カルチャー
2015年10月9日
認知症700万人時代!予防のカギは脳より「腸」だった
[連載] 認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい【1】
文・新谷弘実
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健康で長生きの人は、きれいな腸をしている


 いま、先進国の多くの国で高齢化が進んでいます。WHO(世界保健機関)の最新調査によると、世界の平均寿命は71歳。25年前よりも男女ともに6歳延びているそうです。
 世界の中でもとくに、男性80歳、女性87歳、男女合わせると84歳という日本の平均寿命はトップクラスです。長生きは人類共通の願いでもありますから、寿命が延びること自体は喜ばしいことといえるでしょう。

 しかし、ここでちょっと考えなければならないことがあります。単に長生きできることだけが必ずしも幸せではないということです。心の底から喜ぶべき長寿とは、健康であってこそのもの、ではないでしょうか。

 寝たきりであっても、病気を抱えて苦しみながらであっても長生きしたいと願う人はそうそういません。多くの人は、身体も、できれば頭も健康なまま長く生きて天寿をまっとうしたいと考えているはずです。

 ところで、「寿命」にはもうひとつの言葉があることを皆さんもご存じでしょう。そう「健康寿命」です。健康寿命とは、寝たきりや介護を必要としない、自立して生活できる期間がどのくらいかを示した指標です。

 同じ100歳の人がいたとして、Aさんは15年前から寝たきりで介護が必要な状態、Bさんは病院通いはあるものの、ご飯をつくり、庭仕事をして元気に日常生活を送っている─―となると、健康寿命では明らかにBさんのほうが長寿です。
 長生きをするなら、Bさんのような長生きのしかたのほうが幸せであることはいうまでもありません。

きれいな腸かどうかは、「腸内細菌」で決まる


 単に長生きするのではなく、健康長寿を目指すことが重要なのは理解していただけたかと思います。では健康で長生きできるか、そうではないかの違いはどこから生じてくるのでしょうか? 大きくいうなら、それは何を食べたか、どのような生活習慣を続けてきたかの違いです。さらにいうなら、「腸」によいことをしてきたか、してこなかったかです。

 私は胃腸内視鏡外科医として約40年間にわたり、米国と日本合わせて35万例以上の方たちの胃腸を診てきました。その経験から間違いなくいえることがあります。高齢であっても、「腸」がきれいな人は健康で、元気で、若々しいということです。

 腸のもつ役割が食物の消化・吸収、不要となったものの排泄だけに留まらず、身体の免疫力にも大いに関係していることは近年よく知られています。そうした腸の役割を十分に機能させるうえで欠かせないのが「腸内細菌」です。

 腸がきれいで、腸内環境がよく保たれていれば腸内細菌の働きは活性化し、体内酵素も活性化して、私たちの身体を構成している細胞の1つひとつが元気になります。
 細胞が元気に働いてくれることは健康や若さに直結します。きれいな腸は、健康寿命を延ばすためのカギといってよいのです。






認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい
新谷弘実 著



新谷 弘実(しんや・ひろみ)
1935年福岡県出身。医学博士。ベス・イスラエル病院名誉外科部長。米国アルバート・アインシュタイン医科大学外科元教授。1960年順天堂大学医学部卒業後、1963年に渡米。1968年に「新谷式」と呼ばれる大腸内視鏡の挿入技術を考案し、世界で初めて開腹手術をすることなく内視鏡による大腸ポリープ切除に成功。その技術によりガン発症リスクを大きく減少させ、医学界に大きく貢献する。日米で35万例以上の胃腸内視鏡検査と10万例以上のポリープ除去手術を行ったこの分野の世界的権威。著書にミリオンセラーになった『病気にならない生き方』シリーズ(サンマーク出版)、『胃腸は語る』(弘文堂)、監修に『免疫力が上がる!「腸」健康法』(三笠書房)など多数ある。
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