カルチャー
2014年7月2日
「筋トレは長続きしないんだよね...」を解決する、とっておきの方法
[連載] 50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ【2】
文・増田晶文
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「脂肪が筋肉にかわる」という表現は誤解を生む


 『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』を出版して以来、何度もこんな質問をぶつけられた。

「筋トレはしたいのだけど、長続きしない」

 なるほど、この気持ちと事情はよくわかる。筋トレを継続できない背後には、こんな疑問が横たわっているはずだ。

問 筋トレの要領がよくわからない。

 これはしごく簡単に解決する。

答 『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』を読みましょう。

 じゃ、次! といきたいところだが、フンパツしてもう少し話を続けよう。筋トレとは筋肉に過重な負荷をかけること。筋トレにより、筋線維を太くさせ、最大筋力や筋瞬発力、筋持続力の向上を狙う。さらに筋肉の発達で基礎代謝と新陳代謝がアップ、減量効果を期待できる。同時に筋肉の形が整ってシェイプも改善する。

 よく「脂肪が筋肉にかわる」という表現をみかけるが、これは根本的な大誤解。「脂肪細胞が小さくなって、筋肉が肥大する」が正しい。ゆえに、筋トレをやめて摂取カロリー過多になると、再び脂肪がはびこるし、筋肉は衰え細く小さくなってしまう。

 だから、年齢より若々しいシェイプを維持するには、天命をまっとうする直前まで筋トレを続けなければいけない。

メチャクチャなフォームでも筋肉に効いている!?


 あるいは、こんな回答もある。

答 筋トレに要領なんてありません。

 ヒジョーに極端な話なのだが、どんなにメチャクチャなフォームでも、何らかの形で負荷がかかれば筋肉は発達してしまう。

 かつて大型ボディビルダーとして有名だった選手にインタビューしたことがある。

「すごい重量で(100キロくらいだった)でショルダープレスをしてますね」

 私としては、この種目でいかに三角筋(肩)に意識を集める極意を尋ねたかった。しかし、彼はいった。

「正直、三角筋に効いてるのかどうか、よくわかんないんだよねー。僧帽筋はもちろん、腕の筋肉もかなり使ってるから」

 私は、思わずつんのめってしまった。

 とはいえ、ヤミクモに筋トレしていても、時間と労力の無駄というのは間違いない。実をいうと、筋トレのポイントは実にシンプルだ。

・関節や腱にいらぬ負担がかからず、筋肉にほどよい刺激が与えられるフォームで行う。

 これさえ、踏まえておけばよろしい。ジムで眺めていると、多分ネットで仕入れたのだろう、オリジナリティあふれる、奇妙奇天烈なエクササイズやマニアックな小技を繰り出す御仁がいる。これらが効くのなら御同慶のいたりだけど、そこまでしなくても、いたってトラディショナルな種目で充分に筋肉は発達する。

 初心者だと――大胸筋ならベンチプレス、脚部はスクワットというように、1つの部位で基本種目を1つこなせば充分。身体が筋トレに馴れてくると、自然にこれでは満足できなくなってくるから、そこからエクササイズの種目を増やしていけばいい。

インストラクターやパーソナルトレーナーを上手に活用すべし


 あとは、前回のテーマ「筋肉との対話」を再読いただきたい。筋トレでは、いつも筋肉と語り合い、意外に饒舌な筋肉の声に反応していくことが大事だ。

 そして、このことも忘れてはいけない。

・無理は禁物。だけど、ちょっとキツめに鍛えないと筋肉は発達しない。

 無理とキツいは紙一重。その微妙な境目の判別は、肉体との会話なしに果たせない。さらに「筋トレの要領」を知るいい方便がある――もしフィットネスクラブに入会したのなら、スタッフを徹底的に活用すべし。

 大手のチェーン店ほどインストラクターはアルバイトが多い。彼らの大半が、「マシン取扱い説明者」なのだが、ちゃんと研修は受けている。インストラクターがヘキエキするほど、厳しく執拗に質問を繰り出して、納得できるトレーニングをしていただきたい。会費にはその分も入っている。

 こうして、メンバーからの要求レベルが高くなれば、経営側もインストラクターの意識と知識向上の必要性の大事さに気づくだろう。

 また、近年はパーソナルトレーナーが増えてきた。彼らも玉石混交だけど、中には錚々たるアスリートを指導した逸材がいるし、国やフィットネス団体が交付する資格保有者も少なくない。鍼灸、マッサージなどの心得があれば、なお心強い。私もトレーニングに煮詰まったときなんぞは、信頼できるパーソナルトレーナーの門をたたく。

 ただ、パーソナルトレーナーはプロフェッショナルだ。指導を受けうるには、会費とは別にフィーがかかる。この点は痛し痒しだけれど、彼らの経験と知識はそれだけの価値があると期待したい。






50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ
こうすれば愉しく無理せずに続けられる
増田晶文 著



【著者】増田 晶文(ますだ まさふみ)
作家。1960年生まれ。26歳から本格的にウエイトトレーニングを開始し現在進行形、雑誌「Tarzan」でも紹介される。身長170センチ、体重60キロ、体脂肪率5.9%(2014年2月22日時点)。「Number」などの雑誌でトップアスリートやトレーニングコーチたち、さらにサッカーワールドカップ、オリンピックなど国際大会を数多く取材。ボディビルダーたちを主人公にした著書『果てなき渇望』で文藝春秋Numberスポーツノンフィクション新人賞を獲得。同作品は2000年に書籍化され、「文藝春秋が選ぶスポーツノンフィクション単行本部門第1位」にも輝いた。著書に、『ジョーの夢 新島襄と徳富蘇峰、そして八重』(講談社)、『うまい日本酒はどこにある』(草思社文庫)などがある。近著は『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』(SB新書)。
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