カルチャー
2014年9月18日
知らないと損する年金リテラシー
~意外と知られていない「保険料免除」と「追納」
[連載] 知らないと損する年金リテラシー【8】
監修・浜田裕也
  • はてなブックマークに追加

結局、追納はしたほうが得なのか損なのか


 皆さんが一番気になるのは負担(追納保険料)と給付(将来の年金額)の関係だと思います。実際の現場でも「結局、追納したほうが得なの?損なの?」と訊く相談者は多くいます。そこで具体例として「追納保険料を1カ月納めた場合」で大まかですが計算してみます。

 ここでは追納保険料を1カ月当たり約1万5千円とします。1カ月分の追納をすると将来の国民年金は年額で約1600円増えます。強引な計算ですが、(追納保険料 約1万5千円)÷(国民年金 約1600円)=約9.3年、つまり国民年金を10年以上受け取れば、納めた保険料以上のお金が返ってくることになります。

 現在、国民年金は65歳からもらえます。したがって、75歳以上まで長生きすれば得、75歳より前に亡くなってしまえば損、といえるでしょう。

 「自分がどのくらい長生きできるのか?」があらかじめわかっていれば損得の判断ができます。しかし、自分がいつまで長生きできるかは誰にもわかりません。

 結局、追納すべきかどうかはその本人の考え方や将来の見通しによって変わってくるため、その答えは個人個人で違うことになるでしょう。

 ちなみに、相談現場で私の考え方を聞かれた場合、「お金に余裕があれば追納を検討していただき、余裕がなければ無理に追納する必要はないと思います。最後はご本人が決めることなので無理強いはできません」とお答えしています。

 皆様の考えはどうですか?

(国民年金 1カ月の金額)
国民年金 満額772,800円÷480カ月=約1600円
※平成26年度価額です

(了)





転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話
浜田裕也 監修



【監修】浜田裕也
学習院大学理学部数学科卒。大学卒業後、塾講師(対象の生徒は小・中学生。数学と理科を担当)を経てファイナンシャルプランナー(CFP)へ転身。ファイナンシャルプランナーとして活動を続ける中、社会保障、特に年金制度に興味を持ち始め社会保険労務士の資格も取得。その後、社会保険労務士会の業務委託で年金事務所にて年金に関する相談も受けるようになり、相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請手続きの進め方のアドバイスには定評がある。老後の生活設計や将来の年金額のシミュレーションなどの記事が「週刊東洋経済」や「プレジデン」トなどに掲載されるほか、監修として『日本でいちばん簡単な年金の本』(洋泉社 第3章監修)、『転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話』(SB新書)などがある。
  • はてなブックマークに追加