スキルアップ
2015年3月30日
上司・先輩から愛されたいなら「肯定+ツッコミ」で話せ
[連載]
「おもしろい人」の会話の公式【2】
文・吉田照幸
「あまちゃん」「サラリーマンNEO」、「となりのシムラ」の監督・吉田照幸 氏が2月に刊行した『おもしろい人の会話の公式』から、日常会話でのちょっとしたコツを全3回で紹介する本連載。第2回目は、会社で上司や先輩と雑談するときの会話術を紹介しましょう。
どんどん話が続く「でも○○じゃないですか」理論
上司や先輩との雑談って、気を使いますよね。
そこで、自分をアピールしたい気持ちもあるし、余計なことを言ってはいけないというプレッシャーもあると思います。
会社で愛される基本は、「上にはつっこんで、下にはぼける」だと思っています(大抵の人は逆ですが......)。
上司と話すときは、僕はツッコミ役に徹します。
たいていの場合、ぼけても、上司はつっこんでくれません。
だから、上司と会話をしているときは、「それ、こういうことですよね」「それは、こうじゃないですか」と、こちらからつっこんでいったほうがいいのです。
上司としては、たてつかない範囲で、自分に意見を言ってくれたり、積極的に話してくれたりする部下のほうがかわいくみえるものです。
また、上手につっこむことができると、自分の鋭さや、観察眼をアピールできます。
この2つの会話を見てください。
【A】
上司「もう僕なんか年だから、仕事しんどいんだよね」
部下「そんなことないですよ」
【B】
上司「もう僕なんか年だから、仕事しんどいんだよね」
部下「でも、その割に徹夜したりしていますよね」
ぼやいているときの上司は、自分がぼやいたことと反対のことを言ってほしいものです。「いや、やっぱり課長はすごいですよ」と言ってもらって、自信を持ちたいわけです。
確かに、【A】は、上司のぼやきについて「そんなことないですよ」と反対して、いたわりの気持ちを見せていますが、これでは盛り上がらないし、おもしろい人とは思ってもらえません。
では、【B】はどうでしょうか? 少し具体的な話が入っています。相手は「確かに残業もしているな」とあらためて感じるので、納得感が違ってきます。
さらに、こんなふうにするとどうでしょう。
【ウケる会話】
上司「もう僕なんか年だから、仕事、しんどいんだよね」
部下「でも、飲み会では朝まで元気ですよね」
これ、笑いが起きます。
仕事の話から、飲み会に視点をずらしています。
傍で聞いている人がいれば、「あれ、仕事はともかく、飲み会では元気なんだ」と思いますよね。言われた当人も思わず苦笑すると思います。
ストレートに返すのであれば「そんなことないですよ」という言葉。でも、それをそのまま返すのではつまらない。
一番いいのは、常に「でも+肯定」。
これを「でも○○じゃないですか」理論と名づけます。
これは応用が効く上に、話をどんどん進められます。
先輩「異動した部署なんだけど、みんな文句ばっかり言っていて、私まで気持ちが暗くなっちゃうんだよね」
部下「わかります(共感)。◎◎さんはいつも前向きですからね。でも、よいこともあるんじゃないですか(でも+肯定)」
先輩「確かに今一番伸びている部署ではあるんだけど、その分、仕事量は倍になったよ」
部下「わかります。大変ですよね(共感)。でも先輩は仕事が早いから(でも+肯定)」
先輩「異動したばかりで何をどう進めればいいかいまいちわからなくてね」
部下「そういうときの気持ちわかります(共感)。でも、先輩は新しい仕事でもすぐ成果を出していたじゃないですか(でも+肯定)」
「でも」は入れていますが、常に相手を「肯定」するのがポイントです。
「共感」→「でも」→「肯定」を繰り返すだけで、どんどん話が続きます。
上司や先輩のぼやきを聞いたら、たとえ脈絡がなくても、上司のよいところを見つけて、「でも、○○じゃないですか」と返してみましょう。笑いと同時にポイントも上がると思います。
(了)
吉田照幸(よしだてるゆき)
1969年、福岡県生まれ、山口県育ち。1993年NHK入局。NHKエンタープライズ番組開発部エグゼクティブ・プロデューサー。ここ10年でもっともコントを制作している。「のど自慢」「小朝が参りました」などエンターテイメント系の番組を中心に活躍。40分間一人で舞台で場を持たせるなど前節の技を鍛えつつ、芸人さんにも「話が面白い」と評判になる。広島放送局を経て番組開発部移動後、2004年に「サラリーマンNEO」を企画、以後全シリーズの演出を担当。型破りな番組として人気を博す一方、タニタの社食、Google本社を日本のテレビ番組として初潜入、コントに日産のカルロス・ゴーン氏を引っ張り出すなど、話題となった。2011年には「劇場版サラリーマンNEO(笑)」の脚本・監督を務める。第35回・36回国際エミー賞コメディ部門ノミネート(日本では唯一)。2013年春からは、異例のレンタル移籍で、連続テレビ小説「あまちゃん」の演出を担当。現在、コント番組、コメディ、ドラマを制作中。
1969年、福岡県生まれ、山口県育ち。1993年NHK入局。NHKエンタープライズ番組開発部エグゼクティブ・プロデューサー。ここ10年でもっともコントを制作している。「のど自慢」「小朝が参りました」などエンターテイメント系の番組を中心に活躍。40分間一人で舞台で場を持たせるなど前節の技を鍛えつつ、芸人さんにも「話が面白い」と評判になる。広島放送局を経て番組開発部移動後、2004年に「サラリーマンNEO」を企画、以後全シリーズの演出を担当。型破りな番組として人気を博す一方、タニタの社食、Google本社を日本のテレビ番組として初潜入、コントに日産のカルロス・ゴーン氏を引っ張り出すなど、話題となった。2011年には「劇場版サラリーマンNEO(笑)」の脚本・監督を務める。第35回・36回国際エミー賞コメディ部門ノミネート(日本では唯一)。2013年春からは、異例のレンタル移籍で、連続テレビ小説「あまちゃん」の演出を担当。現在、コント番組、コメディ、ドラマを制作中。