カルチャー
2015年4月28日
「ワンコインランチ」は体に毒!? 腸が元気になる昼食ベスト3
[連載] 病気を防ぐ「腸」の時間割【6】
文・藤田紘一郎
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腸の健康のためには昼食にこだわりなさい


 1日3度の食事の中で、内容にもっともこだわりたいのは、昼食です。

 昼に食べたものが、胃から小腸へ送られるのは、夕方から夜間にかけてです。
 夕方、私たちの自律神経は交感神経から副交感神経へと切り替わります。副交感神経が優位になると、腸の働きは活発になり、消化吸収力を高めます。体が栄養をもっとも得やすくなるのです。

 つまり、昼に食べたものが体を丈夫に築く礎になります。毎日どんなランチをしているかで、10年後の体の状態は違ってきます。昼食をおろそかにしてはいけません。

 ところが、昼食の時間が「もったいない」といって、手軽にすませる人を多く見かけます。
 よく見られるのが「ながら食べ」です。パソコンや書類とにらめっこしながら、おにぎりやサンドイッチなどで昼食を片手ですませるのは、オフィスでよく見られる光景でしょう。

 テレビや雑誌、新聞を見ながらの食事もよくありません。食事に意識が向けられていないため、胃腸の動きが鈍くなり、腹時計の稼働力が弱まるうえ、満腹感を得にくいので食べ過ぎやすいのです。

 また、ワンコインランチもビジネスパーソンたちの好むところでしょう。どんぶりものやラーメンセット、ファストフード、コンビニ弁当など、安くてボリュームのある昼ご飯は、不況のさなか、人気をますます集めています。
 しかし、昼をワンコインランチですませている人ほど、早死にしやすいと私は考えています。

 ワンコインの昼食が体によくないのは、炭水化物と質の悪い油中心の食事になりがちだからです。炭水化物などの糖質も油脂も脳の大好物ゆえに、「食べた!」という満足感は高くなります。

 脳が喜んでいる一方で、腸は苦しんでいます。炭水化物や肉を食べ過ぎると胸焼けを起こしやすいのは、苦しんでいる胃腸が胃液を逆流させるからです。
 こうした食事は免疫力を下げます。腸の働きが悪くなるからです。腸が、もっとも苦手とする栄養素が、炭水化物にたっぷり含まれる糖質と、質の悪い油脂なのです。

 では、昼食にはどんなものを食べるとよいでしょうか。ベスト3を挙げましょう。

【ベスト1】色とりどりの野菜
 野菜には抗酸化作用のあるフィトケミカルが豊富に含まれます。フィトケミカルは数千種類も存在しており、抗酸化作用の他にもそれぞれが違った健康作用を持っています。

 大別すれば、「赤・橙・黄・緑・紫・黒・白」の7色の野菜は、それぞれ似た作用のフィトケミカルを持っているとされます。ですから、7色の野菜をそろえて食べると健康効果は高まります。

 私が昼ご飯を食べる定食屋さんは、ショーケースにさまざまな料理が並び、自分の好きな皿を選び取るシステムになっています。サラダバーのあるファミリーレストランにもよく行きます。そうしたバイキング形式の飲食店で色とりどりのサラダや野菜料理を食べるのは、とてもよいことです。

【ベスト2】良質なタンパク質
 タンパク質は、肉や魚、卵、納豆や豆腐などの大豆製品に豊富に含まれています。
 タンパク質は「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの原料になる栄養素です。昼にとったタンパク質が小腸にて消化吸収されるのは、8~10時間後。

 すなわち、就寝に向けてメラトニンの分泌が活発になってくるころです。メラトニンが十分に分泌されれば、入眠がスムーズになり、熟睡感も高まります。そのためにも、昼に良質なタンパク質をとっておくことが大事です。

【ベスト3】ネバネバ食品
 納豆やめかぶ、山芋、オクラなどネバネバ食品をもっと食べましょう。ネバネバ食品には、水溶性の食物繊維が豊富です。これは、腸内細菌の大好物です。とくに善玉菌が増えると消化吸収力が上がり、メラトニンの分泌を助けてくれます。

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病気を防ぐ「腸」の時間割
老化は夜つくられる
藤田紘一郎 著



藤田紘一郎(ふじたこういちろう)
東京医科歯科大学名誉教授。昭和14年中国旧満州生まれ。三重県育ち。東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学大学院にて寄生虫学を専攻。テキサス大学で研究後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授を経て、昭和62年より東京医科歯科大学教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。日米医学協力会議のメンバーとして、マラリア、フィラリアなどの免疫研究の傍ら、「寄生虫体内のアレルゲンの発見」「ATLウイルスの伝染経路の発見」など多くの業績をあげる。日本寄生虫学会賞、講談社出版文化賞、日本文化振興会社会文化功労賞および国際文化栄誉賞受賞。著書に『笑うカイチュウ』(講談社)、『清潔はビョーキだ』(朝日新聞社)、『脳はバカ、腸はかしこい』(三五館)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』(以上、ワニブックス)、『体がよみがえる「長寿食」』(三笠書房)など多数。