カルチャー
2015年5月7日
連休明けの憂鬱が防げる「体内時計」の整え方
[連載] 病気を防ぐ「腸」の時間割【7】
文・藤田紘一郎
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人体には四季のリズムもある!


 木の芽時になると、うつや無気力に悩まされる人たちが多くなります。

 一般に「五月病」と呼ばれるこの症状は、期待と不安に満ちた新年度を迎え終わり、緊張の糸が切れてしまうことで起こるといわれています。しかし、それだけではないでしょう。

 私は、五月病の一端には、人類が文明化し、自然と遊離した生活をしていることがあると考えています。

 人類が自然界の一員としてつましく生きていた時代、四季のリズムに応じた生活をしていました。その記憶はDNAにしっかりと刻まれています。

 動物にとって春とは、長い冬が明け、縮こまっていた心身が元気に活動を始める時季です。日本人もつい数十年前までは、春には田植えの準備を始めるため、体をどんどん動かしていました。

 ところが文明化によって、四季を通じて体をあまり動かさずとも生きていけるようになりました。しかし、体は四季のリズムを刻んでいますから、それを無視して体を動かさずにいると、心身の調子が狂ってきてしまうのです。

 また、木の芽時には性ホルモンのリズムが狂いがちになります。これも問題です。女性は昔、発情期を持っていましたし、男性も女性に少し遅れて、男性ホルモンを多く分泌するようになっていました。この名残で、木の芽時にセックスレスで性ホルモンの分泌リズムが狂うと、体調がよけいにおかしくなっていきます。

 冬季うつや夏季うつなど季節性感情障害という病もあります。明確な原因は不明とされていますが、太陽の照射時間の変動からくるメラトニン分泌の乱れが原因だろうと思われます。冬季は太陽の光を浴びる時間が短くなることに一因があります。

 11月ごろから気持ちが落ち込み、いくら寝ても眠気が取れなくなる一方、食欲が増し食べ過ぎてしまう状態が2月ごろまで続きます。夏季うつはこの反対で、気持ちの落ち込みとともに不眠と食欲減退の症状が表れます。

 いずれも、文明化した人間に起こってくる弊害の一つです。起床後には朝陽を浴びながら3分間の深呼吸タイムを持ち、決まった時間に朝食をとること。これだけで症状はみるみるよくなっていくはずです。

 体内時計や四季のリズムについては、私の最新刊『病気を防ぐ「腸」の時間割』(SB新書)で解説していますので、ぜひご一読ください。
(了)





病気を防ぐ「腸」の時間割
老化は夜つくられる
藤田紘一郎 著



藤田紘一郎(ふじたこういちろう)
東京医科歯科大学名誉教授。昭和14年中国旧満州生まれ。三重県育ち。東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学大学院にて寄生虫学を専攻。テキサス大学で研究後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授を経て、昭和62年より東京医科歯科大学教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。日米医学協力会議のメンバーとして、マラリア、フィラリアなどの免疫研究の傍ら、「寄生虫体内のアレルゲンの発見」「ATLウイルスの伝染経路の発見」など多くの業績をあげる。日本寄生虫学会賞、講談社出版文化賞、日本文化振興会社会文化功労賞および国際文化栄誉賞受賞。著書に『笑うカイチュウ』(講談社)、『清潔はビョーキだ』(朝日新聞社)、『脳はバカ、腸はかしこい』(三五館)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(以上、ワニブックス)、『体がよみがえる「長寿食」』(三笠書房)など多数。
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