生のときに免除していた部分を後から納付した方がよいのでしょうか?」

 最近、色々なメディアで年金の話を見たり聞いたりする機会が増えたためか、20~30代の方から国民年金の免除や追納のご相談を受けることが多くなってきました。そこで今回は、学生の保険料免除と追納(後から納付すること)についてお話をしようと思います。

 原則として、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の方は国民年金に加入し保険料を納めなければなりません(厚生年金や共済年金の加入者およびその配偶者などを除く)。もちろん収入のない学生でも例外ではありません。収入があろうがあるまいが学生でも20歳になったら国民年金に加入し、保険料を納めなければならないのです。しかし平成26年度の国民年金保険料は1カ月当たり1万5250円。学生にとって決して安くはない金額です。

 親が国民年金の保険料を納付してくれたり、自分のアルバイト収入で納付したりできれば一番よいのですが、なかなかそうもいきません。かといって保険料を納めなければ未納状態になってしまいます。この未納状態が長く続くと、将来障がい年金や遺族年金がもらえない(権利が発生しない)こともありうるので、やはり未納は避けたいところです。

 そこで学生が保険料を納めるのが難しい場合、「学生の保険料免除」(本当は学生の保険料納付特例といいます)を利用することになります。この学生の保険料免除に該当すると毎月の国民年金保険料は0円、つまり保険料を納めなくてもよいことになります。

 ただし、この学生の保険料免除に該当するためにはいつくかの条件があります。大まかですが以下にその条件を挙げてみます。

(1)20歳以降の学生であること
(2)学生本人の所得が一定以下であること

 ここでいう学生とは昼間の学校の学生だけに限らず、定時制、通信制の学生も対象です。なお、フリースクールに通う学生は対象外になることもあるので注意してください。

 学生本人の所得制限もあります。この所得制限は学生本人の所得だけで判断されるので、同居している親や学生の配偶者の所得は一切関係ありません。

 学生本人に扶養親族がいない場合、年間所得で118万円以下であることが必要です。この118万円という金額は「所得」です。したがって、学生本人に扶養親族がおらず、かつアルバイト収入しかない場合、「年収」で約190万円、月額にすると15万円ほどになると思われます。なお、この190万円や15万円という数字はあくまでも目安です。詳しいことは年金事務所または市区町村役場の国民年金課で相談してください。






転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話
浜田裕也 監修



【監修】浜田裕也
学習院大学理学部数学科卒。大学卒業後、塾講師(対象の生徒は小・中学生。数学と理科を担当)を経てファイナンシャルプランナー(CFP)へ転身。ファイナンシャルプランナーとして活動を続ける中、社会保障、特に年金制度に興味を持ち始め社会保険労務士の資格も取得。その後、社会保険労務士会の業務委託で年金事務所にて年金に関する相談も受けるようになり、相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請手続きの進め方のアドバイスには定評がある。老後の生活設計や将来の年金額のシミュレーションなどの記事が「週刊東洋経済」や「プレジデン」トなどに掲載されるほか、監修として『日本でいちばん簡単な年金の本』(洋泉社 第3章監修)、『転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話』(SB新書)などがある。
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