スキルアップ
2015年2月18日
「あまちゃん」の監督が明かす、会話が続く人・続かない人の境目とは?
[連載] 「おもしろい人」の会話の公式【1】
文・吉田照幸
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 話がおもしろい人、気のきいたコメントを返せる人って、一目置かれますね。
 頭がいい人だとか、機転のきく人だとか、発想がおもしろいとか。
 大袈裟かもしれませんが、それだけでつまらない人生が、おもしろいものに変わる気がしませんか?

 でも会話をおもしろくするというのは、ほんのちょっと話し方を変えるとか、考え方を変えるということでできてしまうものなんです。

 僕は「サラリーマンNEO」「あまちゃん」から「となりのシムラ」まで、笑いや「おもしろい」ものをつくる仕事をしてきました。正直そんな僕がつまらなかったら、いけないんじゃないかと、日常会話においてもプレッシャーを感じたこともありました。

 しかし、考え方を変えるだけで、ウケる会話ができるようになりました。
 その方法は、2月刊行の『おもしろい人の会話の公式』にまとめましたが、ここではそのいくつかを紹介したいと思います。

話が続く人・続かない人・話がおもしろい人


 世の中には話が続く人と続かない人、さらには話がおもしろい人がいます。
 それはすべて「言い方」の問題です。

 極端なのは、こんな人です。

A「健康診断の結果が返ってきたんだけど、昨年より血糖値が上がっちゃって困ったよ」
B「へえ。私、この間、旅行に行ってね」

 ひどいです。相手の話になんのリアクションもしていない。相手が何か言ったら、相手の話はそれで終わりだと思っています。マナーとして、相手の話は1回受け止めないといけません。
 でも、こんなケースもあります。

A「健康診断の結果が返ってきたんだけど、昨年より血糖値が上がっちゃって困ったよ」
B「そうなんだ」
(沈黙)
A「体重も増えたしね」
B「そうなんだ」

 何か話題が出てきては、すぐに盛り下がります。これを「不発型」と呼ぶことにします。
 このケースは、きちんと受けていますよね。でも、話が続かない。それは、話が転がっていかないからです。

 ドラマの脚本を書くときの前提として、「YES」「NO」の会話を出さない、ということがあります。

上司「昨日休みだったみたいだけど、体調大丈夫?」
部下「はい」
上司「風邪だったの?」
部下「はい。だけど大したことありませんでした」
上司「そうなんだ。だったら仕事頼める?」
部下「はい」

 これだとなかなか話が進みません。見ているほうも飽き飽きします。
 では、これはどうでしょう。

上司「昨日休みだったみたいだけど、体調大丈夫?」
部下「風邪だったけど、大したことありませんでした」
上司「そう、じゃ、これ(ファイルを渡す)よろしくね」
部下「(わざとらしく)ゴホゴホ」
上司「またまた~」

 これだと、どんどん話が転がっていきます。

「はい」の代わりに、情報や感情を伝えて返事をしています。「ゴホゴホ」みたいな切り返しがあると、会話が生き生きしてきます。
ここで大事なのは、次のことです。

・相手の求めている情報を想像して答えること
・返事の代わりに言葉を変え感情や情報を伝えること

 質問するときだってそうです。よく野球のヒーローインタビューで、「8回裏チャンスの場面で、バッターボックスに立った時の気持ちは?」などと聞く人がいますが、「打ちたかったに決まってるじゃん」って思います。

 もし、質問を思いつかなかったとしたら、その人がその話題を出したこと自体を聞いてもいいんです。「血糖値が上がっちゃってさあ」「血糖値やっぱり気になりますか?」とか。「当たり前だよ。親父も糖尿病だったしさ」とか、その人の今まで聞いたことのない話が引き出せます。









「おもしろい人」の会話の公式
気のきいた一言がパッと出てくる!
吉田照幸 著



吉田照幸(よしだてるゆき)
1969年、福岡県生まれ、山口県育ち。1993年NHK入局。NHKエンタープライズ番組開発部エグゼクティブ・プロデューサー。ここ10年でもっともコントを制作している。「のど自慢」「小朝が参りました」などエンターテイメント系の番組を中心に活躍。40分間一人で舞台で場を持たせるなど前節の技を鍛えつつ、芸人さんにも「話が面白い」と評判になる。広島放送局を経て番組開発部移動後、2004年に「サラリーマンNEO」を企画、以後全シリーズの演出を担当。型破りな番組として人気を博す一方、タニタの社食、Google本社を日本のテレビ番組として初潜入、コントに日産のカルロス・ゴーン氏を引っ張り出すなど、話題となった。2011年には「劇場版サラリーマンNEO(笑)」の脚本・監督を務める。第35回・36回国際エミー賞コメディ部門ノミネート(日本では唯一)。2013年春からは、異例のレンタル移籍で、連続テレビ小説「あまちゃん」の演出を担当。現在、コント番組、コメディ、ドラマを制作中。
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