スキルアップ
2015年3月31日
決算書は真っ先に「下」を読め!
[連載]
決算書は「下」から読む、が正解!【1】
文・前川修満
決算書は上から順に読む必要はない!――決算書にまつわる大きな誤解(その2)
もうひとつの誤解は、決算書類を上から順番に読まないといけないということです。
たとえば、ここに2012年4月1日から2013年3月31日までの1年間における東京電力の損益計算書があります(図1)。
この決算書は、東日本大震災の直後から始まる事業年度の損益計算書です。
真面目な人は、これを上から順番に読もうとするのですが、じつは、それが大きな間違いなのです。
この決算書の一番重要な点は、「東電が6,900億円もの赤字を出したこと」です。
これが、一番大事な点です。
ですから、上から読むのではなく、一番下にある「当期純損失、694,380百万円」なのです。
なに事もそうですが、結論が大事なのです。その結論は、決算書の一番下に書かれているのです。
これは比喩になりますが、昨年のソチオリンピックで、羽生選手が出場したあとの新聞の見出は、「羽生、金メダル」です。これは、読者の最大関心事である競技結果をまっさきに伝えるものです。
ところが、決算書を上から読むというのは、大事な協議結果を後回しにして、「羽生はショートプログラムから入って、最初のターンを決めて、次のターンでは...」などと、まどろっこしい経過説明を延々と続けるようなものなのです。
新聞の読者にしてみれば、羽生選手の順位を知りたいのに、それをなかなか伝えないのはどうかしているのです。
これが、いかに愚かなことかがおわかりいただけましたでしょうか。
ですから、決算書は、真っ先に、結論が明記されている「下」を読んでほしいのです。
(第1回・了)
◆この記事の動画はこちら
【動画セミナー】決算書は真っ先に下を読め
【動画セミナー】決算書は真っ先に下を読め
【著者】前川修満(まえかわおさみつ)
1960年金沢市生まれ。公認会計士・税理士。日本証券アナリスト協会検定委員。同志社大学卒。澁谷工業、KPMG港監査法人(現、あずさ監査法人)を経て、フリーに。2006年にアスト税理士法人を設立。代表社員に就任し、現在にいたる。日本税務会計学会会員。著書に『決算書はここだけ読め!』『危ない会社は一発でわかる』(以上、講談社)などがある。近著は『決算書は「下」から読む、が正解!』(SBクリエイティブ)。
1960年金沢市生まれ。公認会計士・税理士。日本証券アナリスト協会検定委員。同志社大学卒。澁谷工業、KPMG港監査法人(現、あずさ監査法人)を経て、フリーに。2006年にアスト税理士法人を設立。代表社員に就任し、現在にいたる。日本税務会計学会会員。著書に『決算書はここだけ読め!』『危ない会社は一発でわかる』(以上、講談社)などがある。近著は『決算書は「下」から読む、が正解!』(SBクリエイティブ)。