ビジネス
2014年6月3日
国税調査官に学ぶ、一瞬で決算書を読み解く方法
[連載] 一瞬で決算書を読む方法【1】
文・大村大次郎
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国税調査官は実は会計の知識がそんなにないにもかかわらず、会社の数字の嘘を瞬時に見抜いています。そのスキルは知識や時間のないビジネスパーソンにうってつけのものといえるでしょう。本連載では、元国税調査官で新書累計70万部のベストセラー作家・大村大次郎の最新刊『一瞬で決算書を読む方法』から、「あまり勉強せずに会社の業績を読めるようにしたい…」「会社が公表する決算書に騙されたくない…」人向けに、決算書を読むツボを紹介していきます。


"決算書を読む"というスキル


 昨今、ビジネスマンの間で、企業会計や決算書を学ぶことがブームになっている。書店には、その「会計入門」「経理入門」などの本が溢れている。

 ビジネスマンのほとんどは、会計に携わっていないので、直接的に仕事に役に立つわけではない。なのに、なぜビジネスマンが会計を学ぼうとするのか?

 その答えは、企業の状況を知りたいということだろう。

 「その企業(もしくは自社)の景気がどうなのか?」
 「儲かっているのか、そうでないのか?」

 確かに、それはビジネスマンにとって非常に大事なことだろう。

 会計に興味がないサラリーマンも、自分の会社の状況が大丈夫なのか? ということくらいは知っておきたいはずである。また取引先の会社の状況を知りたい、という人も多いはずである。

 投資家などは、投資先の会社の業績がどうなのかを知りたいだろう。就職を控えた学生なども、企業の会計情報というのは、必要なものだろう。

 つまりは、「企業情報を読み解く」ということは、今のビジネス社会においては、誰にでも必要なスキルだといえる。

「決算書」を前に多忙なビジネスマンが直面する2つの悩み


 しかし、企業情報を読み解くには厄介な問題がある。

 それは、「決算書を読むのは難しいということ」「会社の数字は必ずしも真実を示しているとは限らないこと」である。決算書というのは、聞きなれない会計用語がたくさん使われるし、しかも数字だらけである。今まで触れたことのない人にとっては、非常にハードルの高い分野だといえるだろう。

 しかも、決算書の数字は、たびたび嘘をつく。企業は、粉飾決算や脱税などを時々行い、決算書を誤魔化してきた。また粉飾決算や脱税までには至らなくても、合法ギリギリに決算を良く見せたり、その逆に利益を少なく見せたりすることは、日常的に行っている。だから、決算書の数字を鵜呑みにしてしまうと、騙されてしまう事も多いのだ。

 この2つの問題がネックになって、ビジネスマンたちはなかなか企業情報を正確に読み解くことができないでいる。

国税調査官は「決算書のプロ」だった


 ところで決算書を読む込むことをプロとしている職業の人は、けっこういる。公認会計士、税理士、トレーダーなどである。そういう職業の中に、国税調査官もいる。

 そして、実は国税調査官というのは、決算書を限られた時間で素早く読み取るプロ中のプロでもあるのだ。

 国税調査官の仕事というのは、簡単に言えば、税金を誤魔化している企業などから税金を取ってくることである。

 日本の税金制度は、建前の上では、納税者が自分で自分の税金を計算し、申告し、納税する、ということになっている。日本の税金は原則的に、計算から納税まで納税者が全部、自分でやるのである。国や自治体が、一方的に税金を決めたり、強制的に徴収したりすることはないのだ。

 しかし、もちろん、自分で自分の税金を計算するということは、間違いが生じることもある。また故意に税金を少なく申告する場合もある。そういう場合に、税務当局は、それを指導したり、是正することができる。それを行うのが、国税調査官の仕事である。簡単に言えば、脱税や課税漏れを見つけることである。

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一瞬で決算書を読む方法
税務署員だけのヒミツの速解術
大村大次郎 著



【著者】大村 大次郎(おおむら おおじろう)
大阪府出身。元国税調査官。国税局で10年間、主に法人税担当調査官として勤務し、退職後、経営コンサルタント、フリーライターとなる。執筆、ラジオ出演、フジテレビ「マルサ!!」の監修など幅広く活躍中。主な著書に『あらゆる領収書は経費で落とせる』『税務署員だけのヒミツの節税術』(以上、中公新書ラクレ)、『税務署が嫌がる「税金0円」の裏ワザ』(双葉新書)、『無税生活』(ベスト新書)、『決算書の9割は嘘である』(幻冬舎新書)、『税金の抜け穴』(角川oneテーマ21)など多数。最新著書は『一瞬で決算書を読む方法』(SB新書)