カルチャー
2014年9月26日
54歳の私が40代半ばの体力を維持できる秘訣
[連載] 50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ【4】
文・増田晶文
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若い方々に向けて余談をひとつ


 20代、30代は中高年以降の人間の在り方を決める重要な年代です。

 男盛り、女盛りであり仕事盛りでもあります。昇進や結婚、出産、育児など数々のエポックが盛りだくさん。そういう時期こそ、一所懸命に人生のあれこれと真正面からぶつかっていただきたい。もちろん〝若い頃〟の筋トレを否定しません。でも、これに寝食を忘れて没頭するのは、どうでしょうか?

 というのも、筋肉は中高年になってからでも充分に鍛えられます。私もサラリーマンを辞め、文筆の世界に入った30代半ばからは、やはり仕事に傾注しました。たくさんの人と逢い、読書や映画、音楽それに海外旅行と知見と経験を積みました。それこそ、トレーニングの時間も惜しむくらいに。

 この時代に勉強しておかねば、それこそ中高年になった現在、取り返しのつかない後悔をしていたことでしょう。

 いまやっておくべきことはなにか――それをきちんと踏まえておくべきです。

 筋トレのノウハウというのは、人生で経験する事々によく似ています。

 中高年になって、生活に筋トレをプラスアルファできる余裕ができたとき、「あれっ、筋トレって○○の要領に似てる!」と気づくことがたくさんあるはず。(○○には子育てとか交渉事とか人付き合いとか、適宜あれこれと当てはまります)

 そういうことを発見し応用できるのも中高年の筋トレならではの愉しみです。

筋トレにまつわる"誤解"をとこう!


 筋トレのメリットは前述した他にもアンチエイジング効果、ストレス発散効果があります。とはいえ、筋トレは魔法じゃありません。

 「5歳から10歳身体が若返る」ことは可能ですが、20歳も30歳も若返ることは不可能です。皺が減った、ハゲが治ったということも......ないでしょう。

 ただ、54歳の私が40代半ばの体力を自覚できるというのは、とても意義あること。

 女性でいえば、「美魔女」になって女子大生と見まちがえられるというベクトルではなく、中高年の女性らしい年齢相応の落ち着きに、若々しい姿勢や挙動、元気な身体が手に入るという考え――私はそのほうが、まっとうだと信じています。

 男性も、中高年から筋トレをスタートしてエグザイルのメンバーみたいな肉体になるとは考えないほうがいいです。

 いえ、その気になれば凄まじい肉体改造も可能ですが、このためには仕事も家庭も趣味も放り投げて、筋肉一本やりの人生を送らねばなりません。

 そういうことより、筋トレをはじめて背筋が伸びたとか、お腹が減っこんだという事実を重視し成果を喜んでいただきたいものです。

(了)





50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ
こうすれば愉しく無理せずに続けられる
増田晶文 著



【著者】増田 晶文(ますだ まさふみ)
作家。1960年生まれ。26歳から本格的にウエイトトレーニングを開始し現在進行形、雑誌「Tarzan」でも紹介される。身長170センチ、体重60キロ、体脂肪率5.9%(2014年2月22日時点)。「Number」などの雑誌でトップアスリートやトレーニングコーチたち、さらにサッカーワールドカップ、オリンピックなど国際大会を数多く取材。ボディビルダーたちを主人公にした著書『果てなき渇望』で文藝春秋Numberスポーツノンフィクション新人賞を獲得。同作品は2000年に書籍化され、「文藝春秋が選ぶスポーツノンフィクション単行本部門第1位」にも輝いた。著書に、『ジョーの夢 新島襄と徳富蘇峰、そして八重』(講談社)、『うまい日本酒はどこにある』(草思社文庫)などがある。近著は『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』(SB新書)。
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