カルチャー
2015年10月9日
認知症700万人時代!予防のカギは脳より「腸」だった
[連載] 認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい【1】
文・新谷弘実
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2025年には高齢者の5人にひとりが認知症になるという予測があるなか、ますます認知症にならないための予防が重要となってきます。これは高齢者だけの問題ではなく、働き盛りの世代にもいえることです。そのためのカギとなるのが「第二の脳」と呼ばれる「腸」。自分の腸年齢を知り、腸がよろこぶ習慣を心がけ、腸を若返らせることで認知症とは無縁の身体をつくることができるのです。認知症がイヤなら、「腸」を鍛えるべきなのです。その方法を全6回にわたって詳しく解説していきます。


認知症予防で大事なのは「腸」


 認知症対策は、世界的な課題となっています。現在、世界の認知症患者さんの数は約3500万人ですが、WHO(世界保健機関)によれば20年ごとに患者数は約2倍増加すると見込まれており、多くの先進国で深刻な社会問題となってきています。

 私たちが暮らす日本も例外ではありません。日本の認知症患者さんの数は2012年現在で約460万人。認知症予備軍とされる約400万人を含めると、860万人もの数にのぼります。
 しかも厚生労働省の推計によると、2025年には認知症患者だけで700万人に達するとされ、認知症の治療ばかりでなく、認知症にならないためのケアがますます重要になってきているといえます。

 認知症は高齢者だけの病気というわけではありません。近年では、働き盛りの年代でも、若年性認知症になるのは、それほどめずらしいことではなくなってきているからです。まだ30代、40代だからといって、安心なわけではありません。若いうちから、認知症の予防をしておいたほうがいいのです。

 認知症は、脳の神経細胞が変性することから起こる脳の病気ですが、脳細胞の壊死や障害を防ぐ生活を日頃から心がけることで、認知症の発症リスクはかなり低くすることができます。そこで大きな役割を担っているのが、他ならぬ「腸」なのです。そのため、「腸」を鍛えれば、認知症を防ぐことができるのです。

腸を鍛えれば、脳を守ることができる


「脳と腸は離れているのに、なぜ腸が認知症予防に大事なのか?」と思われるかもしれません。しかし、腸は、別名「第二の脳」と呼ばれており、小腸の一部の細胞や大腸の細胞は、神経を通じて脳と密に結びついているのです。特に小腸は、脳からの司令がなくても自立して動くことができる仕組みをもっています。

 腸と脳が双方向に影響し合っていることを「腸脳相関」といいますが、腸から脳への影響は私たちが思う以上に大きいといえるのです。
 このような自立心旺盛な臓器は、体内には腸をおいて他にありません。また、心身の健康維持に深く関わっているのが「腸」なのです。「健全な脳力は健全な腸に宿る」といっても過言ではありません。

 そのため、腸が汚れていることから生じる生活習慣病や精神的な不調、免疫力の低下、血流の低下といったことは、すべて認知症の発症リスクを高める要因となるのです。
 また、腸が不調だと細胞への栄養・水分の供給が滞りがちになります。脳細胞にも、当然のことながら十分な栄養や水分が届かなくなり、ダメージを与えることになります。

 腸は全身の健康を守り、老化を防ぐ要の器官です。私たちの身体を構成している60兆個の細胞は、腸が元気に機能することで、いきいきと働くことができるシステムになっています。したがって腸を元気にすることは、脳を元気にすることにもつながり、認知症予防の有効な手立てとなってくれるのです。

 平均寿命よりも、健康寿命が大事といわれている現在、身体も頭もサビずに長生きしたい、健康を損なうことなく天寿をまっとうしたいと願うのなら、「腸を鍛えることで脳を守る」ことがカギとなるのです。

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認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい
新谷弘実 著



新谷 弘実(しんや・ひろみ)
1935年福岡県出身。医学博士。ベス・イスラエル病院名誉外科部長。米国アルバート・アインシュタイン医科大学外科元教授。1960年順天堂大学医学部卒業後、1963年に渡米。1968年に「新谷式」と呼ばれる大腸内視鏡の挿入技術を考案し、世界で初めて開腹手術をすることなく内視鏡による大腸ポリープ切除に成功。その技術によりガン発症リスクを大きく減少させ、医学界に大きく貢献する。日米で35万例以上の胃腸内視鏡検査と10万例以上のポリープ除去手術を行ったこの分野の世界的権威。著書にミリオンセラーになった『病気にならない生き方』シリーズ(サンマーク出版)、『胃腸は語る』(弘文堂)、監修に『免疫力が上がる!「腸」健康法』(三笠書房)など多数ある。